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学級が荒れたとき教師は何をすればよいか

 要約すると「フィードバックしながら、その『根』を発見し、その『根』に向かって指導を集中させること」である。指導した反応をみて、その指導に修正を加えることがフィードバックである。
 特に気をつけることは、たとえば「やさしく言ったから子どもたちは言うことを聞かなかった」と総括し、今度は強い言葉で指導する。それでも、言うことをきかない。そこで、さらに強い指導、脅かしや罰をちらつかせる。学級崩壊は、こんな経緯を経てエスカレートしていく。
 この失敗は、子どもたちが教師の指導に従わないのは、その指導が弱かったからだと反省したことによる。指導には強弱があり、強い指導が必ずしも悪いというわけではない。だが、反省するとき、自分の指導の強弱からしかみないところが問題である。
 指導がうまくいかないときは、深いわけがある。そのわけを明らかにしなくては、事態はますます悪化するばかりである。そのわけを「根」ということにする。
 学級の荒れは、すべてこの「根」から発している。その「根」を発見し、その「根」を除けば、問題は解決する。
 しかし、教師の目はなかなか「根」に注がれない。たとえば「席に着かない」という現象にとらわれてしまう。その意味では、現象にふりまわされないほうがいい。「ベルが鳴っても席に着かない」は現象である。この現象に取り組んで、席に着くようになったとしても「根」が残っているかぎり、また別の「私語が多い」という現象に悩まされることになる。
 したがって、教師の指導に従わない現象がおこったら、まず「この『根』はなんだろうか」と考え、とりあえず、あたりさわりのない指導をしながら「根」の発見に全力を注ぐことである。
 本来「根」が発見できるまでは、やたらに指導しないほうがいいのである。
 こうして「根」が発見できたら、その「根」の切除に向けて、これまでの指導に修正を加え、そこに集中するのである。
「根」の発見はそう難しい作業ではない。およそ次の5点である。
(1)
大きな問題をかかえた子どもがいる
 「この子どもがいなかったら学級はここまで荒れなかった」という諸悪の根源のような子どもである。こういう子どもがいると、その影響を受ける子どもが出て付和雷同するから、学級はさらに荒れていく。この子どもがよくなれば、影響を受けている子どももよくなり、学級の秩序が回復する。
(2)
リーダーシップがみられない
 悪いことを見ても「やめろよ」と言わない。「やめろよ」と言うと、浮いた存在になり、いじめの標的になるので、誰もがものを言わない。このように、リーダーシップがぜんぜんみられない学級はしだいに荒廃していく。
(3)
全体に無気力である
 全体に表情は暗く、笑いもなく、意欲もなく、万事投げやりで、係活動もだらだらしている。そのくせ、たえずおしゃべりしている。教師が注意するとやむが、1分後にはもうおしゃべりがはじまる。だが、子どもたちのエネルギーは出口を失っているだけで、やがて、陰湿ないじめへ向けてエネルギーが放出されるようになる。
(4)
保護者の教師不信がある
 教師と保護者との間のトラブルが増え、保護者が教師に不信を抱き、その不信が子どもの意識に反映し、子どもも教師不信に陥り、そのことが学級崩壊を招くことになる。近年、この例が多くなった。
(5)
教師が嫌われている
 学級崩壊の「根」としてはもっとも多い例である。(1)(4)の対応に失敗すると、必ず教師不信を招く。教師が子どもたちから嫌われたら、学級崩壊はとどまるところがない。
 指導に間違いがあっても、子どもたちから好かれ信頼され尊敬されていれば、子どもたちは教師の指導に従おうとする。そういう教師の力を人格的力量というが、この力量に欠ける教師が増えてきた。そのため、子どもたちから嫌われるようになり、指導も成立しなくなった。
 以上の5つが「根」である。「根」が発見できたら、あとは、その「根」に向けて指導を展開する。
 そこで、どういう順番に着手するかだが、まず「外堀から埋める」作戦が古来よりのセオリーである。外堀にあたるのは、保護者との協力関係の樹立である。保護者の教師不信を解除し、学級再生の助っ人になってもらうことである。保護者の、子どもへの影響力は依然、強いからだ。
(家本芳郎:19302006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)

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