保護者からの感情的な苦情電話の対応の心得とは

 保護者の顔が見えない電話での対応は、いつも以上に話し方に注意しなくてはなりません。
 電話で話すときは、表情や仕草から相手の気持ちをつかみ取ることができません。
 たとえ相手に見えなくても、相手を非難する気持ちや迷惑な気持ちは声に表れるものです。相手の気持ちを理解しようとする姿勢で対応しましょう。
 特に苦情の電話では、感情的になっていることがあります。
 そのときは「聞き役に徹する」ことです。
 感情的になっている相手に反論したり、説き伏せたりしようとすると、感情を逆撫でして、解決できる問題が、こじれて大問題に発展する恐れがあります。
 相手を受け入れる気持ちで話を聞くことで、相手が落ち着くのを待つことです。
 苦情の電話がかかってきたときは、焦らず慌てず対応するのが効果的です。
 電話でも、あいさつは重要な役割を果たします。必ず「いつも、お世話になっております」の一言を忘れないようにしましょう。
 この一言が相手に親近感を与え、冷静さを取り戻させるきっかけにもなります。
 忙しいからといって、早めに話を終わらせようとしてはいけません。「伝えきれなかった」「聴いてくれなかった」と、後の関係に悪い影響を残しかねません。
 相手が十分に満足するまで付き合う姿勢を見せましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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教師が中年になっても教師という仕事を通して自分の人生を充実させるには

 現在の教師という仕事が厳しい状況にあります。教師が教育実践をするとき、次のような環境の変化を感じています。
(1)一人ひとりの子どもに対応する難しさと、集団に対する教育の難しさ
(2)保護者の多様で強い要求やクレーム
(3)地域社会のモラルの低下と対応の難しさ
 学校教育のストレスが高まり、教師の心の健康の悪化は、一教師の問題ではありません。すべての教師たちが抱かえている問題であり、現在の教師が社会的に置かれている環境に起因する面があると思います。 
 悪戦苦闘する学校現場での仕事のなかで、教師が中年になっても、自分の人生を充実させ、喜びを見出せる境地になるには、どのようにすればよいのでしょうか。
 現状に満足することなく、さらによりよい実践を求めるようにします。
 学校現場の変化にもかかわらず、今の自分のやり方、教師としての自分に強くこだわるのではなく、目の前の子どもたちに一番いいやり方に柔軟に変えていくようにします。
1 一つの成功経験に固執せず、逆の立場のやり方にも、なじんでおき、子どもに対応する幅を広げておく
 新しいものを取り入れる姿勢をもち、学ぶ謙虚さを失わないようにする。
 対応が難しいと感じたときは、新たな知識や技術を習得するための学習や研修を本格的に行う必要がある。
2 教える立場だけでなく、学ぶ側の子どもを意識する。 
3 自分が前面にでる役割だけでなく、人をサポートする役割を経験し、その意義を学んで、いろいろな役割の中に、それぞれ意義があることを知る。
4 仕事の役割をもふくむ大きな人格を形成できるような人間関係、趣味を持つ。生き方を自由に語り合う仲間を形成しておく。
 友人、趣味の仲間、本音で熱く語れる教師仲間、尊敬でき指導してくれる先輩や恩師を持つ。
5 これでいいという自己満足的な発想から、与えられた条件のなかで、マイベストでよりよい実践をしようという姿勢を持つ。 
 「私はこれでいい」「悪いのは、すべて相手」というような頑固な、融通のきかない教師が形成されてしまわないようにする。
 教師という仕事を通して自分の人生を充実させていきたい。
 大きな変化の時代に生きるには、固い強い意志や信念と、それを具現化するための、柔軟な考え方、教育技術、人間関係能力が必要だと思います。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教授。15年間公立学校教諭・教育相談員を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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学級経営で何より大切なのは「人を育てる」視点を教師がもつこと

 マイナスからスタートすることもある学級に対して、教師はどのように1年間の見通しをもって臨めばよいのでしょうか。
 私は、担任が自分の得意分野を生かした学級経営をしていくことが大切だと考えています。専門性をより発揮できる強みがあるからです。
 そして、学級経営で何より大切なのは「子どもを育てる」のではなく、「人を育てる」視点を教師がもつことだと思っています。
 担当した学年で学ぶべき知識や身につけるべき技能を教えることは、担任にとってもちろん大切なことです。 でも、それだけでは「子ども」を育てることに留まってしまいます。
 本当に大切なのは、知識や技能の先にある「社会に必要な人」を育てる意識をもつことではないでしょうか。
 公けの場ではよりよい社会を実現するため、さまざまな人と協力し合うことが求められます。
 自分らしさを発揮し、望ましい社会を築き上げてこと。「大人になる」とは、それができる人になるということです。
 私たち教師は、子どもの未来を見すえた意識をもつことが大切なのです。
「人を育てる」源になるのは、コミュニケーション力です。
 そして、コミュニケーション力を支えるのが「言葉」の力です。
 一人ひとりが豊かな言葉を獲得し、自分を表現する。
 友だちとの学び合いを通してさまざまな意見や考えを知り、相手を理解する。
 この積み重ねが自信をもたらし、自分と同じように相手の存在も大切に思う信頼感を育み、温かい学級を生み出していくことを、私は実践を通して確信しています。
 具体的には、私は何よりも、子どもたちが自己肯定感をもてるようにすることから始めます。
 子どもたちの「どうせ自分なんて」というマイナスの気持ちを「自分だからこそ」というプラスに転化していくのです。
 大切なのは、子どもの行為を価値づけ(意味づけ)してほめることです。
 例えば、話し手のほうに体を向けて、笑顔で聴いていた子どもに対して、聴く姿勢という行為に加え
「話し手が話しやすいように聴いていた〇〇さんは、思いやりがあふれ出ていますね」
と、行為の価値づけ(意味づけ)をしてほめるのです。
 ほめられた本人も「思いやりをもって聴いていた」という意識がないので「えっ?」という表情になります。
 この、小さな驚きは「自分がこんなことでほめられるなんて思わなかった」という喜びにつながっていきます。
 価値づけ(意味づけ)をすることで、ほめられた本人はもちろん、他の子どもたちも「よいこと」の本質を学ぶことができます。
 そうは言っても、問題を起こす子や目立たない子のよいところを探すのは難しいと思われる教師も多いでしょう。
 そんなときは、子どもの非言語の部分も見てください。
 例えば、目に見えやすい「話す」だけではなく、非言語の「聴く」ことにも注意を向ければ、子どもたちをほめる視点が増えてくるはずです。
 もっと広く、話す、聴く行為だけでなく、話したり聴いたりする意欲や工夫、相手に対する思いやりも大切です。
 このような視点を教師が持てば、学習や活動のほとんどの場面で、具体的に子どもをほめることができると思います。
 まずは、教師が子ども一人ひとりとつながること。ていねいに張りめぐらされた糸は、後に織りなされる子どもたちの横糸の土台となるのです。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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保護者に指導力不足と指摘され、担任や管理職に苦情が来たとき、どうすればよいか

 苦情を保護者が言ってくるときは、冷静さを欠いていることもあります。
 苦情を額面どおり受け取り、その一つ一つに回答していくと「言い訳がましい」「学校が防御している」という不快感を保護者が持ちます。
 また「保護者が自分の子どもの実態をさておいて、勝手なことばかり言っている」と、いう気持ちを学校側が持っていると、その言動の端々から「話しても解決してくれない」というあきらめや怒りを保護者に抱かせてしまいます。
 保護者のいう教師の指導力不足の多くは
1 学級の子どもを掌握できない
2 学級の問題を解決できない
3 授業が子どもたちの実態とずれていて、子どもたちが授業についてこないで、勝手なことをしている
ことが多いようです。
 東京都民が教師に期待する(平成15年教育に関する意識調査)ことは
1 子どもの興味・関心を引き出す授業ができること
2 子どもを適切に評価して、伸ばしてくれること
となっています。
 保護者か様々なニーズを出してくると思いますが、共通していることは
「わが子がかわいい、何とかしてほしい」という一言に尽きると言えます。
 この保護者の心情を理解し、解決に向けて正対して対応する姿勢を見せることが、その後の保護者との信頼関係の構築に生きてきます。
1 直接、担任に苦情があったとき
 担任へ苦情がくるということは、担任への期待が大きいことを意味します。
 この担任なら、真摯に受けとめ、解決に向けて何かしてくれるであろうという期待が保護者にあります。
 直接、面談をし、じっくり話を聞き、何をどうしてほしいか聞く。
 聞いた内容を管理職に相談し、早い時期に今後の対応の方向性を保護者に伝えます。
 できれば、いつでも学級を公開して、保護者が見て、実態を理解してもらう場を設定することが効果的です。
 学級の実態や課題を共有することで学校がすべきこと、家庭がすべきことを互いに確認できることにもつながります。
2 管理職に相談に行った時は
 担任に話しても解決が困難であると判断した場合には、保護者は管理職に相談します。
 管理職は、保護者と担任との信頼関係が構築されていないという前提のもとで面談することが大切です。
 ゆえに、この時点での担任を擁護する発言は逆効果となります。
 管理職がリーダーシップを発揮して、調査をし、教師側に非の部分があれば、事情はさておき、学校組織として非に対してどのように対応し、解決に向けて取り組むかを具体的に説明し、保護者に「見える」形で対応していきます。
3 担任の指導力不足の課題を的確にみつめる
 担任の指導力不足の訴え内容を、管理職は的確に吟味する必要があります。例えば
1 従来の子ども観、指導観等から脱却できないために生じたものか
2 指導のスキルを身につけていないために生じた問題か
3 性格的な要因から生じた問題か
4 自己の課題を課題として受け止めているか
5 管理職等の指導を柔軟に受け容れ、改善できるか
という観点から検討し、学校の指導・支援体制の確立、指導の経過、指導による変容等を細かに記録し、教育委員会との連携のもとに、教師のリカレント教育を実施していくことがもとめられています。
(川崎知己:東京都公立中学校教師、三鷹市教育委員会指導課長を経て東京都公立中学校校長)

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教師の言葉や話し方でクラスは変わる

1 子どもの言葉を聞き逃さないで、気づける教師になる
 毎日の生活の中で、子どもたちの投げかけてくる言葉やつぶやきから、たとえば友だちや家で何かあったなと気づけるようになりたいと私は思っています。
 私は、子どもたちの話やつぶやきを聞き逃さないようメモしています。
2 話や指示は短く話す
 ダラダラと話さず、結論をシンプルに伝えるようにします。
 指示は瞬間的にイメージできる言葉で端的に話します。
 子どもたちの空気を読み、瞬時に判断して、話します。
 子どもたちに良い話をするときは、先に「先生、今からほめたいんだけど」と先にほめることを宣告します。
 予告されれば、教室の空気がサッと柔らかくなり、子どもたちは気分よく話を聞けます。クラスがガチャガチャしているときや、何度も注意される場面が続いているときなどに特に効果的です。
3マンネリを防ぐ
 授業のマンネリ、教室での決まりきった対応は、子どもが予測できます。
 子どもたちに「やっぱり」と思わせていないでしょうか。「やっぱり」の積み重ねは教室の空気の弛緩を生みます。
「え? こんなお題で書くの」といった、「え?」を増やしていくことで、子どもたちの授業への意識が高まるのです。
4 話題つくり
 日頃から、出かけたとき、テレビを見ているときなど、何を見聞しても「これを子どもに話すならこう・・・・・」と考えます。
 こうすれば何でもネタ集めになります。趣味みたいなもので楽しくやっています。話し方の間なども考えてメモすることで、自分の経験値を一つあげることになるのです。  
5 子どもに「ありがとう」と言う
 生きていくうえで効果を実感する魔法の言葉に「ありがとう」があります。
 何度注意してもきかない。そんな状態で注意しても解決しません。そこで登場するのが「ありがとう」です。
 注意する代わりに、例えば、朝あいさつしてくれて「ありがとう」と言うのです。
「ありがとう」を言おうとすることが「その子の良さ」を探すことにつながるのです。
 ほんの些細なことでもいいから、何かその子の良いところはないか、という「子どもの見方」につながるのです。
(森川正樹:兵庫県生まれ、兵庫県私立小学校教師。研究教科は国語科。教師塾「あまから」代表、教師の笑顔向上委員会代表、基幹学力研究会幹事、読書会「月の道」主宰)

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不器用で教師として劣等感を持つ人間が「顔つきと言葉」で演じる教師へ変身した

 私は、不器用で軟弱で、教師としてかなりの劣等感を持つ人間であった。
 私は貧相な顔立ちが嫌で、嫌でしかたがありませんでした。
 痩せこけて「先生」と呼ばれるには威厳がないなと、自分でもつらい思いをしていました。
 そんな人間がいきなり学校現場の荒海に投げ出された。
 どうやって学校現場で溺死せず泳ぎきるか、大きなハードルでした。
 あるとき、小さな町の小劇場で観た役者の演技に私はハッとするものを感じたのです。
「あの役者は、決して見栄えのしない人間だ。でも、なんだか卑屈になっていない」
「あの晴れ晴れとした演技はなんだ」
「あの、みんなの目と耳と心を引きつける迫力はなんだろう!」
 私は、自分がプロの教師でありながら、何も変わろうとしていない、何も演じていない自分に気づかされたのです。
「自分の顔つきと、言葉を変える」は、それからの私の生涯を通しての課題となったのです。 
 そんなとき、ある先輩教師が
「前田先生、目つき、顔つきというように、顔に生気が漂っている教師に出会うと、子どもたちからも信頼されて、尊敬されるようになるね」
と話してくれたのです。
 私は「顔つき」という言葉にハッとしました。顔立ちではなくて「顔つき」です。ふだんから顔に劣等感を持っていた私には、とても新鮮に思えたのです。
「顔つき」ということは、喜怒哀楽をしっかりと表すといえば、わかりやすい。
 私は、学生時代から「教師は喜怒哀楽をあまり露わにしてはいけない」と思ってきた。
 小中学校の教師のヒステリックな表情で「これだけ言っているのに、なぜやらないのだ!」と激怒している顔を思い出すのです。
 教師のヒステリックさはなくしたいものです。
 そうではなく、教師が「子どもを人間に育てること」に立ち向っていく中で
「いけないことはいけない」と叱り、
「うれしいことは、子どもたちと一緒になって喜び」
「悲しいことには、心を共有してくれる」
 教師の存在こそ、誠実な人間としての「先輩」の営みだなと思えてきました。
「真剣になって怒る、本気になって楽しむ、一緒になって喜ぶ」
 そういう教師としての「色をしっかり演じる」ことのできる存在感のある教師になりたいものだ。
 私は「教師の信念や情熱をだす武器は『顔つきと言葉』だ」、教師の実践力を支えるものだと思い続けてきました。
(前田勝洋:1942年生まれ、元愛知県公立小学校校長。学び合う教師を常に意識して小中学校を学校行脚)

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子どもや保護者とトラブルが起きたとき、どうすればよいか

 子どもや保護者とトラブルが起きたとき、自分一人では対応するのが難しいときが多い。
 トラブルが起きたとき、必ず学年主任や生徒指導主事に相談して、対応するようにしましょう。
 そのためにも、教師間の日頃の人間関係を良好に保ち、授業や生徒指導の情報を交流するように、進んで話かけるように心がけましょう。
 トラブルが起きたとき、日頃から良好な人間関係を築いておくことが、どれだけ心強いことなのか、痛いほど分かるようになります。
 トラブルが生じたとき、チームで対応することができる体制をつくっておくことが大切です。
 チームで対応すると、複数の教師で役割分担して対応できます。
 例えば、事実確認や子どもの様子を報告する役割、話し合いを進める役割、対応策を決定する役割など、役割を分担することで、冷静に対応することが可能になります。
 相手を受け入れる余裕もでき、落ち着いて話し合いに応じたり、自信をもって対応することができます。
 学校全体で支えることで、相手に誠意を伝えることもできます。
 また、チームで対応することで、相手との向き合い方や、相手との距離のとり方などの対応の基本を他の教師から学ぶこともでき、自分の力量アップにもつなげることができます。
 チームの中でこそ、教師は育つことができるのです。
 トラブルがあったとき「自分の力量不足だと思われたくない」と、隠そうとするのは、最も危険な考え方です。
 自分一人の力ではどうにもならなくなり、他の教師に相談したときには、手がつけられないほど事態が悪化してしまったという話も、よく耳にします。
 何かトラブルが起きたら、早く相談して、軽微なうちにチームで対応するようにしましょう。決して遠慮することはありません。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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学級づくりに役立つ「終わりの会」とは

