学級で問題がおきたとき、どうとらえ対処すればよいか
子どもの状況が大きく変化してきているなかで、「子どもの心がつかめない」「子どもとうまく関係を結べない」など、悩んでいる教師は少なくありません。
問題や否定的な事態の中に、子どもの願いや発達の芽を捕らえることができるかどうかが、実践を大きく左右するのです。
トラブルが多いということは、見方を変えれば、子どもたちどうしのかかわりが密であることでもあります。ケンカが多いということはエネルギーに満ちているととらえることができます。ただバラバラなことが問題なのだ、それが合わされば、クラスが大きく変わっていくはずだ。そんな発想や視点が、困難をきりひらいていきます。
学級で起こる問題は、むしろ子どもを成長・発達させる「促進剤」です。
私がかつて6年生を担任したときに、卒業論文で「学校に行けば、トラブルが起こるから通う価値があるのだ」という意味の学校論を展開した子がいました。彼は、問題をみんなで考えあうなかで、なぜ問題が起きたのか、どうすればよかったのかを学ぶことができると述べています。
間違い・失敗を通して、子どもは友だちとのかかわりかたを学び、じょじょに社会性を身につけていきます。
問題が起こったとき、力で押さえようとしても、根本的な解決にはなりません。話しあいを重視し、共感と納得と合意を広げる努力が必要です。その積み重ねが非常に大切です。
現代の子どもたちは、大人が考える以上にさまざまな苦悩やストレスを抱えながら生きています。そんななかで、知性も感性も、とぎすまされてきている感じです。それだけにキレルといったことも、ときには起こるのだと思います。
(今泉 博:1949年生まれ、元東京都公立小学校教師、「学びをつくる会」などの活動を通して創造的な授業の研究・実践を広く行う。北海道教育大副学長(釧路校担当))
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