国語科:「学習のてびき」はどのようにつくればよいか
「学習のてびき」は、子どもたちがどこから手をつけていいかわからないというような状態になっているときに、ちょうどよいヒントになります。
どういうふうにやっていったらいいか示したものが「学習のてびき」です。
たとえば、要点をどのようにして読み取るのか。何について、どんなことを、どんなふうに考えていくのか。話し合うときに、どんなことばで、どんなふうに話し出し、どんなように進めていくのか。といったようなことを示されたものが「学習のてびき」といえます。
目的も資料も子どもも違いますから、そのつど新しく作ります。いろいろなのがあり、それこそ、まったく型がないのです。最初は「ないよりまし」という程度で試みてみることだと思います。慣れが必要だと思います。やってくうちに作りやすくなると思います。
子どもは、本を読んで問題を簡単にとらえられるものじゃないです。それがうまくいくように「学習のてびき」をつくります。「学習のてびき」はそのきっかけを作るためのものです。
「学習のてびき」は子どもの内側の声になって書くのです。教室の子どもになって、たとえば小林さんならこの場面ではこのことばを思いつくな、というふうにてびきを作っていくのです。それがコツです。
とても具体的なもので、子どもなしにはできない。子どもの心を読みながらやっているわけです。いつも本気になって体全体で子どもの心を読んで、その上で、子どもの心にありそうで、でも自発的にはことばになって出てこないようなものを、大村はことばにしているわけです。
「学習のてびき」は子どものことばで書いてあるから、子どももよく考えつくんです。子どもが自分でも自然に言えそうなことばに引かれて、心を耕すものです。
深く読み込んでいって問題をとらえるために、もう少しよく読んでみなさいとか、気をつけてとか、そういう指示をするのではありません。
つぎのように子どものことばでとらえていることが、この「学習のてびき」のよさだと思います。読みながら考えていると、たいてい「学習のてびき」のどれかに自分の考えがうまく当てはまります。ちょうどいいあんばいに。
「学習のてびき」のつぎの実例を見てもらうと、子どもが自分からの関わり方の例がプリントにたくさん載っています。この「学習のてびき」を眺めながら読んでいくと自然にいろんな発想がわいてきます。読んで問題を発見する「学習のてびき」の実例は
・これは問題だ。考えてみなければならない。
・これはおもしろいことだ、もっと調べてみたい。
・ほんとうに? それでは考えてみなければならない。
・そうだったのか、それでは、これはどうなのだろう。
・これはおどろいた、どうしてだろう。
・そうだとすると、こういうことを考えなければならない。
・この点は、みんなで話し合いたい。
・ほんとうに、これはおかしい、へんだ。考え直さないといけないことだ。
・ほんとうにこのとおりだ。どう考えたらいいか。
(大村はま1906~2005年、横浜生まれ、長野県公立高等女学校、戦後は東京都公立中学校で73歳まで教鞭を取り、新聞・雑誌の記事を元にした授業や生徒の実力と課題に応じた「単元学習法」を確立した。ペスタロッチー賞、日本教育連合会賞を受賞。退職後も「大村はま国語教室の会」を結成し、日本の国語科教育の向上に勤めた)
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