 私が敬愛してやまない小西健次郎の「終わりの会」を次に紹介する。
「終わりの会」は3つのコーナーで構成されています。
1 みんなからみんなへ
 遊びのことなど、子どもの間の問題が話し合われます。
2 みんなから先生へ
「今日の算数がわかりにくかった」「大声で叱りすぎた」「先生が、みんなバラバラにしていた便所のスリッパをそろえてくださった」
といった内容が出て、担任がハラハラ・ドキドキするコーナーだ。
3 先生からみんなへ
 担任が子どもの話し合いの感想を述べたり、1日を振り返りながら感心した子どもの姿などを語る。
 これら3つのコーナーは学級づくりをするうえで、どれも欠かせないものである。
「時間がかかるからムリ」と、あきらめないでほしい。
 初期の段階では多少時間がかかるかもしれない。どうしても時間がかかりそうなときは
「この問題は少しややこしい。大切な問題があるように思うから、一度、くわしく文章にして来てくれないか」
 子どもたちは家に帰ってから、よく思い出してじっくり考え、表現する。
「終わりの会」は回を重ねるごとに進化していく。
 個別に訴えたい事柄については「終わりの会」で発言するより、まず気づいたその時その場で、相手にていねいに伝えることが大事だと指導すれば、子どもはそのように努める。
 さらに、子どもが人権感覚を磨き合っていくにつれて
「ああ、こんなことは言ってはダメだ。やってはダメだ。相手を傷つけてしまう」
と、行為のなかで考え、抑止力を働かせる。
 学校の中で日々生じる大小のトラブル。それが放置されたままであれば、優れた学級形成が望めない。
 あきらめと不満が増殖する学級は、いじめの温床だ。
「その日のことは、その日のうちに」
 これが大原則だ。そのために発信する場として「終わりの会」の大切さを、いま一度見直すべきだ。
 子どもが伝えたいことや、訴えたいことが発言できる機会があること。これが正義が通る「学級世論づくり」への第一歩である。
 当然ながら、良質な学級世論は一朝一夕にでき上がるものではない。時間はかかる。
「時間をかける」と思い直せばよいこと。地道に取り組みを進めていくうちに、必ずや取り組みは「実践」へと結実していく。
 そのプロセスこそが貴重な教育実践でもある。
 もちろん、他愛もない雑談も、休み時間の遊びも、子どもの内面発信の大切な機会だ。
 とくに、遊び時間は肉体的発散の絶好の場でもあり、教師も子どもといっしょになって汗を流す機会なのだが。
 子どもが内面を発信できる場と機会。これは、教師にとっては子ども理解のために貴重である。
 しかし、子どもの発信機会は、やはり授業だろう。
 教師ばかりが発信や発問をつづけて、子どもはつねに受信や即答を強いられる伝統的授業パターン。これの克服も急務といわねばならない。
(園田雅春:1948年京都市生まれ、大阪府高槻市立小学校教師、大阪教育大学教授を経て大阪成蹊大学教授。専門は教育方法学)

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授業をゲーム化して子どもを乗せるにはどうすればよいか

 子どもたちがゲームにひきつけられるのは、ゲームには次のようないくつもの人をひきつける要素があるからです。ゲームの要素を教育で活用できるとよい。
1 一人ひとりが主人公
 自分がやりたいときにできて、自分が操作する、自分が主人公だからゲームにひきつけられるのです。
 子どもたち一人ひとりが主人公として、学びを進めていくことで、子どもたちのやる気を高めていくことができる。 
2 すかさず評価する
 ゲームは操作すれば、次の瞬間に操作の成功や失敗が明確になります。
 成果がすぐに分かることに、子どもたちはひきつけられるのです。
 授業で子どもたちに指示を出して動かすことは多い。子どもたちが出来たことに対して、すかさずほめ・認めながら授業を進めていく。
3 みんなの前で認め・ほめる
 またゲームをやりたいと意欲を高めるのが、例えばゴールをすると楽しい気持ちになる音楽と花火があがるなどの演出があるからです。
 できたことを認められると、さらなるやる気を生みます。
 子どもたちができたことをほめる。認めて価値づけていくと、子どもたちの大きな自信になります。
4 自分の立場の明確化
 ゲームは、キャラクターの特徴を自分の思い通りに設定することができます。
 授業で、私たち教師は多くの発問を子どもたちに投げかけます。
 子どもたちが、教師の発問に対して、AかBか立場をはっきりさせ、考えを持つことは、自分自身を表現したことになります。また授業に参加することになります。
 たとえ答が違っていても「なぜだろう」と考え、考えを深めるきっかけになり、学びの意欲づけになります。
5 スモールステップで目標設定
 ゲームは目標設定が巧みになされています。自分のレベルと同じくらいか、少し高めに設定されています。それで、子どもたちをゲームにひきつけるのです。
 子どもたちの実態に合わせたスモールステップで目標を設定することで、意欲が高まります。
6 振り返りの容易化
 ゲームは、力や能力を「ステージ」などの言葉で表すことで、友だちとも共通の尺度で話題にすることができます。
 レベルが上がる喜びを感じ、高みをめざして取り組もうという意欲につながります。
 子どもたちの言動を数値化することで振り返りが容易になり、成長を実感しやすくなります。
(友田 真:1984年広島県生まれ、広島県公立小学校教師。徹底反復研究会)

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教師は保護者と、今を共に生きる仲間として本気で付き合おう

 教師は、保護者に誤解されたり、真意が伝わらなかったり、不信感を抱かれたりすることは避けられないことです。
 しかし、失敗を回避することばかり考えていたら何もできません。失敗から学ぶことも大切です。
 私は、若かりし頃、初めて担任した保護者懇談会で「とにかくいいところをほめればいい」と思い込んで「〇〇さんは、とても素晴らしいですね。」をくり返していました。
 ある保護者が「先生、私は子どもがどうしたら伸びるかを知りたいのです」と言われ、絶句してしまいました。
 教育は、How toではなく「誠意」「本当の気持ち」が大切です。
 口先だけでなく、表情や声のトーン、抑揚、態度など、非言語的なものが相手に伝わります。心のありようが出てしまうものです。少しのおごりも必ず態度に出てしまうものです。
 私は、迅速、丁寧、誠意を心がけています。
 保護者の方とはいえ、やっぱり大事な人生を分かち合う人です。本気でつきあうと本気の関係が返ってきます。子どもたちの成長に代えがたい糧にもなるものです。つぎのような例があります。
 私が30歳くらいの頃、中学校2年生の担任になりました。
 そこにA子がいました。教師に対する暴言、授業エスケープ、いじめなど、あらゆることをして、1年生の2月から登校しなくなりました。
 家庭訪問すると、金髪で眉毛はなく「もう二度と来るな」と言われ、その後、何度、家庭訪問をしても「帰れ、帰れ」と罵声を浴びせられ顔を見ることはできませんでした。
 しかし、私はA子の姿がSOSを発信しているのだと受け取れました。人として無視できなかった。
 ある日、相変わらず家庭訪問していた私に、父親が
「先生、わが子のことは、そっとしておいてください。先生はまだお若く、経験もあまりおありでないようですから」
 私は、本音で次のように答えました。
「確かに、私は経験が少ないです。でも、それは関係ありません」
「A子さんは孤独なんです。荒れるからと、みんなが怖がって距離をとっているから、いつまでたっても孤独なんです」
「結果は、どうなるかわかりません。でも、今が最悪です。これ以上悪くなることはありません。どうか家庭訪問を続けさせてください」
 私の姿をじっと見つめていた母親は、
「お父さん、先生の言うとおりですよ。今まで何をしてもだめだったんだもの」
「先生に任せてみましょうよ。今より悪くなることはないんだから」
 父親は、そのとき初めて私に頭を下げて「先生にお任せします。よろしくお願いします」と言ってくださいました。
 その後も、しばらくの間、私の家庭訪問に荒れ狂うA子でした。
 A子に「もう来るな」と言われた私は「いいや、毎日来る」と言い放ち、A子に「絶対来るな」と言い返された私は、
「それでも、毎日来る、何と言われても来る、私はあなたから目を離しはしない」と叫んだとき、ようやくA子の罵声が止まりました。
 小さな間があって、A子は「・・・・・来るなよぉ」と小さな声で言いました。
 その後も、毎日、自宅へ帰る途中、A子の家に寄り、私はA子とだんだん関係を紡いでいきました。
 その後、A子が卒業してからも、ご両親は私に信頼と親愛の情を寄せてくれました。                                                                        
(堀川真理:1963年生まれ、新潟市公立中学校教師。学校心理士、カウンセラー。カウンセリング・ワークショップ「サイコドラマ新潟」主宰) 

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なぜ、クラスが荒れるのかその原因とは、どうすればよいか

 荒れているクラスの教師は、問題が起こる度に「それは子どもが悪い」と子どものせいにします。否定された子どもは心を開かず、不信感を持ち、態度・顔つきに出ます。
 落ち着いているクラスの教師は、問題が起こると、まずは自分の指導を振り返り、子どもにかける言葉をかえてみます。子どもが教師に認められたと「プラスに解釈」するような言葉に変えてみるとよい。
 優し過ぎる教師のクラスは荒れます。
 子どもに甘いのです。子どもはそれを見抜き、あれもこれもと要求するようになります。「甘さ」を訂正しても「何で、さっきはいいと言ったじゃない」と納得しません。
 そこで、子どもの要望の発言を繰り返して受けとめ、気づかせます。「それで?」と問いかけ「次は・・・」と行動を改めるように話かけます。
 例えば、授業が始まったとたん「トイレに行っていいですか?」と言ってきたときは、
「授業が始まったばかりだけど、トイレに行きたいんだね?」
「次は、休み時間にトイレに行ってね」
 子どもに一言、釘を刺したわけです。「今までの先生とは違うぞ」と教師の変化を感じます。
 厳し過ぎる教師のクラスは、子どもを抑圧するので、荒れにつながります。
「自分のやり方は正しい」と確信しているので「先生の言う通りにやりなさい」と子どもたちを従わせようとします。
「悪いのは子ども」と思っているので、「いつも怒ってばかり」と反発心が募ります。
 厳し過ぎる教師は自分が言う通りにすれば、うまくいくことを知っているので結論だけを子どもに伝えようとします。子どもが反発するのは、言葉が足りないからです。
 厳しさの中に説明を加えて、そのことの効果を示すと、子どもは先が見えるので、子どもたちは指導を受け入れます。
 自分のやり方にこだわる教師のクラスは、荒れ始めます。
 子どものペースに合わせて臨機応変に対応する教師のクラスは、安定した日々を過ごすことができます。
 子どもたちが新しい教師のやり方に納得できるかどうかの基準は、これまでの子どもたちの経験です。納得できれば受け入れ、そうでなければ不満となります。今までのやり方と新しいやり方を試していくとよい。
 クラスの荒れのもとになっているストレスを抑えようとしてはいけません。それよりも、上手にガス抜きをさせることが肝心です。
 それには、子どもの行為の良い場面だけに注目します。そうすると子どもは徐々にストレスへの処し方がわかり、自分で自分の行動をコントロールできるようになります。
「笑う門には福来る」ということわざがあります。
 そこで、子どもたちが毎日登校する楽しみを提供してみます。私のクラスでは毎朝、リレーとカルタを行っています。
 リレーは、メンバーをある期間固定して行います。順位よりも記録の伸びに注目させます。成長に目を向けさせ、新記録が出ると、仲間と喜び合い笑顔が出ます。出ないときは、仲間と対策を考えます。
 カルタは二人一組で対戦し、勝つと上の班に昇格し、負けると下の班に降格します。勝つ秘訣は、反応の良さとカルタを覚えることです。
 カルタの勝利は個人の喜びですが、相手をしてくれた友だちに感謝する気持ちが芽生えます。負けると悔しいのですが「次回の対戦者はAくんか、彼には負けないぞ」と友だちに関心を持つことができます。
 真剣勝負だから、子どもたちは燃え、楽しさを味わい、みんなで共有することができるのです。
 なお「楽しむ」には条件があります。「ルールが簡単「準備・片づけが簡単」「結果が次回へのモチベーションになる」の3つです。
(城ケ﨑滋雄:1957年鹿児島県生まれ、千葉県公立小学校教師、教育委員会、不登校対策教員として不登校児童と関わる。荒れた学級の立て直し、小学校教師として教育情報雑誌「OF」等で情報発信している)

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身を捨てる度胸をもつと、困難だと思っていたことがスムーズにいって、よい結果を生む、ということにもなる

 人生というものには、いろいろな問題があります。
 しかし、それらのことも過ぎ去ってみると、
「あのとき迷わないで、やって、ほんとうによかったな」
というような場合が多いのです。
 そこが大事なところだと思います。
 ある場合には、迷うこともあるでしょう。しかし、しょせん迷っても、自分の知恵裁量というものは、ほんとうは小さいものです。
 だから、
「これは、もう仕方がない」
「ここまできたのだから、これ以上進んで結果がうまくいかなくても、それは運命だ」
と、度胸を決めてしまう。
 そうした場合には、案外、困難だと思っていたことがスムーズにいって、むしろ非常によい結果を生む、ということにもなるのではないかと思うのです。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック(旧名:松下電器産業)創業者。経営の神様と呼ばれた日本を代表する経営者)

 

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授業名人が伝える、授業作りに必要な心構えと、授業力があがる方法とは

