自律的学習とはどのようなものか
学習とは、学習者である子どもが、生活から出発して、生活によって、生活の向上を図るものである。
学習は自己の発展それ自身を目的とする。
学習は、異なった遺伝と異なった環境とを持っているものが、機会均等に自己の発展を遂げ、自己を社会化していくのが学習である。
画一的な教育方法を打ち破ぶる「自律的学習法」は、学習者である子どもが、独自(個別)学習から始めて、相互学習に進み、さらにいっそう進んだ独自(個別)学習を行う組織的な学習方法である。この「自律的学習法」は、性格・能力の異なった子どもが異なったように活動し、しかも、自由と協同に富んだ社会化された子どもを育成しようとするものである。
この「自律的学習法」を実践するためには、環境の整理が大切である。教師もひとつの重要な環境である。教師は学習の指導者で、また共学者である。環境に順応し、さらにこれを創造することは、教師が創造発展することと同じことである。学習すれば教師と子どもがともに全自己を活動させてともに伸び、ともに歓ぶことができる。
このように学習ができるように構成組織した「自律的学習法」は、真剣にこれを実践したならば、他律的教育を実践して得た結果よりもすこぶる有効であって、われわれを驚歎させることは、長い期間(明治43年から大正9年)、多くの学校(鹿児島県女子・京都府女子・奈良女高等各師範学校)の子どもで経験したことである。
私は、教師の教育力を尊重したい。私は子どもの本能を基礎として、教師指導のもとに、自律的学習をとげて人間らしく発展することが可能であることを子どもから教えられた。
「伸びていく」は子どもの信条である。
(木下竹次:1872~1946年、奈良女子高等師範学校附属小学校の主事として、子どもの自律的学習を基本にした「合科学習」を実践し,雑誌「学習研究」を通じて全国に普及させた)
自律的学習とはどのようなものか
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