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子どもの人格の土台となるものを育てるにはどうすればよいか

 人間の人格の土台となるものは、基本的信頼、自己コントロール、自発性である。
 人格の土台は、主に乳幼児期に形成されますが、乳幼児期を過ぎてしまったからと言って、もう手遅れというわけではありません。時間もエネルギーも、乳幼児期よりも余分にかかるかもしれませんが、今からでも人格の土台を作り直していくことができます。
 この三つの土台をしっかりと形成できた子どもは、後の人生において、いろいろな困難や危機に陥った時も、この土台を足場に何とか乗り越えていくことができます。
 これらがしっかりと形成できなかった場合は、この土台そのものがぐらついてしまい、危機がさらに大きくなってしまうでしょう。この状態を立て直すためには、もう一度、一番下の土台から積み直さなければなりません。
この人格の土台となる、基本的信頼、自己コントロール、自発性を育成するには
(1)
基本的信頼
 人間の人格の土台の一番下は基本的信頼です。世の中への信頼、他者への信頼、人生への信頼、そして何よりも自分への信頼のことです。具体的に言えば「生まれてきてよかった。この世の中は信頼できる。人は信頼できる。私は良い存在だし、大切に扱ってもらうに値する。生まれてきて、ああ嬉しい」という気持ちを持てることです。
 基本的信頼を身につけるためには、そのままの子どもを受け入れてあげることが大切です。あなたはあなたのままでいい、あなたが存在することが素晴らしい、こういうメッセージをたくさんもらえると、自分でもそういう風に思えるようになります。それが基本的信頼になるのです。
(2)
自己コントロール
 基本的信頼の土台の上にのるものは、自律、自己コントロールです。自分で自分のことができる。自分で自分を律することです。
 三歳にもなると、他者も理解していきます。そうなると、自己と他者の対立も生じてきます。自己の欲求と他者の欲求、あるいは社会的な場面で折り合いをつけることが求められていきます。他者も尊重しなればならないということを学ばなければなりません。
 これには、葛藤や欲求不満を自分で処理するという高度な機能が必要になります。葛藤や欲求不満を行動化するのではなく、言葉で表現し、解決できるものは解決をさぐり、できないものはあきらめなければならないのです。
 自己コントロールができるためには、大人の援助が不可欠となります。葛藤場面で、どのように対処できるかというモデルをたくさん与えてあげることが必要です。さもないと、解決方法がわからない子どもたちは、ルールを無視してわがまま放題にするか、自分の感情を無視して、ふたをしてしまい、機械的にルールに従うかのどちらかになってしまいます。
 自分の気持ちを自分で把握し、上手に表現することは、自分の行動をコントロールすることにつながります。
(3)
自発性
 基本的信頼感、自己コントロールの次に必要な人格の土台は、自発性です。これは、積極的に人生に取り組み、主体的に生きていこうとすることです。
 自発性がなければ、与えられた仕事をこなすだけのロボットとなってしまうでしょう。自発的に生きてこそ、生きる喜びも生まれてくるのです。どんなことをやりたいと思うか、自分は何が好きなのかを知っている人は幸いです。
 どんな時に意欲的になっていると思いますか? 何かやりたいことを自分で選んで、それをしているとき、意欲的でしょう。意欲がわくには、やりたいことを自分で選んで、自分からするということが必要です。これを自発性と呼びます。自発性を削がれてしまっては意欲はわきません。
(
村本邦子:立命館大学教授 子育て支援等を研究)

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