 授業に必要な心構えは何かを理解し、事前の準備をすれば授業が堅実になり、教師人生が充実します。
 教師は、子どもたちの生きた見本にならなければなりません。
 言葉づかい、文字、服装、態度など、あらゆる場面で見られる教師の姿が、そのまま子どもたちの教科書になります。
 授業で教師が教えるさいの最も大切なことは「向上をめざす教師の姿と、向上する喜びを子どもに見せる」ことです。
 教師が、昨日よりも今日、今日よりも明日へと向上しながら変化していく姿勢を子どもに見せるのが最も大切です。それと、その努力から得られる喜びです。
 教師がこれを実践していくと、子どもたちの人生の指針となるだけでなく、教師自身の心を豊かにうるおしてくれます。
 教師がいいことだと思ったらやってみる。やった結果を検証する。さらに優れた教えを探し求める。
 素直に教えを乞い、自分を無にして、人から学ぼうとする教師は必ず伸びていきます。
 何かひとつ、昨日とは違うことをしてみる。その成果を振り返ってみる。教師が新しいことに挑戦すると、失われた意欲を蘇らせてくれます。
 どんなことでも、自ら実践し、向上しようとしない教師は、子どもを教える資格はないのです。
 一日の始まりとなるあいさつ、出かける前の身だしなみ、人と接する際の態度、言葉づかい、黒板に書く文字、自らを表現する文章、教師を育てるための勉強まで、子どもたちに教えるべきことは、すべて、教師自身の言動から始まります。
 これをしっかり心にとめて、向上しようと、日常を生きることが、教師としての基本です。
 次のような授業に必要な心構えと、事前の準備を積み重ねていけば授業力が向上し、教師人生が充実します。
1 言葉づかい
 言葉づかいの基本は、相手を尊重し、認める態度を示すこと。
 子どもは、先生が自分を受けとめてくれるかどうかを敏感に感じ取りますから、問題行動があったときでも、ゆったりと構え、まず「聞いてあげる」姿勢を見せるべきでしょう。
 休み時間の雑談はうれしいもの。親しみのこもった言葉で、子どもを抱きしめればいいのです。
 しかし、授業中の指示や注意は、短く力を込めて、語尾まではっきりと発音すべきです。何を言うべきかを冷静に突き詰めておけば、自ずと言葉は簡潔になります。
 子どもはいつも教師を見つめ、鋭く観察しています。
 学校内で目にする教師同士や教師と保護者との会話、先輩や管理職などとの会話のすべてが子どもにとって規範となります。その場面にあった言葉をつかうことを心がけねばなりません。
 言葉は自分の考えを相手に伝えるもの。他者との関係をつなぐもの。社会生活を営むもの、と奥が深い。
 年齢や考え方が異なる相手に対しても、きちんと会話できる力は、付け焼刃では育ちません。
 子どもは、小さい頃から、正しい言葉づかいを耳にして、肌になじませてあげることが必要です。それができるのは、学校の教師しかいないと私は思います。
 例えば、目上の人には丁寧に、親しい仲間にはくだけて話す。そんな使い分けがあることを自然に感じる環境があればいいのです。
 教師が出す指示は、あたたかな人間味のある会話で交わすべきですが、教師と子どもとの会話は、友だちとの雑談とは違います。立場が違う「線」は、きちんと引かねばなりません。
 立場の違いを自覚するからこそ、教師は子どもに迎合することなく、子どもの気持ちを推し量り、指導することができるのです。子どもの後ついていくような教師は落第です。
2 書く 
 私はずっと自分の字はへたで劣等感を持っていました。
 書道の先生のところに字を習いに行ったとき「へたな人ほどうまくなるものだよ」と言ってくださった言葉が私の心の支えになっています。
 私は字の才能がないおかげで、努力することの楽しさ、もたらしてくれる可能性を知ることができました。
 より美しい字を書きたいと望む人は、ぜひすぐれた師について学ぶことをおすすめします。
 人に伝わる、上手な文章を書くには
(1)できるだけ、たくさん書くこと
 どんなに文章が苦手な人でも、多作するうちに次第に慣れてきます。慣れは、よけいな気負いや虚栄心を洗い流してくれます。
 読んでくれる人からの反応や評価によって、文章力を磨いていくことができます。
(2)質
 何を伝えたいのかを考えることです。
 私は講演のときは、大きなテーマを決めたら、それに関連する内容を思いつくままにメモしてみます。
 そうして材料が集まったところで、内容をグループ分けして構成し、伝えたいことをいくつかの項目に束ねて、小見出しをつけます。
 いい文章は小見出しを見るだけで興味をひかれ、自然と中身に引き込まれます。
(3)人の文章をより多く読むこと
 簡潔平明にして面白く、読む人に勇気を与え、なおかつ自身の成長の記録となる。そんな文章を求めて、私はいまも修業中であります。
3 より多くの人に授業を見てもらい、評価してもらう
  研究授業は苦手で避けたいという教師が多い。
 しかし、他人の目に自分の授業をさらすことは、やるべき価値があります。
 人間は易きに流れやすい。だからこそ他の人に見てもらおう。
 いつも通りの授業を何回も見てもらうほうが力になる。
 保護者など、授業に先入観のない、むしろ素人である人のほうがいいのです。
 大人の興味をひかない授業が、子どもの心をとらえられるわけがありません。
 他人の目は鏡です。より多くの人に見てもらい、感想を聞いてみましょう。
 その積み重ねは、授業の質をあげる原動力になっていきます。
 授業を見てもらうことは、はじめは抵抗が大きいかもしれませんが、場数を踏むごとに、だんだんと楽しくなってきます。
 次はこんな授業をしてやろうと、新しい意欲につながります。
 研究授業や授業公開の機会は、決して断るべきではありません。
(野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰)

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小さなトラブルを見逃すな、子どもと保護者が納得する生徒指導とは

 子どもの指導は「スピード感のある対応」が不可欠である。
「生徒指導の遅れが命取りになる」といわれる。
 生徒指導の対応が遅れば、遅れるほど、学級経営が厳しい状況になることを意識して、小さなトラブルを見逃さないようにしよう。
 気づかないままに進んでしまうと、あっという間に学級崩壊になってしまう危険がある。
 生徒指導の技術として、小さなトラブルを見逃さない教師としての力量を定着させるためには、
(1)その日の問題は延ばさない
(2)スピート感ある対応を心がける
(3)物がなくなったときの対応を意識する
(4)保護者との連携を強固にする
(5)報告・連絡・相談を密にする。
(6)不公平感、不平等感に陥らないようにする
(7)いじめの対応を原則とする
(8)保護者との面談を積極的にする
 これらの生徒指導の技術は、教師として身に付け、確実に実践の中で活用を図らねばならない。
 何か生徒指導の問題が起きたときは、その日のうちに対応しよう。
 下校時に、子どもがどの状況にあるか、見極める力量が教師になくては生徒指導は始まらない。
 下校時に声かけをして、状況を把握しておくだけで、子どもの気持ちが少し晴れやかになることも少なくないからである。
 その日の問題を延ばさないためのチェックポイントは
(1)子どもの体調が悪いまま、下校させていないか
(2)ケガをしたまま、下校させていないか
(3)学級でのトラブルを保護者に報告しているか
(4)下校時に、悲しい思いをしている子どもはいないか
(5)いじめに関するトラブルはないか
(6)帰りの会での生徒指導の問題を放置していないか
(7)子どもの気になる状況の解決策は図れたか
(8)継続指導中の子どもの状況の変化を見たか
(9)保護者との面談等について計画的に進めているか
(10)管理職との報告・連絡・相談はしているか
 その日に起きたことの解決の方向性を明確にしておくことは、明日の解決に向けたステップにもなるということである。
 生徒指導は、ほとんどの場合、保護者との連絡や状況説明が欠かせない。
 その説明が不十分だと、小さなことでも担任と保護者との理解度の違いが生じることになる。
 教師の配慮ある一報が保護者にあれば、信頼につながることを理解しておこう。
 担任にとって、保護者は最大の応援団であることを意識しておこう。
 このことは、話し言葉や電話対応でも自然と分かってしまうものである。
 今日すべき保護者との連携を怠れば、明日は苦情となることを認識しなければならない。
 保護者との連携を強固にするには、
(1)生徒指導に関することは保護者に簡潔にする
(2)伝える内容を箇条書きにして、分かりやすく説明する
(3)関係者の状況を理解したうえで伝える
(4)場合によっては、家庭にまで足を運ぶ
(5)今後の対応を的確に説明する
(6)当事者相互の連携も確実にする
(7)この程度は、というときにも必ず連携を取る
(8)保護者との連携は、担任の思いを必ず伝えるという意識をもつ
(9)一歩先までの見通しを伝える
(10)解決までの期間を意識する
(11)担任の対応で「大丈夫」の意識をもたせる
(釼持 勉:東京都公立高校・小学校教師、教育庁、小学校長を経て、帝京大学教育学部教授、東京学芸大学特任教授)

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新任教師が学級経営に行き詰まり、精神的に追い詰められていったが、どのようにして前向きな気持ちを取り戻したか

 ある新任女性教師が、小学校4年を担任しました。
 それまでの2年間は非常勤講師として、いくつかの小学校で勤務していました。授業を「やりにくい」と感じたことはなく、不安はありませんでした。
 初めて不安に襲われたのは4月の保護者会でした。
「先生は、初任ですよね。授業の進め方については、指導を受けているのですか?」
「子どもが言うことを聞かないときは、どのように注意されるんですか?」
 保護者からの質問に言いよどむと、同席していた学年主任が助け船を出してくれました。
「学年で協力しながら指導に当たっています。だから心配なさらないでください」
 学年主任の言葉に保護者も安心し、その日は何とか乗り切りました。
 クラスに、中学受験を考えている子が数人いました。その中の一人A君は塾のテストでいつも高得点を取っていて、授業は遊びに思っている節があります。
 教師を出し抜こうとするA君の振る舞いに、少しずつ一部の子どもたちが「カッコイイ」と、同調するようになりました。
 すると、ますます調子づいたA君は、少しずつ授業中も好き勝手に振る舞うようになっていきました。
 ある日、新任教師が授業中にふざけたA君を注意したところ、その不満を母親にぶちまけたのです。
 話はA君の母親から他の保護者へと広がり、保護者たちから管理職に
「クラスは、落ち着いて授業を受けられる状況にない」
との苦情が寄せられました。
「頑張ってやっていると思っていたが、実はそんな状態だったのか」
 指導教官や校長は驚きました。そして、事態の収拾に向けて動き出しました。
 翌日から、給食時間には、専科の先生も一緒に入りました。また、学級活動は、学年主任のクラスと合同でやることになりました。
 そうした支援が次々と行われ、学級が落ち着きを取り戻す中で、新任教師の気持ちは逆に委縮していきました。
 ベテランの先生方の指導を見るにつけても、一人できちんと指導できない自分が情けなかったのです。
 表情のすぐれない新任教師を見て「自信をなくしているのではないか」と、管理職は気がかりでした。
 管理職は新任教師を呼ぶと、最近のクラスの状況について話し合った後、管理職が初任の頃の失敗談、先輩や同僚の助けを借りた話などを伝えました。
 新任教師は話を聞くうちに表情がほぐれてきました。
 管理職は、教師向けの相談窓口を利用して気持ちを整理してはどうかと提案しました。
 教師向けの相談窓口を訪れた新任教師に
「先輩教師と同じようにできないことを、気にし過ぎて、焦っているように見える」
「仕事は知識だけでなく、経験を通して見えてくるものが多い」
「そのことを受け入れられないために悩んでいる」
 ことを指摘しました。
 また「こうあらねば、ならないと思い過ぎて、自分を追い込んでいるのではないか」とも伝えました。
「比べるなら、人と比べず、過去の自分と比べず、過去の自分と比べたらどうでしょう?」
と、言われた新任教師は、着任からこれまでのことを振り返りました。
 4月よりも、やれることが着実に増えている自分に気づきました。
 翌週からは、少しずつ前向きな気持ちを取り戻していきました。
 その後も困難に直面しても、その都度、自分で精一杯努力すると同時に、時には、泣きながら先輩に相談したり、相談機関に飛び込んだりしました。
 そして、何とか年度末までこぎつけたときには、1年前より教師としても成長していました。
 新任教師は、一人で抱え過ぎず、困ったら必ず誰かに相談することを、心がけたいものです。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

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家でダラダラとしたり、親に逆らう、わが子との過ごし方に悩む、保護者に教師はどうアドバイスすればよいか

 学校ではしっかりして見える子どもでも、家ではダラダラと過ごしてしまい、親の注意を聞かないという子どもがいます。
 勉強もせずに、ダラダラと過ごすわが子の姿にいらだつのが親です。
 親の心配もわかりますが、家庭はくつろぎの場でもあります。家庭での厳しさを要求すれば、子どもの「行き場所」がなくなります。
 どの子どもも、学校外でストレスを受けて生活しています。
 家庭でくつろげるから、心が安定するのです。
 ある程度、家庭でわがままになるのは当たり前のことなのです。家庭がくつろぎの場として機能していることを伝えることで、保護者を安心させてあげましょう。
 特に子どもが大きくなれば、何度も同じことで注意するのは逆効果です。
 例えば、子どもが行動するまで、「早く!」「早く!」と繰り返さないように保護者に助言してあげましょう。
「〇時まで」と、区切りをつけて注意した後は、少し様子を見て子どもが動くのを待つ。それでもダメなときには、ガツンと叱る。そんな具体的な方法を助言することです。
 小学校高学年になると、親のいうことを聞かなくなり、注意すると反抗的な態度をとる子どもが増えてきます。
 子どもは、小学校高学年になると、大人の行動を客観的に見るようになるものです。
「お母さんも、できていないじゃん」「口ばかり」と反抗的な態度をとることもしばしばです。それが、自立の準備であり、成長と言えます。
 親はわが子のこととなると、つい感情的になってしまうものです。
 注意すればするほど反発するものです。頭ごなしに叱るのではなく、「いつ勉強を始めるの?」「約束を破ったらどうするの?」など、子ども自分で決めて行動できるような方法で導くことが大切だと、保護者に助言しましょう。
「誰もが通る道」だと、子どもの成長を喜ぶことで、保護者が対応を考えるきっかけにしたい。
 よく「先生からきつく言ってください」と頼む保護者がいます。
 それを真に受けて厳しく叱っては、子どもは親にも教師にも反抗的になり、信頼関係に悪影響が出てしまいます。「お母さん、心配してたよ」と優しく諭すことです。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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新任教師が教師力をアップするためのヒントとは

 新任教師が教師力をアップするためのヒントを次に紹介します。
1 子どもを把握し、即時に授業へ生み出すことが重要
 目の前の子どもの状況を把握して、それに適した授業を即時に生み出すことはとても重要なことです。
 新任教師は、次の点を意識して、授業の状況を把握しましょう。
(1)どこまで知識・理解・技術等が子どもに定着したかを瞬間的に判断する
(2)子どもが活動に対して心を開き没頭しているか否かを見極める。
(3)子どもの姿勢、表情など、身体的所作を感覚的にとらえる。 
 このように授業を進めるには、多様な鑑識力が教師に要求されます。そのために、刻々と変化する子どもの瞬間的な状況を一つたりとも見逃すまいとする姿勢が重要となります。
 すなわち、授業を進めながらも、子どもの状況の細部までとらえられるような、いわば教師が
「観察者としての授業者になれるような訓練を積む」
 ことが大切でしょう。
 これを前提として、子ども全員の能力、興味・関心の対象など、多くの情報を事前に把握しておくことも重要です。
2 経験を積んだ教師から学び、自分の授業スタイルをつくりあげる 
 新任教師は、経験を積んだ教師の授業をたくさん観る必要があります。同僚教師だけでなく、外部の研究会などへ参加するのもよいでしょう。
 観るだけでなく、質問してアドバイスを受けることが大切です。
 さまざまな授業の展開を追試し、試行錯誤して、自分のクラスの実態に合う方法を見つけていくのもよいでしょう。
 そうして、少しずつ自分自身の個性やカラーを出して、授業スタイルをつくりあげていくのです。
3 素晴らしい授業に出会うように研究会等に参加する
 優秀な教師は、必ずと言っていいほど、教師になって1~2年目の頃に、素晴らしい感動する授業と出会っている。
 この経験は、年月を経ても鮮明に残り、生涯の目標を生み出す糸口ともなるのです。
 授業がうまくいかないスランプの時期があっても、前進できる人は、若い頃に心の支えになるような授業にふれています。
4 各教科の授業ルールづくりをする
 各教科ごとの授業の進め方を、教師と子どもの間で約束し、確立しなければなりません。
 各教科ごとに紋切型ではなく、授業パターンやバリエーションを変え、常に学習ルールづくりを工夫しなければなりません。
5 授業を振り返り反省する
 新任教師は授業のあり方に迷います。それを乗り越える手だては、自らの授業を振り返ることしかありません。  
 反省点を改善し、試行錯誤を繰り返すのです。
 授業を振り返る姿勢こそが、新任教師の成長を促進し、授業観を形成させるのです。
6 授業が困難に陥ったときは、成長のためのレッスンと捉える
 授業で遭遇する困難は、成長のための大切なレッスンである。
 教師力をアップする方法が成功するか否か。その鍵を握るのは、困難を「大切なレッスン」と考えられるようなポジティブな精神状態なのです。
(高見仁志:兵庫県公立小学校教諭(18年間)、湊川短期大学、畿央大学を経て、佛教大学教育学部教授)

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子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師になるには、どのようにすればよいのでしょうか

