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玉田泰太郎(たまだ やすたろう)(小学校)「理科授業づくりの名人」

 玉田泰太郎(19272002年)は、愛媛師範学校、東京理科大学を卒業し、東京都公立小学校教師となった。教職員組合の教育研究集会で活躍し、科教協の会員となり、授業づくりの名人としてよく知られた存在であった。
 玉田の授業は、子どもの前で多くを語らない。玉田が学習課題をだし、それについて子どもたちが自分の考えをノートに書く。机間巡視でそれをのぞき込みながら授業を組み立て、対立する意見を選び出して、指名発表により討論させる。玉田による説明はほとんどないが、子どもたちは、自分の考えを書くこと、ひとの考えを聞くこと、再び考えノートに書くことを通して、教師のねらいに導かれていく。
 最後に決着をつけるための実験を行い、実験の結果とわかったことをノートに書き、正しい気付きへと導く。早く書けた子どもからノートを読ませる。
 先生が最後に「ほんとうはこうなんだ」と言わなくてすむ(学習課題方式の)授業、それが玉田流である。なぜこんなに集中して授業に参加できるのかと思うくらい子どもが集中している。

 玉田の学習課題は、子どもたちみんなが到達してもらいたい目標である、その目標は子どもたちが獲得できるように、具体的な内容や手順を持った本質的な概念や法則である。
 玉田が授業中にノートに書かせる指導は、子どもにとってはクラスの中で何を学び、どのように自分の考えが変化したかを自分自身で確認することができる。教師にとっては子どものノートを見ることにより授業の評価を行う大切な手がかりとなる。
 玉田は自らの授業づくりを名人芸とするのではなく、共有財産にすべく努力した。そのために、玉田は若い時から授業記録と、それにもとづいて仲間たちと授業研究を行うことの重要性を主張していた。毎日の授業こそ実践的な研究の場であるとする玉田の強い意志があった。この日々の授業研究の地道な積み上げこそ、まさしく授業の名人を誕生させる動因となったことを忘れてはならないだろう。

「時代を拓いた教師たちⅡ 教育実践から教育を問い直す」田中耕治編著日本標準 2009


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