子どもの身体が語る言葉が聞きとれるようになった
鳥山に転機をもたらしたのは、演出家・竹内敏晴のレッスンであった。竹内のレッスンは何らかのスキルの向上を目的にして行われるものではなかった。「からだゆらし」「話しかけのレッスン」など、日常生活の次元とは異なる、深い集中を要する世界のなかで、他者とかかわり、閉ざされていた自分に気づいていくものであった。
これまで、猛烈なエネルギーで授業に打ち込んできた鳥山は、竹内のレッスンに出合って、はじめて自分に目を向けたという。そして、自分の「からだ」が無意識の世界で語りだすものに触れ、今まで行ってきた授業に対して「深い疑い」を抱くようになる。
子どもたちは授業づくりに燃える自分についてきてくれているのではないか、自分は自分のことに目を向けず、授業づくりに逃げこんでしまっているのではないか・・・。
そうした思いで「授業がまったくやれなくなった」という時期を経ながら、鳥山は、自分の「からだ」に正直であることをさぐっていった。鳥山は、もはや、以前のような「熱心」な「いい教師」であることをやめた。しかし、そうしてはじめて、鳥山には、子どもの「からだ」が見え、その「からだ」が語る言葉が聞きとれるようになったという。
教育の根底を支える、自分への向かい方、子どもへの向かい方そのものについて問い直しを迫られていったのである。
(鳥山敏子:1941~2013年、30年にわたって東京都公立小学校で教え、子どものからだと心に生き生きと働きかける革新的な授業を展開。1994年「賢治の学校」を創立した)
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