親からのクレームにどのように対応すればよいか
親への対応に苦慮する教師が増えています。価値観が多様になったこと、親の権利意識が強くなっていること、教育はサービスであるという考え方が影響しているのかもしれません。
今、学校はさまざまな問題をかかえ、有効な対応が求められています。そのためには学校と家庭の連携が欠かせません。
親はわが子のことを心配し、より良い成長を願っています。私たち教師は「自分がこの子の親だったら、どう思うだろう」と、その親の気持ちをしっかり受け止め、ものごとを考える必要があります。
また、教師は教育のプロとしての意見に自信を持ち、子どもへの熱い思いを親に伝えることで親の心をつかみ、親との信頼関係を築かねばなりません。
親の対応の基本は、まず笑顔で迎え、感情的な相手のペースにのらないで、冷静に話し合いができる雰囲気をつくるようにします。親は自分の気持ちをわかってほしいと思っていますので話をよく聞くようにします。「その気持ちわかります」と共感の一言が親の気持ちを和らげ信頼関係を築くきっかけになります。
一人で対応すると後で思い違いが起きたとき、大きなトラブルになる恐れがあります。記録や助言役の第三者の教師を交えて対応するようにします。
メモすると親が気分を害する恐れがあります。話し合いの前に「大切なことを忘れないようにメモを取っておきます」と、一言ことわる配慮を忘れないようにします。できるだけ大切なポイントのみをすばやくメモするようにします。
話の内容によって、その場で即答できない場合があります。回答を待ってもらい主任や管理職と相談したうえで、回答しなくてはなりません。安請け合いは後のトラブルのもとになります。
わが子にやる気が見られないなど、親から相談があった場合、親と一緒に考えながら導いてあげるほうが、親は心強く感じ、頼りにされるようになります。方向を示し、具体策を共に考えることで、つながりが生まれます。
親からの相談や苦言に対して親を安心させるためには、誠実に対応するしかありません。
子どものためにできることは、全力で取り組む気概や姿勢を親に伝え、できる限り早く対応しましょう。あやふやな対応は、親の不安をさらにあおることになります。
(中嶋郁雄:1965年まれ、奈良市立公立小学校教師。「子どもが安心して活動できる学級づくり」の研究に取り組む。「kyoushitu.comニュース」編集長、叱り方研究会を設立)
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