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社会科:活動と学びをつなぐ板書

 小学校の社会科は、子どもが自ら社会的事象に問いかけ、働きかけながら、自分の体と頭を使って学ぶ教科です。
 近ごろ流行している「活動あって学びなし」という現状が一部に見られます。それはなぜか。安野功は「活動」から、価値ある「学び」へと導く教師のかかわりや指導があいまいになっているからではないか、と考えています。
 「活動」によって体得した知識の多くは、断片的で未整理の状態にあります。それを、「比べる」「つなげる」「まとめる」などの思考操作を経て再構成し、そこに社会的な意味を吹き込んでいくことによって、価値ある「学び」が生まれてくるのです。
 そのための手軽で身近な方法として、板書の構造化を安野がつぎのように提案しています。
 板書の構造化は、教師が個々の子どもの発言内容をキーワード化し、黒板に記録・再現します。それらを「類似したもの」と「相対するもの」とに分類・整理し、それぞれの意見の根拠や見方の違いを明らかにしたり、関連する他の事象との関係を見いだしたりする。そうした集団思考によって互いの見方や考え方を再構成していく思考の舞台が、板書なのです。
 板書による集団思考を展開していくために、子どもの反応を予測し、それらの発言内容を黒板のどこに、どのように位置付けたらよいのかを事前に考えておくのが、板書計画です。
 板書計画を立てるには、板書の基礎・基本と基本パターンを理解しておく必要があります。そのポイントは
(1)
板書の基礎・基本
・本時の「学習のめあて」を必ず書く
・中心資料を、必ず板書に位置付ける
・色チョークの使い方を決めて、子どもに知らせておく。
 例えば、「赤色:重要な用語」、「黄色:集約した意見や考え、まとめ」、「白色:資料から読みとった事実や解釈、子どもから出された考えや意見の要約など」
・線や矢印の使い方・方向などに留意する
(2)
板書の基本パターン
・中心資料の比較を中心に、板書を構成するパターン
・資料や取り上げた事実などを関連付けながら板書を構成するパターン
・共通の観点を設けて個々の事実を整理したり、全体から何がいえるのかを集団思考したりしながら板書を構成するパターン
(安野 功:1956年埼玉県生まれ、埼玉県公立小学校教師、文部科学省教科調査官・教育課程研究センター教育課程調査官を経て國學院大學教授)

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