学びがいのある教材の発掘はどうすればよいか?
優れた教材は、それ自体、教育力を持っています。子どもたちは相互に関わり合い、物事の本質に迫っていきます。教材の発掘は教師の最も重要な仕事の一つです。教材によって授業は大きく左右されます。授業のねらい、目的がはっきりしていて、そのねらいを実現するような教材を探し、授業を創っていきます。
私がよくやっていることは、新聞や雑誌などで、これは授業に使えそうだと思った記事や文章、写真などを切り取って保存しておくことです。教師になって初めて新聞記事を使って授業をしたことがありました。わずか1枚の写真が、こんなに授業を深めることにつながるのかと、驚いたものです。それ以来、新聞の記事などを切り取っておくことが習慣になりました。
記事は段ボール箱に入れておき、ときどき整理し、価値のあるものだけを残すようにします。
私の記事を選ぶ基準は、点にこだわることです。「視点」「観点」「焦点」のように、面ではなく点です。点にこだわることによって、物事が見えてきます。授業はリアリティが要求されます。その意味でも、新聞記事は役立ちます。これはという記事を授業の流れのなかに位置づけ活用したいものです。
それからテレビの番組表を見て、授業に使えそうなものを録画しておくことです。時間があれば録画を見てメモしておくと後で役立つことが多いです。テレビに限らずメモする習慣は授業づくりにも欠かせません。
本から学ぶことが私は一番多いです。これは使えそうだという箇所には付箋をつけ、簡単なメモをつけておくだけで、あとで教材をさがすときなどに役立ちます。大事だと思うところには、線を引きながら読み、メモなど書き込んでおくと、その本のポイントになる内容がわかります。
いかに教材を探すというよりも、自分が興味を持っているものや、はっと驚いたことなどを蓄積していけばいいのです。それが結果的に授業づくりにも役立つということがほとんどです。教師の知的好奇心や興味が原動力です。
(今泉 博:1949年生まれ、元東京都公立小学校教師、「学びをつくる会」などの活動を通して創造的な授業の研究・実践を広く行う。北海道教育大副学長(釧路校担当))
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