 私は、小さい頃に、子ども向けの物語や雑誌に夢中になりました。小学校では作文、高校生の頃には俳句を詠むことが好きになりました。
 意識していたわけではありませんが、そんな経験が私を国語教師という仕事へ導いたのだと思います。
 読む力は「読む」という行為を通じてしか、育ちません。書く力も「書く」経験の中からしか育ちません。ですから、読みたい、書きたいと思う気持ちがもっとも大切なものです。
 美術の先生には、生涯を通じて創作活動やけいこを続けていく人が多いように思えます。
 教えるための技術習得のためだけでなく、自分自身の喜びのために、新しい世界に挑み、脱皮し続ける。そんな人は、いつも若さを保ち続け、伸びていきます。
 ですから私は、教師たるもの、ぜひとも何らかの創作活動や稽古に携わるべきだと考えます。
 授業を向上させ、質を追求することとはまた違う次元で、創作活動や稽古は自分の心を謙虚にします。
 努力することの喜びで満ち、向上的変容の佳境へと導いてくれます。そして、その感動がまた、授業に力を与えてくれるのです。
 自らを変えていくための実践を常に続けていく。そういう教師であってはじめて、子どもたちに学ぶ楽しさを教えられる本物の教師と言えるのではないでしょうか。
 子どもたちは教師の素顔を見抜こうとします。
 どんなに言葉に力を込めても、教師自身が自分の人生に喜びを抱いていなければ、学ぶ楽しさは伝えられません。
 人生において、何に自分なりの面白さを見出すか、これはとても大切な事柄です。
 教師という職業を選んだ以上、まずは授業にこそ面白みを見出すべきでしょう。
 授業の向上へのエネルギーを生み続けるための活動を行うべきです。
 もし、どうしても教師という仕事にのめりこめないようなら、その人は別の職種へ身を移すべきです。その方が本人はもちろん、何よりも子どもたちのためになるはずです。
 人間にとっての、向き、不向きは能力のレベルの問題ではありません。どれだけ、楽しめ、夢中になってのめりこめるか。結局のところ、それが職業選択の分岐点でと思うのです。
(野口芳宏:1936年生まれ、公立小学校・千葉大学付属小学校教師を経て、公立小学校校長。退職後、北海道教育大学・植草学園大学各教授、千葉県教育委員会委員等を歴任し、植草学園大学名誉教授。「鍛える国語教室研究会」「授業道場野口塾」「実感道徳研究会」各主宰)

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ストレスを軽減するには、どのようにすればよいのでしょうか

 人は、ネガティブなことに注意を引きつけられる特徴があります。
 人は自然な状態では、みんなネクラということです。
 あまりに楽観的にしていると「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまいますので、ネガティブ思考は生き延びるための本能的な知恵といえます。
 自然に何かを思い出したり、考えてしまう場合、ネガティブな思考になり、悔しかったことや、つらかったこと、がっかりしたこと、後悔すること、不安なこと、などに、なってしまうのです。
 輝かしい過去の栄光や、バラ色の未来が思い浮かぶことは、まずありません。
 過去のネガティブなこと、未来の不安は、ストレスになります。
 嫌なことは自然と頭に浮かび、考えてしまうものです。そして「嫌なことを、考えるのをやめよう」と思えば思うほど、ますますそのことを考えてしまいます。
 そこで、過去や未来のことを考えず、今、この瞬間のことに意識を向け、ありのままの状態をできるだけ客観的に観察するようにするとよい。
 すると、それだけで、心にたまったストレスを掃き出すことができるのです。
 そのストレスを掃き出す方法として「マインドフルネス」というケア法があります。
 まずは、基本となる「身体感覚」を感じることから始めてみましょう。
 例えば、呼吸に伴う体の感覚、動くときの筋肉の感覚、じっとしていても、ひとりでに起きてくる感覚など、ふだんは気づかない感覚を感じ取り、観察することで、ストレスをため込む「負の思考」から離れることができます。
 具体的には、次のように実践します。
 この実践を重ねるにつれて、ストレスで一杯になっている心が徐々に変わってくると思います。
1 椅子に座り、(1)~(3)を1~2分繰り返します
(1)椅子に座り、背筋を伸ばして、体の力を抜きます。手は膝の上に乗せます。
(2)呼吸に意識を向け「鼻から空気が入る感覚、出ていく感覚」「呼吸でお腹が動く感覚」を感じ、観察します。
(3)椅子に接した「お尻の感覚」、床に接した「足の裏の感覚」を、つま先から、かかとへの順で感じます。
2 歩く
 集中できなかったり、飽きてしまう場合は、歩いているときの感覚を感じ取り、観察することからやってみましょう。
 背筋を伸ばし、なるべく上半身は動かさないようにして、歩くにつれて足が動く感覚を感じ取りながら歩きます。
 動きのなめらかさや硬さ、次々と動く感肉の感覚、足の裏の感覚を感じましょう。
 気になることが、どうしても頭から離れない場合などもうまくいきます。
 気になることを思い出したりしたら、その都度、動きに意識を戻します。歩いているときは、動きがあるので、切り換えやすいです。
 足の動きを感じながら「右足、左足」などと頭の中で言葉にしてもよい。  
 取り組みやすいものから、短時間でも構いませんから、気づいたときに実践してみてください。
 回を重ねるうちに、少しずつ、気持ちが落ち着きやすくなるのを実感していただけると思います。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

 

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落書きがあったとき、どうすればよいのでしょうか

 落書きが見つかったとき、一番大切なのは落ち着いて対処することだ。
 落書きというものは、犯人が分からないことが多い。
 子ども同士では分かっていても、教師に伝わるネットワークがない場合がほとんどだ。
 それゆえ、落書きに対処する教師は、どうしてもヒステリックになり、犯人捜しに走ってしまいがちだ。
 ヒステリックになれば、子どもたちの信頼を失ってしまう。子どもたちのほうが一枚上手だ。
 子どもたちは、教師の一挙手一投足をじっと見ている。どうすればよいか。
 まず、泣いている子どもがいれば、その子をフォローする。
 そして、決して怒鳴ることなく、子どもたちをまず座らせる。
 犯人捜しになってはいけない。
 だめなことは、だめだと、ビシッと厳しく話す。
 おろおろしていたのでは、書いた子どもにつけあがられる。ほかの子どもたちも不安にさせてします。毅然とした態度を取ることだ。例えば、
「先生は、この落書きを見て胸が痛んでいます。卑劣な方法です」
「先生は絶対に許しません」
「二度と、こんな落書きを見たくないです」
 落書きした子どものフォローも忘れないようにしたい。
 優しく、落書きした子どもに共感的な態度を示すことがポイントです。例えば、
「でも、先生にも悪かったところがあったのかも知れないです」
「先生が相談にのってあげられたら、よかったなと思います」
「もし、落書きして悪かったなって思っていたら、先生に、いつでも、こっそりでもいいから、話してほしいと思います」
 たとえ、名乗り出なくとも、確実に子どもの心の中には何かを残せているはずだ。
 人は失敗から多くを学びます。子どもが悪さをしたときは、子どもを立派に育てるチャンスでもある。
 学活や朝の会、道徳の時間でもいいが、クラス全体に、あまり押しつけがましくならないような内容で、子どもたちに話をしたい。
(西井孝利:大阪府私立小学校教師)

 

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子どもたちから「先生、暗い」と言われたとき、どのように直せば変身できるのでしょうか

「暗い」印象の人は全体的に動作が次のように下向き傾向にあります。それを直しましょう。
(1)話すとき、顔や目線や口が下方向を向いている。
(2)手の位置が腰より下にあることが多い。
(3)話すとき、眉や目や頬をあまり動かさず、顔の下半分のみが動いている。
(4)猫背である。
 また、見た目や行動で暗い先生の印象をなくしましょう。
(1)髪型
 おでこを出すと自己開示的になり、安心感や清潔感がアップして、爽やかな印象になります。
(2)服装
 色や形より、意識すべきは清潔感と素材感です。
 シワになっていないか、季節に合った素材といったことに気をつけましょう。
 男性はハリのあるパリッとした素材。女性は光沢のある素材を取り入れると、ぱっと華やいだ印象になります。
(3)動作・話し方
 動作や動きで落ち着きを意識してみましょう。
 ゆっくりと大きく動くと、控えめな印象の人でも、存在感がアップします。
(4)子どもたちに「先生!」と呼ばれたときの反応
 子どもたちの感性はとても敏感です。先生の印象を日々感じているのです。
 だからこそ、
「先生! と呼ばれたら『はい』と笑顔で返事をする」
「その子の目をしっかりと見て話す」(聞いてくれている、認められていると子どもは思う)
「暗い」と言われたからといって、無理に笑顔を作ったり、明るく振る舞ったりする必要はありません。
 明るければ信頼される、というものでもないからです。
 逆転の発想で、自分らしさをプラスへと導きましょう。良い方向に強めることができれば、存在に一貫性が増し、その一貫性こそが相手から信頼・安心感を得ることにつながります。
 実は「暗い」と言われる人は、細やかなことに気づくことができる感性と、思慮深さを持つことが多いのです。
 では、なぜその長所がマイナスに映ってしまうかというと、細やかな感性が自分に向かうことで、エネルギーが自分の内面に向っているからです。
 ぜひ、その細やかな心遣いを、子どもたちに向けてみて下さい。それだけで子どもたちに与える第一印象が変わります。
 教師の口数が少ないことも、短所とは言い切れません。「落ち着きがあって誠実」な印象にもなります。
 言葉を選び、じっくり子どもに向き合うことで、信頼関係を構築しやすくなるものです。
(ちとせ:脳科学・心理学などに基づいたメソッドで「人」を育成する講演・研修を実施している)

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放課後、職員室に保護者からのクレームの電話が鳴っても驚かないようにするには、どうすればよいか

 子どもたちが下校して、ホッとする放課後、くつろいだ気分で、同僚教師と話しているとき、電話が鳴るときがあります。
 すると、それまでの職員室の空気が一変して、教職員全員の顔が一瞬、キュッと引き締まります。
 このようなクレームの電話がこないように、次のような先手の処置を打っておくようにします。
1 子どもたちを笑顔で下校させる
 帰りの会で楽しい話をしたり、ちょっとしたゲームをしたりして、子どもたちが気分よく下校できるような工夫をしましょう。
 子どもたちが集まる教室では、トラブルが起きて当たり前です。
 しかし、トラブルが起きたときに、瞬時にしっかりと対処し、
「今日は、いろいろあったけど、楽しい1日だった」
と、締めくくることができるような、一言を子どもたちにかけて、下校させるようにしましょう。
 子どもたちが気持ちよく下校できれば、保護者からのクレームは、ほとんどないと思って間違いありません。
2 気になることは、必ず保護者に連絡する
 友だちとのトラブルやケガ、厳しく子どもを叱る、ことがあった場合、必ず連絡帳や電話で保護者に報告しておきます。
 場合によっては、家庭訪問の手間を惜しんではいけません。
 わが子からでなく、教師から先に連絡することで、保護者の気持ちが随分違います。
 ほとんどの場合、保護者が教師を好意的に考え、理解を示してくれます。
「忙しいのに、わざわざすみません」と、恐縮してくれることも珍しくありません。
 しかし、万がいち、苦情の電話がかかってきたら、保護者の話を受け入れる姿勢で対応します。
 解決を急いで、教師が先に言い分を押し付けることのないように注意しましょう。
 相づちを打ちながら、じっくり話を聞けば、保護者の気持ちもおさまってきますし、教師の説明を受け入れる余裕もできます。
 保護者の気持ちをいったん受け入れながら、理解を求めていくことが、苦情への対応の基本です。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方研究会」を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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いじめ指導の心得とは何か

 一人の人間として、生徒が相談に来たとき「これはいじめなのか?」と考えるのではなく「生徒が困っている、それをどう指導するか」が、発生した問題を解決する出発点になると思います。
 そのとき、教師にとって大切なのは、どのように解決していくか、クラス全体に何を訴えるかを考えることです。教師として子どもに対する指導力をつけることなのです。
 結局、いじめ指導とは日常の生徒指導そのものにすぎません。世間でいう「いじめ問題」がうまくいかないなら、それは日常の生徒指導に熟達していないだけのことです。
 被害にあっている子どもを教師一人で救うには限界がある。教師一人では対応しないというのが、まず第一の指導の条件である。
 巧妙ないじめが多く、複雑で、簡単に解決できない問題が多い。何か問題が起きた時に、すぐに相談でき、一緒に動いてくれる体制が重要です。
 私は、問題が起きたときや、気になることがあったときは、必ず3人の教師に話をするようにしています。
 そうすることによって、いろいろな角度から状況を把握できるからです。
 教師の指導は言葉でしか指導できない。また、一度や二度の指導で、すべてが解決することはない現実を知らねばならない。
 私は、被害者に保護者の前で次のように確認します。
「また、加害生徒や周りの生徒が何かやってきたり、暴力を振るわれたりしたら、必ず保護者、先生、言いやすい大人に言うこと」
「次に、嫌なことや、暴力を振るわれたら警察に被害届を出すこと」
を提案し、約束をさせることです。
 被害生徒をサポートすることが大事です。
「いじめ」という言葉にとらわれず、傷害、恐喝、器物破損などの犯罪行為であるという認識をもち、いじめられている生徒を徹底して守り通すという観点をもつ。
 警察との迅速な連携が問題行動の予防や早期解決につながると思います。
(瀬田川 聡:横浜市立中学校教師、生徒指導専任教師(13年間)、横浜市立小学校副校長)

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教師の一番の仕事は「子どもをほめる」こと、教師の1日は子どもをほめるためにある

 私は、昔、明石家さんまさんのTV番組「踊る さんま御殿」を字起こししたことがあります。1時間の番組を全て字起こしするのは、大変な作業でした。
 しかし、大きな発見がありました。
 明石家さんまさんの一番の仕事は「笑うこと」でした。
 他のゲストが笑っていない時でも、さんまさんは笑っています。
 あなたが、さんまさんの番組に出たと想像してみてください。
 大スターのさんまさんが、あなたの話を聞いて、必ず笑ってくれるのです。
 あなたは、きっとうれしく、すごく話やすいはずです。
 さんまさんに、笑ってもらうとは、認めてもらい「ほめられる」ことと同じです。
 だから、さんまさんの番組では、ゲストが生き生きと話せるのでしょう。
 教師の一番の仕事は「子どもをほめる」ことです。
 子どもが「自分が何をしても、先生が必ずほめてくれる」。そんな状況を作れば、子どもたちは自信を持って活動ができますね。
 それなのに、若手教師は、ほめることが少なすぎます。つぎの私の名言を胸に、子どもたちをどんどんほめてほしいですね。
「リスクがゼロ、しかも、コストもゼロ、『ほめる』という武器はどんどん使うに限る。使わないのは、もったいない」
「教師の1日は、ほめるためにある」
のだと、心得ましょう。
 そして、子どもたちをどんどんほめましょう。
 子どもたちをどんどんほめると、子どもが教師を信頼します。クラスがうまく回り始めること間違いなしです。
 例えば、授業態度が悪い子どもがいたとき、隣の子どもをほめます。
 手悪さをしている子どもがいた時です。その子どもを叱るのは素人のすること。
 隣の子どもをほめると、手悪さはおさまります。どうしたら、よいのでしょうか。
 教師は、その子どもを叱りたい気持ちをグッと我慢する。
 手悪さをしている隣の子どもを「手を膝に置いて話が聞けていて、エライ!」とほめる。
 すると、その子もほめられたくて、手悪さをやめ、膝に手を置く。
 それでも、手悪さをやめなければ、逆隣の子どもをほめる。
 それでも、やめなければ
「〇年〇組、膝に手を置いて話を聞けるクラスだね」
「いや、一人だけいた。後1人が膝に手を置けば、完璧なクラスだ」と言う。
 それでもやめなければ、当然、厳しく叱る。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

 

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あなたは授業中、どれだけ子どもたちの状態を把握していますか、どうすれば把握力があがるのでしょうか

