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カウンセリングマインドがなぜ求められるようになったのか

 日本の社会が成熟社会へと移行するにともなって、価値観やニーズが多様化した。その影響で、さまざまな生活場面で個性化をのぞむ傾向が強まった。
 「個としての子ども」「個としてのわが子」という個性化が望まれる時代環境になっている。
 学校の生徒指導も従来の管理的で規律訓練的な指導は、多様化した世界で生きる子どもたちが、画一的な「強いられる」スタンスを拒否するのはしかたがない。
 子どもたちの「荒れ」の表面だけを後追いするのではなく、元となる心の奥で突き動かす「深層」を読み解く視点が必要である。そのためには、教師がカウンセリングマインド(受容と共感のアプローチ)をもって生徒指導にあたることが望ましいという考え方が広まっている。
 カウンセリングマインドは、子どもの「あるがまま」を受け入れ、共感につらぬかれた態度をとることである。
 指導不成立の事態を打開し、子どもとのコミュニケーションを別の手だてとして、受容的・共感的な立場で、対話的な技法で耳を傾け、子どもの気づきと改善を見守りつつ支援していく、カウンセリングマインドに立つアプローチに大きな期待がよせられているのではないだろうか。
 「荒れ」という表層の事実の奥にひそむ、心の「深層」を読み解く視点を教師が持つことである。現実の生活で生きることに困難をきたし、生きる意味に混乱をきたしている子どもたちが、心の奥で動く何ものかに突き動かされ、生きる意味の再構成を求めてあがいている。そのような深層の世界を読み解こうとするのがこの視点である。
(
船橋一男 : 1959年神奈川県横浜市生まれ、埼玉大学教育学部教授。生活教育、生活綴り方、生活指導の研究を主に手がける。日本生活教育連盟会員・フレネ教育研究会会員)

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