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相手の心を動かす話し方とは

 相手の心を動かす話し方はどうすればよいのでしょう。
 分かりやすい例が、結婚式のスピーチです。スピーチ慣れしている人の話は、聞いている人に、ある種の安心感を与えます。話の構成が上手いし、場の「空気」が読めているから、その場にあった話し方ができている。
 ところが、そういう上手い話より、花嫁が、両親に向けて涙ながらに語るスピーチは、もっと聞いている人を感動させます。「お父さん、お母さん、今まで育ててくれてありがとう。十分な親孝行もできなくて・・・・・・・」そんな話をすると、聞いている人がもらい泣きをしたりする。
 それは何より、しゃべっている本人の心が、強い燃焼力を持っているからですよね。それが伝わって、聞いている人の心も熱くなったり、共鳴してふるえたりする。
 人の心を熱くさせる、揺さぶるような話をするためには、それに近いものを自分の中に養うことです。つまり、自分がまず感動する。そのことを言いたいという気持ちを熱くさせておく。そのためには、勉強と体験でしょう。
(一龍斎貞水:1939年生まれ、講談師で人間国宝。講談協会相談役)


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