 授業の進め方はすべて、教師一人ひとりのセンスや好みに任されています。
 子どもを成長させている教師の授業を覗いてみると、子どもたちのほうを向いて、きちん話をし、教科の内容だけでなく、今日どんなことがあったかなど、世間話も織り交ぜ、子どもたちの興味を引く方法も多用しています。
 教師は3年~5年で一人前になればいいという感覚ではないかと思います。
 一方、塾や予備校の講師は、始めてからほんの数か月で魅力的な授業をする人が多いのはなぜでしょうか?
 学校は途中で子どもが辞めることはほとんどありませんが、塾や予備校では、その講師の授業に魅力がなければクレームが起こり、子どもが辞めてしまうかもしれません。
 だから、少しでも早く、子どもにやる気を出させる授業を行えるようにならなければいけないのです。
 結果的に、否応なく、講師は自分の授業力を磨いていきます。
 そのためには、形から入ることもいといません。
 それに慣れていくうちに、後から魂を入れていってもいいわけです。
 だから、塾や予備校では、しゃべり方や挨拶の仕方、しっかりと前を向いてしゃべるといった型を昔から重視していたのです。
 では、どうすればいいのでしょうか。段取りが重要です。例えば、
「では、鉛筆を置いてごらん」
「手はひざの上に置いて」
「はい、こっちを向いてごらん」
「うん、いい顔だ」
と、単指示の繰り返しですが、いうふうにしていくと、必然的に全員が話を聞く姿勢になるわけです。
 板書したら、しっかりと子どもたちの目を見て話をしましょう。
 しっかりと目を見るためには、前を向かなければいけません。
 そのためには、足を前に向けないとダメです。
 人間の身体というのは、足と肩が平行になるようにできているので、最初は身体だけをねじっていても、そのうち気づいたら、必ず足と肩は平行になっているものです。
 子どもに話しかける時に、話す文章の句読点で、子どもを見ることで、対話ができるようになります。例えば
「いよいよ、来週は、遠足ですね」
と、文章の途中で溜めをつくりながら、子どもたちの顔を見回す。
 すると、どうなるでしょうか。
 そうすれば、声に出さずとも、その間に、子どもは心の返事ができるのです。コミュニケーションが取れるわけです。
 多いのは、区切らずに、しかも早口でしゃべりながら、黒板に何かを書き出します。
 それでは、その話は単なる独り言にすぎません。何の役にも立っていない、意味のないしゃべりです。
 それを続けても、教室の一体感が醸成されることはありません。
 そうしたちょっとした気づきがとても大切なのです。
 あるいは、子どもたちに何かを考えて、答えさせる場合に、Aくんを見つめて
「これってどうなるの?」
と、聞いたら、Aくんしか考えない。ほかの子の脳は働きません。
 子どもたち一人ひとりを見回しながら
「これってどうなるのかな~、はい、Aくん」
と、持っていけば、みんなが考えることになります。
 教師になったばかりの人が、たまたまそれに気づけばいいけれども、気づかなければ、そのままずっと何年も経ってしまい、その教師のスキルが上がらないということが問題なわけです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

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子どもは教師の愛が本当かどうかを悪口・問題行動で何度も試します、どうすればよいのでしょうか

 子どもは、教師の愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりします。
 子どもの心を愛で満たそう。
 子どもの心には、コップがあります。
 心に傷を負った子は、コップが逆さまになっています。注いでもらっても、こぼれてしまいます。
 まず、コップの向きを直します。
 そして、心のコップに愛を注ぎましょう。
「いくらやっても、子どもが変わらない」のは、心のコップが愛で満たされていないからです。
 子どもが変わらないのは、心が満たされないからです。
 愛された経験がないので、とまどい、拒否するのです。
 教師の愛が本当かどうかを試します。何度も何度も、試します。
 愛情を確認するために、悪口を言ったり、マイナスの行動をとったりする。
 子どもの否定的な反応は、すべて「お試し」なのです。
 それに教師が乗ってしまうと、振り出しに戻ってしまいます。
 教師は「これ以上、我慢ができない」「限度がある」と思います。
 あなたの努力は、よくわかります。
 しかし、子どもは、何度も何度も、確かめるのです。
 教師の愛情を確認するのです。その愛情が本物かどうか確かめたいからです。
「この人は違う」と、子どもが思うようになるまで、ひたすら愛を注いでください。
 子どもの心が愛で満たされると問題は消えてしまいます。
 子どもを、愛で満たしましょう。
 問題行動を起こす子のほとんどが、心が満たされていません。
 子どもの心のコップを愛で満たしてください。
 愛が満ちると、うそのように問題がなくなります。
 教師は心のプラスの変換機になろう。
 かつて、ある人は、私をいつも励ましてくれました。
 落ち込んで、マイナス思考になる私を、プラスに導いてくれました。
「そんなことないよ。絶対大丈夫だよ」「杉渕さんなら、できるよ」
 私は、あの人に会うと、元気が出ました。生きる力もわいてきました。救われました。とことん落ち込んでいるときも。
 あの人に出会って私は救われた。あの人に出会って、子どもに対する私の見方が変わったのです。
 子どものつらさをプラスに変えてあげよう。
 劣等感のかたまりのような子、落ち込んでいる子を見ます。
 以前の私を思い出します。
 今度は、私が「あの人」になる番です。
「先生、ぼくはできない」
「そんなことはないよ。今できないということは、これからできるようになるということなんだよ」
「ぼくなんて、いないほうがいいんだ」
「そんなことないよ。きみがいないと、このクラスは成り立たないんだ」
「一人ひとりが重要な役割を果たしているんだよ。そのことをきみが知らないだけなんだ」
 教師は、変換器だと思います。
 マイナスをプラスに変換して子どもに返すのです。
 やっているうちに、子どもは変わってきます。
 続けることがポイントです。
 教師は変換器。子どものぐち、マイナスの言葉を受け入れ、プラスの言葉に変えて返そう。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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保護者に「子どもをよく見ている先生」と思ってもらうには、どのようにすればよいか

 学級通信の内容は、子どもの良さを伝えるものが多い。特に小さな良さを見つけて伝える。例えば
「子どもたちを鍛えるために、毎日漢字のテストを行っています。間違った漢字は10回やり直しさせるという厳しさですが、子どもたちはがんばって取り組んでいます。100点を取る人も、とっても増えてきました。
 〇月△日(金)の2時間目も、最初に漢字テストをしました。すると、Aさんが『先生、テストの紙が1枚足りないのでください』と言いに来ました。
 しかし、Aさんは1番後ろの席ではありません。後ろから3番目です。
 見てみると、後ろの2人はすでに名前を書いています。
 Aさんは、テストの紙が足りないことに気づき、先に後ろの人に紙を回してあげたのです。
 Aさんの優しい行動に、心が温かくなりました。そして、とっても嬉しい、幸せな気持ちになりました。
 Aさん、優しいですね!
 クラスに、Aさんのような優しい行動が増えるといいなあと思います」
 こういう記事を読めば、保護者は
「きちんと子どもたちを鍛える、学力をつける先生だ」
「子どもの細かい所まで、よく見てくれる先生だ」
「子どもの良さを認めてくれる先生だ」
 と思ってくださるはずだ。  
 学級通信でほめると、口でほめる100倍の効果がある。
 実名を出してほめ、その行為を典型化していく。
 ちなみに、学級通信での一番のコツは「必ず、読み聞かせること」である。
 配っただけでは、子どもたちは読まない。読むとしても自分の名前のある所だけ。
 学級通信は読み聞かせて、みんなの前でしっかりほめてやることが大切なのだ。
 子どもの小さな良さを見つけ、学級通信の記事にしよう。
 配って読み聞かせ、その子をほめよう。
 そして、良さをクラスの他の子どもたちにも広げていこう。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ、多くの学生に向けて講演も行っている)

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すぐれた教育技術を身につけるには、どのようにすればよいか

 すぐれた技術を身につけるには、学ばなくてはならない。それも、半端な努力ではだめである。
 すぐれた技術は、それを知ってすぐに身につくものではない。
 技術を身につけるということは「技術について理解すること」と「技術を身体に習得すること」の二つを通過しなければならない。
 「技術を理解すること」は、学習においてもできるが、それを「身体に習得させる」ことは、学校現場でやるほかはない。
 「技術」は、その人その人の「使用能力」と合体して表現されることがある。
 「技術+その人の使用能力」それを技能とよぶ。
 技術を技能にまで高めることが必要である。それには修業が必要だ。
 技術は人それぞれの個性と結びつき、それぞれの姿を持つ。
 同じ歌を歌っても、歌手によっておもむきがちがうようにである。
 高い技能水準に達するには、
(1)どのくらいの水準にまで上げるのか目標がなければならない。
(2)目標との差を自覚しなければならない。
 どこが、どのように悪いのかを分析しなければならない。
 優れたコーチは、そこを発見してくれる。上級者の存在が必要だ。
 すぐれた教師に授業を見てもらう最大のポイントは、そこを見てくれることである。たった一言でも万金にあたる。
(3)自分の現状を分析し、その欠点をあばいた上で、それを克服する努力を続けねばならない。
 意識しなくても、瞬間的に使えるようになるまで、自然に自分のものになっている状態まで続ける必要がある。
(4)技能は、一つの技術を使えるという状態から、「多くの技術から瞬間的に一番いい方法を選択して使いこなす」という状態までの広がりがある。技術は多くを知っていなければならない。
 例えば、全校集会で体育館に集まったとき、はじめは騒がしいものである。さわがしい子どもたちをどう静かにさせるか。教育技術という点から考えてみる。
 教育技術のない教師は、「静かにしなさい」「前にならい」をくり返す。教師としてのプロ性はほとんどない。
 最低の教師は、子どもをどなりつける。ほめ方が上手で毎時間ほめている教師はいい教師だ。
 教師なら何かの技を持っているべきであろう。
 誰でも一つか二つの技術を持っていてあたり前である。教師は、それが仕事なのであるから。例えば
 「先生が五つ数えますからね。五つ数えるうちに静かになりましょう。ひとーつ。ふたーつ。・・・・・」
 これは、かなり効き目のある方法である。このような方法をする教師でプロの入り口、新卒程度であろう。
 問題は、いつもいつもこの方法しかとれないことである。
 これでは、教育の幅がせまくなる。自己流の教師に多い。本を読まない教師に多い。
 教育技術はいっぱい持っていた方がいい。いっぱい持っていれば、いろいろ選択できる。
 教育技術をさまざま知ることによって教育の幅は広がるのである。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる)

 

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小学校の高学年女子と信頼関係を結ぶには、どのようにすればよいのでしょうか

 子どもたちの指導の前提として、なくてはならないものは信頼です。
 小学校の高学年女子と信頼関係を結ぶには、どのようにすればよいのでしょうか。
1 すべてを受け入れるべし
 感情をわかってもらいたいのです。とにかく、ひたすら話を聞くことです。
 女子にとって、聞いてもらっているという実感が得られることが大事なのです。
 否定したり、結論を急がしたり、途中で口を挟んだりせず、ただただ「そうか、そうか」と耳を傾けることです。
 聞いてもらえるということは、よさも悪さもひっくるめて全部受け止めてもらうことなのです。
 聞いたことがトラブルにならないよう、記録を取ります。時間と人の流れがわかるように取ることがポイントです。
 すべてを聞き終えた後は、必ず内容を確認します。
 その後、どうしたいのか(どうしてほしいのか)は自分で決めさせます。
 決めたことを見守るのも「傾聴」と同じです。
2「えこひき」が大嫌いで、大好き
 教師の挨拶や声かけ、指名、指導一つ一つの言動が平等かどうかを子どもたちは見ています。「えこひき」を嫌い、教師に不信感を抱いたり教師を嫌ったりするのです。
 そうならないためには、毎日全員に声をかける。挨拶は必ず目を合わせる。特定の子どもばかりを指名しない等を意識することが大事です。
 逆に、一人ひとりの子どもが「えこひき」されていると感じさせるようにします。
 子どもたち一人ひとりに、あなたのことを、ちゃんと見ているよ、理解しているよ、というメッセージを伝えると安心感が生まれます。
 周りに誰もいない教育相談のときが、一人ひとりの子どもに教師の愛を伝える絶好のチャンスです。
 どのように「えこひき」するかといえば、その子どものよさを語るのです。
 その子がこれまで誰にも言われたことがないようなこと、忘れ去っている些細なことを語るのです。
 そのためには、毎日、事実を収集し記録することが欠かせません。
 その事実のなかから価値づけできるものを選び、教師の感情を付け加えます。例えば
「始業式の時、先生の目を見て挨拶してくれたでしょう。覚えてる? 先生ね、あの時、すっごくうれしかったんだ。人の目を見て挨拶できる、素直で温かい子だと思った」
 教師の愛を告げるのは教育相談の最後に語ると一番印象に残りやすい。
 うわべだけのお世辞は、女子はすぐにわかります。心を込めて伝えることが肝要です。
(宇野弘恵:1969年北海道生まれ、旭川市内小学校教師。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル理事)

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授業で一番大事なのは「振り返り」です、子どもたちのよりよい行動につながります

 授業で「振り返り」の機会を持つほど、よりよい行動への変化につながります。
 授業で、丁寧に振り返りの時間を持つようにしましょう。
 今日の授業で、子どもたちに「成長したこと」「がんばったこと」をノートに書き出してもらいます。
 そして、
「そのことを、ペアで話してみましょう」
 さらに、
「では、班で発表してみましょう」
「友だちの成長やがんばったことには、惜しみない拍手を送ることができるといいですね」
「次は、学級全体に発表してくれる人はいますか?」
と、個人、ペア、班、学級全体とつなぐことで、学級全体の場で、子どもたちは発言がしやすくなります。
 例えば、教師が「男女は仲良くしましょう」と何度も言ってルール化しようとすると、子どもたちは「しらーっ」としてしまいます。
 けれども、子どもが振り返りで
「最初は、男子や女子ばかりでペアをつくっていたけれど、後半、男女混合のペアを組むと、男女意識せずに話せるようになりました。これからも男女関係なく接していきたいです」
という発表があった場合、教師が「同じような感想を持った人?」と学級全体に返していきます。
 子どもの口から言ったほうが、価値が高まります。
 子どもたちの感じたことを子どもたちの言葉で表現することで「いいね!」の輪が広がります。
 そのような様子が振り返りでは多く見られます。
 この経験が次の行動につながっていきます。
 振り返りは、次に生かしていくことが大切です。
「今回の学びを次の時間にも試してみよう」と活用シーンを設定すると、生かしやすくなります。
(吉田 忍:1972年東京都生まれ、大手企業の管理職、約6000人の組織リーダーのビジネスコーチを経て、教師向けのコーチングセミナーを全国展開している)

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授業態度が良くない子どもがいるとき、保護者と連携し、保護者の協力を得るにはどうすればよいか

 授業中、教師の話を聞かずに、落ち着きのない子どもがいます。
 学習理解に支障をきたし、周りの子どもたちの迷惑にもなります。
 授業中、手遊びしたり、隣の子に話かけたり、時には立ち歩いたりする子どもがいます。
 注意しても、すぐに同じような行動をして、周りの子どもたちも学習に集中することができません。
 あまりにひどい場合は、教師の指導に加えて、家庭と協力して対応することが必要です。
 保護者に「落ち着きがない、集中力に欠ける、周りの子の迷惑になる」ということを伝えるだけでは、問題を解決するどころか、かえって保護者の反感を買うだけです。
 落ち着きのない子どもの、何が原因なのか、家庭ではどんな様子なのかを、保護者と一緒に考える姿勢、相談する姿勢で話をすることが大切です。
 共に原因を探ったり解決法を考えたりする姿勢で臨めば、保護者も真剣に考えるようになると思います。
 いくら指導しても効果がない場合、他の教師に相談して、自分の指導が悪いのか、子どもに何か問題があるのかを判断してもらうことです。
 客観的にみて、子どもに何か問題があるようなら、保護者に協力をお願いしなくてはなりません。
 保護者に学校での気になる様子を詳細に伝え、現在にいたるまでの家庭での子どもの様子について教えてもらいます。
 そのうえで、どのような対応をとることが子どもにとってベストなのかを保護者を交えて相談する必要があります。
 学習障害と言われるような子どもがいることがあります。しかし、はなから「あの子は・・・・」とレッテルを貼って対応してはいけません。
 自分の指導を厳しく見直して、子どもをよく観察する姿勢を持ち続けましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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子どもたちが、話す力・聞く力を身につけるためには、どのように指導すればよいか

