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濤川栄太(なみかわ えいた)(小学校) 抱きしめると子どもは激変する  

 私はカウンセリングを学生時代から始め、二十年ほどの教師生活と、約十年間のニッポン放送での人生相談などを経て、何万人という子どもたちとその親たちに関わり、貴重な経験をさせてもらってきた。
 シンナーをやめられない子、自宅に引きこもって暴れる子、売春に走る女子中学生・・・。みんなそれぞれに悩み、心を病み、あきらめからひらきなおって荒れてしまっているように見えた。
 暴力団に引き込まれた子どもを帰してもらいに行ったり、家庭内暴力でナイフを振りかざす子どもに、「わかった、私を刺してくれ」と体をあずけたりして、「これで私の命もおしまいか」と腹をくくったことも百回ではおさまらない。
 これまでの数々の経験から得たものははかり知れないが、中でも世の大人たちにぜひとも知っておいてほしいことがある。
 それは、「愛をこめて抱きしめること」が、荒れる子どもたちの心を揺さぶり、胸の奥にしみ入る魔法の薬、つまり起死回生の特効薬になり得るということである。
 どれほどすさんだ心も、温かい「抱きしめ」さえあれば、必ず癒されて立ち直れると断言する。
 「抱きしめ」はなにも体を抱きしめることだけに限らない。大きく育った子どもを抱きしめることが難しいなら、「子どもを認める温かい言葉」を投げかけること。
 たとえば、「ほめること」である。相手の存在を認める「ほめ言葉」は、かたくなに閉じられた心をほぐす万能薬でもあるのだ。
 手をしっかり握って、子どもの目を見つめて、「君のことが心配だから言わせてほしい」と真剣に語りかけることも「抱きしめ」である。
 ふだんから、「いつでも何かあったら協力する。あなたを守ってあげたい。一人で悩まないで頼ってほしい」と言い続けることも「抱きしめ」である。
 このように、子どもは自分が愛情を受けている、必要とされているという認識を持っていれば、けっして道を踏みはずすことはない。一時期、道からはずれたとしても、それまでに受けた「抱きしめ」の蓄積があれば、必ず自分の力で立ち直ることができる。

(「抱きしめる教育」濤川 栄太著 サンマーク出版 2002年)
(濤(なみ)川栄太:
19432009年、20年間の小学校教師を経て、ニッポン放送「テレホン人生相談」回答者、40年間つとめる教育相談では、悩める子どもたちに体当たりで励まし立ち直らせた。元新松下村塾」塾長)

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