 私は学級づくりと連動させ、1年間を通して話す力・聞く力の指導に取り組むようにしています。
 最初は「型」を教えることから始めます。
 スピーチをするときは、まず礼をして「はじめ・中・まとめ」で話をし、最後に挨拶をする「型」を教え、人が傷つくことや、下品な内容は話さないことを示します。
 話す内容は、事実と気持ちを1つずつ入れた「1+1」の型から始めます。例えば、
「昨日、運動会がありました(事実)。とても楽しかったです(気持ち)」
というものです。
 子どもたちが安心感をもって取り組める易しいステップからスタートするのです。
 慣れてくると、この型を破って個性あふれる話をする子どもが出てきます。ここで、自由にスピーチをさせます。
 そして次は「2+1」で話そうとレベルをあげます。
 このように、型→自由→型をくり返して、徐々にスピーチの内容を膨らませていきます。
 声の出し方や姿勢、話の構成などスピーチに必要な指導のポイントはいくつもありますが、1回のスピーチでは1つに絞ります。例えば
「今日のスピーチでは、数字を入れよう」と提示し、それができたら合格と、ほめるようにします。
 人前で話すことに慣れていない子どもは「これでいいのだろうか」「みんなは、自分の話を聞いてくれるだろうか」と不安でいっぱいです。
 教師がいいところを見つけてほめることで、子どもたちに達成感を味わわせることが大切です。
 話す力の指導でもう一つ必要になるのが「聞き手」を育てることです。
 スピーチの感想を尋ねてみると
「みんなが一生懸命に聞いてくれた」「拍手をしてくれて、うれしかった」
ことをあげる子どもが多い。
 人前で話すときは誰でも緊張します。でも、聞き手が興味をもって聞いてくれれば、その緊張は心地よさに変わります。
 話して・聞き手が育つことで、お互いの意見を尊重し合う雰囲気がクラスに生まれ、一層充実したスピーチが行われるようになるのです。
 コミュニケーション力は、相手がいて、経験の中でのみ、磨かれていく力です。
(菊池省三:1959年生まれ 福岡県北九州市公立小学校教師、2015年に退職。コミュニケーション教育を長年実践した。「プロフェッショナル-仕事の流儀(NHK)」などに出演、「 菊池道場」(主宰)を中心に全国で講演活動をしている。 北九州市すぐれた教育実践教員表彰、福岡県市民教育賞受賞)

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発問や指示は授業や学級を大きく左右する、その極意とは

 発問や指示は授業や学級を大きく左右する大きな柱であるといえる。その極意をつぎに示すと、
1 指示は一度に一つ
 子どもがすべき内容が指示の中にたくさん含まれていると、学級の子ども全員がたくさんの内容を実行することは難しい。
2 指示を出したら確認する
 例えば「教科書の〇〇ページを開きましょう」と言っても、ぽかんとしている、指示が通りにくい子どもがいる。 
 だからこそ、指示通りに動いているかを1人ひとり確認する必要がある。
 指示の一つひとつを確認することが大切である。
 確認作業を甘くみていると、だんだん規律のない学級になっていってしまう。
3 指示はくりかえすことで定着する
 授業が始まる前に、ノートを開いて待っている学級がある。
 その学級は、4月に学級を担任したときから「授業の前にノートを開いて待ちましょう」と指示を繰り返したはずである。
 そして、授業が始まる前にノートを確認したはずである。
 指示と確認をくり返すことで定着する。
 定着するまで、根気よく指導をくり返すことが大切である。
4 主発問は、授業のその時間の目標に直結している
 その時間の目標は何かを考えて授業を構成することが大切である。
 その目標を達成させるための考えを引き出し「子どもに何を考えさせるのか」を明確な言葉で表したものが主発問である。
5 その時間の目標は具体的な子どもの姿で表す
 その時間の目標は、授業が終わったときに到達すべき内容を示したものである。
 そのとき「どんな子どもになっていればよいのか」という具体的な子どもの姿を把握していなければ、達成したかどうか評価することができない。
6 補助発問で学習の仕方を身につける
 単なる主発問の補助的なものととらえるのではなく、学習の仕方を身につけるもの。
「どのように考えればよいか」発問するのが補助発問である。
7 話し合いで考えを高める
 子どもたち一人ひとりの考えをいろいろな観点で話し合うことによって、考えを高めることができし、コミュニケーション力を培うことができる。
8 指示や発問の語尾を工夫する
 同じ内容の指示や発問でも言い方次第で学級の雰囲気は変わるものである。
 例えば
「教科書を出しなさい」
「教科書を出しましょう」
「教科書を出してください」
「教科書を出して」
 いずれも、同じ内容の指示である。あなたは、どの言い方をよくするだろうか。
 命令口調だと子どもは委縮する。お願い口調だと、子どもはつけあがる。友だち口調だと、なれなれしい雰囲気になる。
 指示や発問などの内容や語尾、教師の話す長さ、助言の内容など、教師が授業の中で工夫しなければならないことは多様にある。
(白井一之:東京都公立小学校校長。文部科学省教員表彰)

 

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掃除をさぼる子どもがクラスにたくさんいるとき、どうすればよいのでしょうか

 掃除をさぼる子ども、掃除をするフリをする子どもがたくさんいます。どうすばよいのでしょうか。
 だらだらと時間をつぶさせて、形だけやらせるような掃除指導をやめます。
 第一段階は、素早い動きで、無駄話をしないで掃除するように徹底的に指導します。
 だらだらした動きや無駄話を防ぐために、短時間に掃除を取り組ませます。
 掃除時間が20分間あるとすれば、半分の10分間で掃除を終わらせるように挑発します。
 残った時間は、教室に座って休憩です。
 短時間掃除で、子どもの動きが変わります。
 全力で掃除する充実感を味わいます。
 第二段階は、「丁寧さの指導」です。
「素早く、黙って、丁寧に」の3つができるようになれば、たとえ、掃除時間に教室で休んでいても、誰からの批判を受けることはありません。
 なぜ、掃除をしなくてはならないのか。掃除をする意味は何なのか。分かるように伝えておく必要があります。
 掃除は、子どもにとって最も嫌いな活動の1つです。さぼりたくなって当然です。
 しかし、だからこそ全力で取り組ませる価値があります。
 自分の怠け心とたたかい、打ち克つことの充実感を味わわせることのできる活動です。
 掃除に全力で取り組むことは、相当の価値があることを、子どもたちには機会あるごとに伝えるようにします。
 毎日、全力で取り組めたことをほめることを続けましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

 

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保護者を味方につけなければ、学級は成り立たない、影響力のある保護者をひいきせよ

 今は、保護者の力が圧倒的に強く、学校の力が弱い。
 保護者は、どうしたら教師が嫌がるか良く知っているのだ。だから、担任に直接文句を言わない。いきなり校長や教育委員会に文句を言う。
 教師が一番心を痛めているのが、保護者対応だという事実を忘れてはならない。
 逆に言えば、保護者対応さえうまくいけば、そんなに心を痛めなくてすむ。
 力のない教師が力を持った保護者と戦うなんて無理な話だ。
 だから、私は保護者とは、絶対に戦わない。例えば
 保護者に「最近、忘れ物が多いですけど」「最近、授業態度が悪いんですけど」なんてことは、絶対に言わない。
 できるだけ保護者には苦情を言わなくて済むようにする。
 ちっとしたことでも保護者に苦情を言う教師が多い。その教師は、教師と保護者との圧倒的な力の差を知っているのだろうか。
 教師は、その子の教育に関われるのは1年間限定のパートタイム教育者なのだ。子どもの一生に責任を持つ親にかなうはずがない。
 プロである教師はその限界を知るべきだ。
 新しいクラスを持って、初めて教室の前に立った時、
 私は「このクラスは、この子とこの子を味方につけておけば大丈夫だな」と感じることが多い。
 私ぐらいのベテランになると「教師の勘」が働く。
 当然、その子に対する対応は、手厚いものになる。手の内に入れようと、あの手この手を尽くす。
 それと同じで、保護者についても、
「このクラスは、この保護者とこの保護者を味方につけておけば大丈夫だな」と考えるようになった。
 影響力のある保護者は味方にしないとマズイ。敵に回してしまっては、あっという間に、保護者の多数が教師の敵になってしまう。
 学級懇談会では、多数の保護者から集中砲火を浴びることになる。そのとき、どんなにその教師の味方であっても、少数派の保護者は助けてはくれない。
 逆に、多数派の保護者の支持を取り付けておけば、大丈夫だ。そのためには、影響力のある保護者の支持が欠かせない。
 では、どうやって影響力のある保護者を見つけるか?
 これは、事前の情報が欠かせない。前の学年の担任たちから積極的に情報を得ておくことが重要だ。それが唯一の方法だと言っていいだろう。
 キーパーソンが分かれば、その保護者への対応は、当然、手厚いものになる。気に入ってもらえるように、様々な手を尽くして対応することになる。
 また、他の保護者への影響力はなくても、些細なことでもすぐに学校に抗議に来たり、教育委員会に電話する保護者がいる。そういう保護者は「有名人」だから、情報は自然と耳に入ってくる。
 その保護者の対応も、手厚いものになる。これは当然のことだろう。
 これからの教師は、どの保護者に手厚く対応するかという「策略」を巡らせる必要がある。策略を持たなければ、学級は成り立たないのだ。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

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子どもたちの心をつかむため、教師の発声や表情はどうすればよいか

 教師の声は、明るくはっきり、大きな声が基本です。
 教師の熱意と頑張りを子どもたちや保護者に伝えるためのものです。
 教師は、子どもたちの心を揺さぶり、動かしていかなければならない。
 そのため、エネルギーを常に発散させねばならない。
 発声の練習には、顔の表情の練習も加えていきます。
「一生懸命に頑張っている」という表情です。
 教師が楽しんでいる表情です。
 苦しそうではダメです。 
 つまらなさそうでもダメです。
 あくまでも楽しんでいる表情です。
 教師が楽しんでいなければ、子どもたちも楽しめません。
 頑張っていることが、楽しいという姿勢です。
 メリハリが大切ですから、真顔の練習もします。
 そうした表情のメリハリだけで、子どもたちをコントロールすることができるようになります。
 先生の表情から、子どもたちは「あ、まずいな」「先生、楽しそうでよかった」と、読み取るからです。
 早口が悪いのは、聞き取れない、間がないからです。
 間がないと、聞き手の脳の中で、どんどん情報が上書きされてしまうわけです。
 感情を込めた読み方も勉強する必要があります。
 必要に応じて、身振り手振りもして、動き回って語ります。
 教師が子どもたちをしっかりと見て、自分が見られているということを子どもたちに意識させるのです。
「先生は私に伝えようとしている」
「ちゃんと伝わっているかを確認している」
と、一人ひとりの子どもたちに思わせる。
 声以外に最も大事なのは目の動きです。
「目は口ほどにものを言う」というのは本当です。
 教室では、教師はせかせかせず、まんべんなく、子どもたちを見ていくことが重要です。
 極力、子どもたちを均等に見てあげます。
 教師は、子どもたちを目だけで追ってはいけません。身体ごと、一人ひとりの子どもと正対する。肩から向かわなければダメです。
 教師は自分が思っているよりも、かなりゆっくりとしたスピードで、子どもたちを見ないと、伝わりません。
 教師が子どもたちを見ているつもりでも、見ていないことが多い。
 そのコツをつかめば、子どもたちが30人だろうが100人であっても、伝えることができるはずです。
(大矢 純:1966年生まれ、授業学研究所所長。数学の授業や教員育成などの経験をもとに、授業学の確立と普及を行っている。各地の学校で研修や講演、コンサルティングを行っている)

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担任の指導のやり方に何度も苦情を言う保護者に、どう対応すればよいか

 苦情の電話があれば、学年主任に報告する。小規模校であれば、教頭などの管理職に報告する。必要に応じて、生徒指導主任にも報告する。
 保護者が苦情を言ってきたときには、信頼関係に亀裂が入る危機状態である。しかし「雨降って地固まる」ということわざがある通り、この機会に信頼を取り戻し、回復するチャンスにもなるのである。
 一番最初の真摯な対応が、その後の保護者の印象を左右することがある。
「先生は、しっかりと考えてくれる人だ」「学校は丁寧に対応してくれた」と納得する保護者もいる。
 中には、不満を言うだけで、すっきりされる保護者もいる。
 まずは、どんな苦情かを丁寧に聴く。反論したいことがあっても、一生懸命に聴くことが大事である。
 話を聞いたら、まずはお礼を言う。
 苦情や批判でも、子どものためという保護者の思いはありがたいことである。
 その場で、即答できること、お詫びすべきことは、その場でしてよい。ただし、言い訳が多くなったり、子どもの責任にしたりするのはよくない。
 連絡帳で苦情を受けた場合は、教師から保護者に電話を入れて
「とても重要なことなので、詳しくお話しして頂けませんでしょうか」
と、迷惑にならない範囲で話を詳しく聞きたい。 
 次のようなときは、すぐに返事ができないことがある。 
(1)他の教師が絡んでいるとき
(2)学校全体が関係するとき
(3)管理職の判断が必要なとき
(4)重大な過失があったとき
 学校として対応が必要なときは、すぐに管理職に報告する必要がある。
 管理職の指示をよく聞いて、適切に対応することが求められる。
 個人として行ったことでも、保護者から見たら学校の対応と見られる。
 何度も苦情を言ってくる保護者は、必ず管理職に報告をする。
「何度も言ってくる」ことは、学校の対応に納得がいかなかったり、不満があると思われる。保護者の真意が別のところにある場合もある。
 教師個人では対応は難しく、学年主任や管理職から話を聞いてもらったり、家庭訪問をしたりして対応する必要がある。
 また、どうやって返事をしていいか分からないことはある。
 その時には、急いで答えてはいけない。すぐに管理職に相談して、改めて返事することを伝える。
 その際に、いつまでに、どのように返事をするのかを明確に伝える。
 例えば、何時間後、明日まで、2日後までなのか。電話するのか、直接伺うのか。
 この部分が極めて重要である。誤解を生じてしまったために、保護者の印象を悪くすることがある。
(貝沼浩晃:新潟市立小学校教師)

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教師は言葉による指導が大部分、授業を録音して聴いて、言葉の修業をすると驚くほど力がつく

 自分の授業のイメージと、実際の授業にはズレがあります。
 その違いを認識することが、授業上達への第一歩です。
 毎日、1時間、授業を録音しましょう。
 録音したものを聴くと、
「やたらと話が長い」
「くどい」
「説明がわかりにくい」
「えーっを連発する」
「一本調子」
「同じトーン」
「あいまい」
「子どもをほめていない」
など、いろいろなことがわかります。
 聴いていくうちに、
「こんなはずではない」「これは、私ではない」と、ひどすぎ、いやになってきます。
 あまりにも、自分のイメージとかけ離れているのです。
 私は、3年間、毎日聴きました。いやになりましたね。
「なんて、へたくそなんだ!」
「だれだ、おまえは!」
「あっ、おれか」
 このような自問自答を続けました。
 今は笑えますけど、当時は笑えませんでした。
 録音したものを聴くことにより、いろいろなことを発見します。それが大切なのです。
 自分を客観視することができます。自己改革を迫られます。
「子どもが悪いのではない」
「悪いのは、自分だ」
 私は、毎日、気づいたことを直してきました。
 無駄な言葉を省いていきました。
 ストップウォッチを持って、時間を計ることもしました。指示の時間を計ったのです。
 やっているうちに、いろいろなことがわかってきます。
 授業を録音し、聴いてみましょう。
 教師の指導の表の部分は、言葉による指導が大部分です。
 ですから、言葉について修業しましょう。意識して実践すると、驚くほど力がつきます。
 本当に教師は話がへたですね。今までに、うまいと思った方は10人いません。ほとんどの教師が問題外です。
 テレビ番組は、いい教材になります。
 言葉は、自分の意識のあらわれです。ですから、心が変わらないと言葉は変わりません。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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小学校の高学年女子に嫌われないためには、どのようにすればよいか

 多くの教師が小学校の高学年女子の指導が難しいと感じ、一歩間違えれば修復しづらいと思っています。
 女性教師の方が女子指導に長けているといわれています。女子はかつて自分が経験してきたから、同性だから女子の心理がわかるというのが大きな理由でしょう。
 しかし、すべての女子教師がそうであるかというと、決してそうではありません。同性ゆえに、女子とぶつかり合い、険悪な関係を築いてしまうケースもあります。
 男性教師であっても、女子を手のひらの上で転がすように上手に指導する教師もいます。
 これは、女子という特性に合った指導をすることが肝要であることを示唆しています。
 小学校高学年女子は、潔癖で正義感が強いため、嫌いと思ったら、簡単に許すことができません。
 教師と子どもは立場が対等ではなく、しかも、年齢的にも心情的にも距離が遠いのです。一度溝ができてしまえば、修復することはそう簡単なことではありません。
 子どもは、嫌な人の言うことを、信じようとは思えません。ですから、教師として最低限のつぎのような「嫌われない努力」は必要なのです。
(1)頭ごなしは嫌われる
 思春期の子どもたちにとって、上からの圧力は格好の反発の的。権力で従属させようとしたりすれば、一人の人間として尊重されていないと感じ、反発心を生みます。
(2)自分しか見えていないとバカにされる
 自分しか見えていない教師はバカにされます。
 例えば、子どもたちのニーズに合わないことを一生懸命にやっている教師は、滑稽に見えます。
 自分中心的な教師から教わりたいと思う子どもなんて、そうそういません。
(3)くどいとうるさがられる
 細かいこと、わかっていること、同じことをくどくど言う教師がいます。
 子どもは「うるさいな。わかっているよ」と、指導を聞かなくなる。
(4)不潔・セクシーは気持ち悪がられる
 高学年女子は潔癖です。
「生理的に受け付けないもの」が結構あります。
 例えば、不潔・不衛生なもの。教師の髪型。口臭や体臭、服装などが評価の対象です。
 清潔であることは、もちろんですが、女性の色っぽさにも女子は嫌悪感を抱きます。
(5)教師と子どもとの距離
 執拗に子どもの近くに寄る。身体の接触が多いのはダメ。
(6)下ネタ、セクハラは即刻アウトです
(宇野弘恵:1969年北海道生まれ、旭川市内小学校教師。教育研修サークル・北の教育文化フェスティバル理事)

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教育雑誌や教育書を何回も読むと教師力を高めることができ、教師修業に欠かせない

 私が新任教師のころの研修主任の先生は、時間があれば本を読んでいました。
 私が「何の本を読んでいるのですか?」と尋ねると、
「これは、現代教育科学、授業研究、国語教育、作文と教育の教育雑誌、これは斎藤喜博、大村はま先生の本・・・・」
と、次々と、机の上にあった本を見せてくれました。
「教育雑誌や教育書は、読んだほうがいいよ。教育界の今の課題や流れなどを知ることができるからね」
「子どもたちに勉強を教えるのに、教師が勉強していなかったら、おかしいよね」
 言い方は優しかったけれど、私の心につき刺さる言葉でした。
 小学生の教科書の内容くらい教科書さえ読んでいれば、簡単に教えられると思っていた自分の考えの甘さが恥ずかしくなりました。
 学校帰りにすぐ、本屋に立ち寄りました。とにかく、読みまくって勉強するぞ、という気持ちになりました。少しでも、いい授業がしたい、教師としての力を上げたい。
 本を読み進めると、面白くてたまりませんでした。
 そこには、自分が知らない世界が広がっていて、なぜ今まで読まなかったのだろうと後悔しました。
 この日から、10冊近い教育雑誌の定期購読を始めることにしたのです。一冊でも多くの教育雑誌を読む。教師修業の本格的なスタートです。
 いざ読み始めると難しい内容ばかりです。頭の中に、簡単にすーっと入ってきません。
 研修主任の先生に、読み方について聞くと
「福山さん、これ見て」と、手元にあった教育雑誌とノートを見せてくれました。
 雑誌には、たくさんの線が引いてありました。何か言葉も書いてありました。
 ノートを見ると、雑誌から書き出した言葉が並んでいました。
 私は甘かった。本を一回読んで、あきらめていたのです。ノートに書き写すなんてことは、やっていません。
 さらに、私は質問しました「この雑誌は何回読んだのですか」
「確か、3回かな」「一回読んだぐらいじゃ、分からないからね」
 本当に甘い自分だと思いました。
 本の中に出てくる実践内容や理論が、一つでも多く自分の頭に入ってくるように、何度でも読み返せばいい。
 まずは、分からない内容があったら「?」を書いて読み飛ばす。時には「?」と書いて、ノートに記録しておこうと、考えるようになったのです。
 多い時には、15回も再読したことがありました。頭にすっと浮かぶものも出てきました。
 30数年経った今でも、読み続けています。読むスピードが速くなりました。内容も、さっと読んで分かるものがたくさん出てきました。
 本は読めば読むほど、自分の教師力を高めてくれる「学びのねた」に出会ってきました。
 本の再読を楽しむ。これは、教師修業に欠かせない心持ちだと思うのです。
(福山憲市:1960年山口県生まれ、山口県下関市立小学校教師。サークル「ふくの会」、「ミスをいかす子ども達を育てる研究会」を組織している)

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いじめの前兆に目を光らしたり、いじめがわかったときなど、どう指導すればよいか

 いじめは、いじめられる子どもだけでなく、いじめた子も不幸にする恐ろしいものです。発見したら即対応です。
 いじめの前兆に目を光らします。いじめは「芽」のうちに摘み取ってしまいましょう。
「いじめは」いきなり起きるのではありません。些細なもめごとや、からかいが、徐々にエスカレートして「いじめ」になります。
 ですから「これがいじめ?」と思えるような、かすかな前兆を見逃さないように注意しなくてはいけません。
 いじめの前兆に気づかず見逃すと、子どもや保護者が不安になるだけでなく、深刻ないじめに発展する恐れがあります。
 いじめの前兆を見逃さず、的確に指導することで、いじめを防止することになり、子どもも保護者も安心する。
 子どもや保護者の相談には、真剣に耳を傾けなくてはなりません。「それは考えすぎ」「単なるいたずら」などとは思ってはいけません。
 その子とクラス全体を観察する目をさらに厳しく「いじめの前兆」はないか、どうかを見極めましょう。
 何かことがあるごとに、対応し、保護者に報告します。
 グループから外れる、からかわれやすい、非難をうけやすい、など、そのような子どもがいたら、気をつけて見ておきます。
 そして、機会あるたびに周囲の子どもを指導するようにします。保護者も何となく、わが子が友だちから避けられていると感じています。
 指導するたびに連絡を入れ、日頃から少しずつ安心してもらうよう努めましょう。
 もしも、深刻ないじめを発見したら、いじめと闘う決意を伝える。
 深刻ないじめを発見したら、クラスの子、全員に対してはもちろん、いじめられている子と、その保護者に対しても、教師が全面的に子どもを守ることを約束し、いじめと闘う姿勢を示します。
 いじめを憎み、闘う教師の姿勢で、子どもと保護者の信頼と安らぎを取り戻しましょう。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校長。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる) 

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生徒や同僚と関わる喜びを支えに、崩壊した学級を立て直した

 私は45歳、教師歴23年の中学校、理科の女性教師です。
 私の性格はじっとしていることができず、いつもあくせくと働いています。人に何か頼まれると嫌とは言えず、人に頼ったりすることが苦手なタイプです。
 私は、生徒たちと共に成長していけることに喜びを感じています。
 若い頃は保護者からの協力も得られ、支えられてきましたが、異動先の学校の保護者からの匿名の中傷のはがきが原因で人間不信になってしまいました。
 最近では、保護者からの教師に対する批判も多く、一生懸命やっても満たされない思いが残ります。
 初任の学校では、ほとんどの時間を理科の準備室で過ごしました。先生方からは、実験の準備やコツなどたくさん教えていただきました。
 生徒も休み時間のたびに準備室を訪れ、話をしていきました。
 生徒の対応で困ったとき、よく相談にのってもらったのが体育の女性教師です。
 私は教師になれたら結婚しないつもりでいました。思う存分に生徒と過ごす時間を使いたかったからです。
 しかし恋の病には勝てませんでした。相手の一言で一喜一憂する恋愛による心の不安定さで、仕事に影響を及ぼすことは避けたいと、あまり深く考えずに、新採の年度末にあっさりと結婚してしまいました。
 夫と同じ職場にはいられないということで異動することになりました。異動先の学校は私が太刀打ちできない、毎日が運動会のような荒れた学校でした。
 そんななか私は突然、妊娠による貧血で倒れ入院してしまいました。私が産休に入るには代替の教員を探さなくてはなりません。
 女性教頭に「自分で代替の教員を探しなさい」と言われ、出身大学を訪れ後輩が来てくれることになりました。私はこういう教頭のような冷たい人になりたくないと思いました。
 学年主任は、年配の先生でとても感性豊かな方でした。出産祝いに生徒全員のメッセージを病院に届けてくれました。「これからは教育相談を勉強したほうがいい」と勧めてくれました。
 私の子どもは実家の母が自分の仕事を辞めて見てくれました。母は「あなた教員になったとき、協力するために仕事を辞める決心をしていた」と、後で聞かされました。
 出産後も学校は相変わらず荒れていました。
 一学期が終わろうとしていたある日、1年の女性担任が相談にきて、学級が崩壊し生徒の前に立つのが怖くなって退職するというのです。
 二学期からは、念願がなって初めての担任となりました。ただし、学級崩壊しているクラスです。
 二学期の始業式の日、教室では、一人の子をめがけて、給食の白衣が飛び交っていました。いじめで不登校になりかかっている生徒もいました。
 早速、緊急保護者会を開き、現状を訴え、混乱している子どもたちに、健全な教育をしてあげたいことを力説しました。
 そして、何よりも、このクラスの担任になれたことに感謝し、うれしく思っていることを伝えました。このとき、本当に心からそう思えたのです。
 実は、今までに、このクラスの卒業生の結婚招待状が一番多く届いています。彼らは思い出話を語り、僕たちの恩師と呼べるのは先生だけですと言ってくれます。
 学級通信を1日おきに発行し、生徒ノート(生徒と担任との交換日記)も準備しました。
 運動会のクラス対抗リレーでは、最後は担任が走るのが慣例になっていました。私のクラスが優勝し、閉会式の後、私のもとにクラスの生徒がいっせいに駆け寄り胴上げをしてくれました。
 教師冥利につきる瞬間でした。このような感動を一度でも味わってしまったら、教師はやめられなくなるでしょう。
(佐藤恵子(仮名):中学校教師、河村茂雄編:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)

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困った子どもに出会ったとき、教師はどう接すればよいのでしょうか

 教師に叱られる子どもの気持ちになってみると、叱られたときは、だれだって「自分が悪い」とは思っています。子どもなりに反省もしています。
 しかし、教師に面と向って言われるだけだとカチンとくるのです。先生が叱られる子どもに対して何もしてくれないからです。冷たいからです。
 厳しく注意されたり、怒られたりすると、子どもは「自分は愛されていない」と思ってしまいます。ですから、教師の思いとは逆の方向に走ってしまうのです。
 まずは、あたたかく接しましょう。
 例えば、忘れ物をした子どものために、いろいろなグッズを用意しておきましょう。鉛筆、赤鉛筆、消しゴム、教科書、ノート、絵の具など。
 子どもたちは安心します。
「この先生は、忘れ物をしても怒らない」
「にこにこして、貸してくれる」
と、うれしくなります。
 おがて「ぼくが悪いのに、先生は、ぼくを責めない。それどころか、フォローしてくれている」と思うようになります。
 すると、子どもたちは、だんだん言うことを聞くようになります。
 人間は、自分を愛してくれていると思える人の言うことは、よく聞くものだからです。
 子どもにあたたかく接しましょう。恋人に接するように。
 思っているだけでもだめです。具体的な行動を起こしましょう。
 困った子どもに出会ったとき。
 困った問題行動を子どもがし始めたとき。
 そういうときこそ、その子どもの長所、ただ一点とのみ、つき合いましょう。
 これが大事だと思います。
 どんな子どもにも、いいところがあります。
 その一点とだけ、つき合いましょう。
 それだけで、子どもは変わります。
 困った子どもに出会ったときのポイントは
(1)まず、受け入れ、包み込もう。
(2)長所のみを見て、接しよう。
(3)受け入れられ、認められると、子どもは変わる。
(杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都公立小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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保護者が学校にクレームを言いに来たとき、教師はどのような心構えが必要か

 保護者が、わざわざ来校するのですから、教師が保護者に「何しに来るの」などと思わないことです。
 教師が「忙しい中、子どものためにようこそ」という精神で迎え入れ、自然に笑顔で対応するように心がけましょう。
 教師が笑顔で迎え入れ、保護者に共感の一言をかけることで、保護者の気持ちが和らぎ、円滑で前向きな話し合いが可能になります。
 教師が保護者に共感できるためには、教師が余裕をもって保護者に対応する必要があります。
 教師として、子どもを思う保護者の気持ちに共感できる感性を養うようにしましょう。
 保護者も教師と同じ「人間」です。怒りもすれば、笑いもし、分かりあえることもできるのです。
 教師が、そう考えて対応することによって、教師の考えを保護者に理解してもらうこともでき、前向きな話し合いが可能になります。
 興奮している保護者の感情をよく考えて、言葉は慎重に選びましょう。
 保護者が来校した時、教師の何気ないひと言で、保護者が「何か言いたことでもあるの?」と気分を害してしまい、保護者の気持ちをヒートアップさせる原因にもなりかねません。
 また、共感の一言が大切だからとは言え、納得できないことや、他の人を否定するような話にうなずいてはいけません。
 保護者と一緒に問題を解決していくという気持ちで話し合いに臨みましょう。
 教師に至らない点があれば、素直に謝罪して、改善できることがあれば、改善策を提案します。
 子どものために、真剣に考えていきたいという真摯な姿勢を示さなくてはなりません。
 クレームを言ってくる保護者は、教師の誠意を理解してもらえれば、逆に心強い応援団になってくれることが多いものです。
(中嶋郁雄:1965年鳥取県生まれ、奈良県公立小学校教頭。子どもを伸ばすためには、叱り方が大切と「叱り方&学校法律」研究会を立ち上げる。教育関係者主宰の講演会や専門誌での発表が主な活動だったが、最近では、一般向けのセミナーでの講演や、新聞や経済誌にも意見を求められるようになる)

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不満や悩みの解消に役立ち、生きる喜びも高いものになる人間としての生き方とは

 人間としての生き方はみな異なるものだと思います。
 人間の生き方は、自分に与えられた持ち味を生かし、使命(責任をもって果たさなければならないつとめ)をやり遂げること。これこそが人間としての成功と呼べるものではないでしょうか。
 例えば、ある人が靴を作る仕事をはじめたとします。靴を作って人の役に立ち、喜ばれることが成功となります。
 つまり、人間として成功かどうかの基準は、社会的な地位や名誉や財産ではなく、自分に与えられた持ち味、使命を十分に生かすか、生かさないかというところにある。
 地位や名誉や財産はどんなに努力しても全員がえられるものではないでしょう。
 しかし、持ち味を生かそうとして、人生を生きることは考え方によっては全員が可能だと思います。
 自らの持ち味を生かして生きている人は、地位や財産があろうとなかろうと、いつもいきいきと、自分の喜びはここにあるのだという自信と誇りをもって、充実した人生を送ることができると思います。
 そういう人が多ければ、豊かな活力が生まれ、力強い発展がもたらされるのではないでしょうか。
 最近は、昔に比べれば生活が豊かになったにもかかわらず、不平や不満、不安に悩む人が多くなったと言われます。
 その原因として、人間の成功をどのように思うかが関係しているように思います。
 地位や名誉や財産に重きを置き過ぎて、自分の独自の持ち味を生かし、使命に生きることの大切さが忘れられている傾向があります。それが不満や悩みを増やしているのではないかと思います。
 人生や人間としての成功を、自分の持ち味を生かすことにあると考え、それを求めていくことによって、不満や悩みの解消に役立ち、個人としての生きる喜びも、社会全体の発展や繁栄も、より高いものになると思います。
(松下幸之助:1894-1989年、パナソニック(旧名:松下電器産業)創業者。経営の神様と呼ばれた日本を代表する経営者)

 

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トップ1割の教師が知っている「クラスの子どもの育て方」とは

「どうして、あの先生の言うことだと、子どもは聞くんだろうか?」
「なぜ、あの先生のクラスの子どもはきちんとしているんだろう?」
 そんなふうに気になったことはありませんか。
 すぐれた教師は、自然に「コーチング」の手法を使いこなしているということです。
 コーチングは、人のやる気やアイデアを引き出し、自分自身の力で目標を達成させるための方法です。
 学校で何か問題が起こったとき、いままで多くの場合、教師が正しいことを教えて、子どもにやらせる指導をしてきました。
 でも、コーチングを使うときは、子どもの話に耳を傾け、質問し、子ども自身がどう問題を解決したいかを考えさせます。
 子ども自身が自分で何をやるのかを決めたり、目標を決めたりすることをサポートするのが教師の役割になります。
「コーチングを使ったら、子どもたちとの関係がよくなった」
「クラスがうまくいくようになった」
という声が、数多く寄せられています。
 子どもたちが教師の言うことをきかない。教師の言うことに反発する子どもが多い。
 子どものやる気のなさにイライラする。
 クラスにまとまりがなく、子ども同士がバラバラで、何かを一緒にやろうという意欲が見られない。
 こんなことで困っていませんか。
 教師がコーチングを使うと、
 子どもが教師の言葉に耳を傾けるようになる。
 子どものやる気がぐんぐん出てきて、教師も子どもと話すのが楽しみになる。
 クラスの雰囲気がよくなり、子ども同士のつながりが生まれるようになる。
 子どもが自分で考えて行動を始める。自分の問題の責任をとるようになる。
 というふうに、クラスが変わります。
 コーチングは、200にも及ぶスキルがあります。そのたくさんのスキルの前提になるのが次の3原則です。
 コーチングは、すべての会話がこの3原則からスタートします。
1 双方向性
 教師から子どもへの一方的なコミュニケーションではなく、子どもの話を聞き、質問をすることで、教師と子ども、子ども同士がお互いに考えを伝えあう、双方向のコミュニケーションをとります。
2 個別対応
「たくさんほめる」ときには「見守ってあげる」といったように、子どものパーソナリティーや状況に応じて、関わり方を変えていきます。
3 継続性
 課題の進み具合を共有しながら、最後まで目標に到達できるように、継続的にコミュニケーションをとります。
 クラス運営の中でも、この3原則を大事にしていくと、クラスの雰囲気がよくなり、クラスもまとまってきたと語る教師が多い。
 まずは、クラス運営の中で、場面によって、意識的に3原則を使ったり、試したりしてみてください。
(吉田 忍:1972年東京都生まれ、大手企業の管理職、約6000人の組織リーダーのビジネスコーチを経て、教師向けのコーチングセミナーを全国展開している)

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教師は「悪口を言われるのも、お給料の内」、戦場となっている教室では熱意や誠実さだけでは戦えない策略を巡らせて戦う必要がある

 学校現場は厳しい。教室は「戦場」のようなものだ。
 それなのに、初任者の教師は「武器」も持たず「策略」も練らずにやってくる。それでは「攻撃してください」と言っているようなものだ。
 教師になるような人は、真面目で叱られ慣れていない。だから、打たれ弱い。
 私も打たれ弱い性格だと自覚している。だから、打たれないようにと気をつけながら、なんとか無難に毎日を切り抜けられるようにしているのだ。
 しかし、若手教師は無難に過ごすことは無理だろう。気をつけていても、失敗するはすだ。たった一つの失敗でも、人格否定されるような攻撃を受けることもある。
 特に、学級懇談会が怖い。保護者が集団になって担任をつぶしに来る可能性があるからだ。学級懇談会の後、私は職員室で泣く若手教師を何人も見て来た。それなりの策略を練り、臨むべきだ。
 それでも、集中攻撃を受けることはあるだろう。傷ついたとしても、絶対に辞めてはいけない。
 初任者のクラスの8割が荒れると言われている。1年目の若手教師はどれだけ失敗しようが、辞めないことが一番いいことだ。厳しい1年目を乗り切れば、2年目は絶対に楽になる。
 ちなみに、私は「教師は悪口を言われる商売だ」と思っている。
 どんなに私の前で「中村先生が担任でよかったです!」と言ってくださる保護者がいても、信用してはいない。 リップサービスだと思って、話を半分に聞いている。
 保護者は担任に何かしらの不満を持っていると思っておいた方がよい。そして、陰で集まって悪口を言ったり、メールやLINEで悪口をやり取りしているに違いない。
 教師は悪口を言われるのもお給料の内なのである。そう思えば腹も立たない。また、陰で悪口を言って気が晴れるのなら、とても有り難いことである。教師にやいばが直接向ってくるよりは、よっぽどいい。傷つかなくて済む。
 教師は内閣総理大臣の支持率のようなものだ。内閣の支持率が100%はあり得ない。
 悪口を言われていることを自覚しながらも「策略」を巡らせ、内閣支持率を上げていくことが大切なのだ。
 私が一番こだわっているのが予防です。例えば、やんちゃくんが反抗的になってしまうと、どんな手を使っても指導は入りません。そこで、やんちゃくんが背を向けないように予防することが大切です。
 やんちゃ君とは絶対に対峙しないことです。戦わなくてすむように予防する配慮が必要なのです。戦わなければ負けることはないですからね。
 やんちゃくんと対峙して反抗的になるぐらいなら、放っておけばいいのだ。やんちゃくんの周りの子どもを個別に叱る。やんちゃくん予備軍の子どもたちがやんちゃくんの真似をして悪いことをしようとしたら、怒鳴って止める。
 やんちゃくんが増えていくと、学級崩壊の危険が高まる。だから、やんちゃくんが増えないように周りの子を厳しく叱るのだ。
 ただ、みんなの前で怒鳴られたことを恨みに思って、やんちゃくん化されても困る。だから個別に呼んで叱る方が効果的だ。
 今の教室は戦場になっています。戦場では熱意や誠実さだけでは戦えません。しっかりと策略を巡らせて戦う必要があります。
(中村健一:1970年山口県生まれ、山口県岩国市立小学校教師。授業づくりネットワーク、お笑い教師同盟などに所属。笑いとフォローをいかした教育実践は各方面で高い評価を受けている。 また、若手教師を育てることに力を入れ講演も行っている)

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子どもたちの(スポーツ等での)心づくり指導はどのようにすればよいのでしょうか

(1)子どもたちの心づくりを成功させるためには「心を使う」(目標設定、イメージの原則)
私は、オリンピックの金メダリストたちの分析で、心の大切さを知った。
「どれだけ強烈に自分は勝つと思っているか」
最後は、その心の強さで決まる。勝つ秘訣は「心づくり」です。
心を使うとは「書く」ということです。
目標設定用紙に書いて、目標を立て、達成のための方策、予想される問題点、解決策などを考え書く。
本当にハッキリするまで書くということです。
(2)心を強くする(できることの継続と特例禁止)
登山家の講演会でヒントをもらった「継続」です。
毎日、自分が決めた家のお手伝いを三年間つづけさせます。そして、教師に報告します。
(3)心を整理する(過去の中の後悔、未来への不安の解消)
自分ではどうすることもできない未来のことや過去の後悔などに、心が縛られて萎縮してしまうことがある。
いまの楽しさだけを求めてしまうこともある。
そういう心のマイナス要素を整理して、気持ちを未来に持っていくこと。
そのために役立つのが日誌です。日誌に、その日の反省、明日やるべきこと、自分の決意などを書きます。
私は子どもたちの日誌を読んで、必ずコメントを書いていきます。そうすることで、その子の持っているエネルギーを前に押し出すための後押しができるのです。
(4)心をきれいにする(感謝の心。奉仕活動。清掃活動。エコ活動)
感謝の気持ち、謙虚な心を養うことです。
スポーツで優勝しても天狗になっては意味がありません。自分の力だけで勝ったという傲慢で利己的な発想を排除すべきものなのです。
「ありがというございます」「おかげさまです」の心を育てるために、子どもたちに清掃活動(大会会場の清掃)や奉仕活動をさせています。
(5)心を広くする(生き方ノウハウの提供、自利即利他の原則)
強い選手、日本一になれる選手ほど、嫌がることなく真剣に仲間をサポートします。決して利己的な態度、言動はとりません。
そういう精神を持っている子どもこそ、自立型人間と呼ぶにふさわしいと思います。謙虚であるということです。
 そして、次の四つの方法で実践しています。
 それぞれ「プラン、ドゥ、シー、ショウ」に落とし込んでいきます。
 プラン・・・・目標を決め、計画を立てる
 ドゥ・・・・・・実行する
 シー・・・・・・検証する
 ショウ・・・・公表、共有する
(原田隆史:1960年生まれ 20年間大阪市公立中学校教師、教師塾主宰を経て原田教育研究所社長。大阪市立松虫中学校を態度教育・価値観教育・自立型人間育成教育により建て直し、陸上競技では7年間で13回の日本一を達成した)

 

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教師の心の病には「うつ病」がある、具体的な症状と治療法とは

 心の病で思い浮かべるのは「うつ病」ではないでしょうか。
 心の風邪と呼ばれたこともあり、うつ病患者は年間100万人以上で、診断を受けていない人を含めると500万人以上が罹患していると推定されています。
 うつ病の一番特徴的な症状は、気分の落ち込みです。数日、時には数時間や数十分単位で変化します。
「体が疲れやすく、運動もできない、する気が起きない」「テレビもうるさくて見たくない」
といった状態になります。
 特に、朝の気分が優れず、夕方以降は少し改善することがあります。
「うつ病の人を励ましてはいけない」ということはよく知られています。無理に気分転換を図ったり、活動をしたりすることで具合が良くなるものではありません。
 取るべき対応は通常とはまったく異なる場合があるので、注意が必要です。
 まれに、気分の落ち込みが目立たない「仮面うつ病」と呼ばれるうつ病もあります。
 この場合の症状は「食欲が落ちて体重が減った」「だるい」「疲れやすい」など、身体の症状が中心となります。
 また、最近は「非定型うつ病」と呼ばれるうつ病があります。過眠・過食などの症状が見られ、夕方から夜にかけて気分が滅入る人が多くなります。
 対人関係に過度に敏感になり、周囲を責めるような言動が見られたり、好きなこと楽しいことに関心がもてたりと、従来のうつ病と異なる特徴が見られます。
 一方、「体が鉛のように重い」「イライラ感があまりに強く仕事が手につかない」などの症状が出るため、仕事への支障は小さくありません。
 その他に、「躁うつ病」があります。過度に気分が高揚して活動性が高い「躁状態」と、「うつ状態」をくり返す病気です。最近では「双極性障害」と呼ばれることが多い。
 うつ病は、過労やストレスがきっかけとなって発症するのが一般的です。
 何か「原因」を探したくなるものですが、明らかでない場合もあるのです。
 うつ病の主な症状は
(1)気分の落ち込み
 悲しい気持ち、希望を持てない気持ちが、常につきまといます。何をしていてもつらく、重症化すると仕事や生活にも支障を来たします。
(2)興味と喜びの喪失
 何をやっても楽しめず、むなしさがぬぐい去れなくなります。好きだった趣味もする気が起こりません。
(3)活力の減退
 活力が落ち、疲れやすく、活発に動けなくなります。何をするにもおっくうで、ちょっとしたことにも、取りかかる時間がかかってしまいます。
(4)思考力・集中力・注意力の低下
 本や新聞などの活字が読めなくなったり、人の話が頭に入らなくなったりします。受け答えが遅くなり、ちょっとしたことでも判断や決断が下せず、迷うことが増えます。
(5)自責感
 自分を責めやすくなります。自分が悪いと考えるようになります。
(6)体調の変化
 頭痛や腰痛などの体の痛みなど、さまざまな身体症状が現れます。そのため、当初は精神疾患だと気づかず、内科などを受診する人もいます。
 また、睡眠障害が起き「寝つけない」「熟睡できない」などが、しばしば起こります。
 このほか、重大な症状として「死にたい気持ち」があります。病気のなり始めと、ある程度よくなってきた回復期に多い。今は病気であることを繰り返し伝え、死なないでほしいと約束を交わすことが大切です。
 うつ病になりやすい性格として、次の(1)(2)の性格の人があげられます。
 つぎのような性格の人が必ずうつ病になるわけでも、それ以外の人たちが絶対ならないわけでもありません。
 ただし、うつ病になった人がこうした性格に当てはまる場合、落ち着いた頃に、自分の性格や思考パターンを見つめ直してみると、その後の再発防止に役立つと考えられます。
(1)真面目で几帳面
 何事も適当に済ませられず、徹底的にやり抜こうとするため、知らず知らずのうちに、自分を追い込んでしまいがちです。また、思った通りにいかないときに、大きなストレスを抱かえてしまいます。
 教師は真面目で几帳面な人が多いので注意が必要です。
(2)協調性が高い
「他人に合わせようとする」「周囲との摩擦を避ける」なども、うつ病になりやすいタイプとされています。
 他人への過剰な気づかいから自分の気持ちを抑え過ぎていたり、トラブルが発生した際に、過度に自分を責め、必要以上に責任を感じたりしやすいのです。
 頼まれ事をされた際に断れないことも少なくありません。
 うつ病の代表的な治療法は
 治療が始まってからも、病状には波があり、良くなったり、悪くなったりをくり返しながら改善していくのが一般的です。焦らずその時々の状態に合わせた療養に努めていただきたい。
(1)薬物療法
 うつ病の治療で中心となるのは薬物療法です。
 うつ病では、モノアミンと呼ばれる神経伝達物質が減少していると考えられます。
 この働きを高めるのが、抗うつ剤です。効果が現れ始めるまでに約2週間以上が必要で時間がかかりますが、比較的高い確率で改善が見られます。
 飲み始めの頃は、吐き気や胃の痛み、その後も眠気や便秘などの副作用が出る場合があります。
(2)電気けいれん療法
 頭に電極をつけて電流を流し、人為的にてんかん発作を起こす治療法です。抗うつ剤が無効な場合や、飲食ができず衰弱する危険性、自殺の危険が切迫している場合など症状の重い場合に実施されることが多い。
(3)精神療法
 ストレスを受けた際の考え方を見直し、バランスの取れた思考や行動を実践できるようになることを目的とした療法です。
(真金薫子:東京都教職員互助会三楽病院精神科部長、東京都教職員総合健康センター長、東京医科歯科大学臨床教授)

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教師は、どのようにして授業を改善すればよいのでしょうか

 授業の課題を見つけることが授業改善の第一歩です。課題が見つかったからといって、すぐに授業が改善されるわけではありません。
 どうすれば改善できるかがわからなければ何ともしようがありません。
 例えば、子どもを「ほめることが少ない」という課題で悩んでいる教師がいました。
 子どもをほめているつもりなのですが、一向に改善されません。どうしたらいいのか、お手上げの状態でした。
 具体的な改善策がなければ、かえって悩むばかりになるのです。
 その教師に話をうかがってみると、子どもが正解したらほめるようにしているということでした。正解した子ども、できる子どもしかほめられないのです。
 子どもたちをほめる観点を増やして、どの子どももほめる機会をつくることを意識すれば、よくなるはずです。
 気づいてしまえば当たり前のことでも、自分一人で悩んでいると、気づけないこともよくあるのです。
 自分で考えることも必要ですが、時には同僚や先輩に相談することも大切です。
 日頃から、授業に関して気軽に話せる関係をつくる必要があります。
 本を参考にすることも有効ですが、これだというものに出会えないこともあります。
 教師一人ひとりの個性も違えば、子どもたちの様子も違います。
 絶対的な正解などないのですから、あれこれ考えてばかりいても、授業は改善されません。
 大切なことは、まず何かを変えてみることです。
 子どもたちが変化することを期待して授業を変えるのですから、当然、子どもたちの様子が気になるはずです。
 今まで以上に子どもたちをよく見るようになります。
 子どもたちの、ちょっとした変化に気づくようになれば、授業改善につながる新たなヒントも見つかります。
 たとえ、ちょっとした改善でも、日々積み重なっていけば、大きな改善につながります。自信を持って継続していけばよいのです。
 改善策をただ実行するだけでなく、その方法で子どもたちの姿がなぜ変わるのかも理解することで、子どもたちの変化を待つ余裕ができます。
 問題は、よい変化が見られなかった場合です。
 結果がでないと、ダメだったとすぐに止めてしまう教師がいますが、ちょっと待ってほしいのです。
 少し授業を変えたからといって、すぐに結果が出ることは稀です。子どもも教師も変化にとまどって、すぐに結果がでない対応できないことがよくあります。
 結論を焦らずに実行し続けることも大切です。
(大西貞憲:1955年生まれ、愛知県公立中学・高校教師を経て教育コンサルタント)

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