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国語科の読むことに関する教材研究に求められることは

 国語科の読むことを指導する教材研究に求められる基本的な態度は、次の3点であると私は考える。
1 文章(作品)の精緻な教材分析
 多くの文章は、国語教材として書かれていない。したがって、文章それ自体の価値とそれに内在する教育的な価値(国語科の教育目標・内容の具現化に資する)とを見いだすことが求められる。教育的な価値を見いだしたときにはじめて、文章は教材として位置づけられる。
 これまでは、「何」が書かれているかという内容に重きをおく傾向がみられたが、これからは「どのように」書かれているかという文章表現や表現方法、叙述のあり方を明らかにすることが一層重視される。つまり、作品を読み味わうだけでなく、作品の読み解き方や文章中の表現・語句の働きに着目させることが求められるからである。
2 文章(作品)と学習者とのかかわりの確認
 取り上げたい文章(作品)が国語教室の生徒にとって、どのような意味をもつか、生徒がそれらの文章をどのように受けとめるかを予測し、必要に応じて対策を考える必要がある。
3 言語活動の可能性の発見
 それぞれの文章(作品)を教材として取り上げることによって、どのような言語活動(話す・聞く・書く・読むなど)が展開できるかを見通すことが大切である。一つの文章でも、その活用次第によっては、討論の学習や作文・小論文の発想指導に活用できたり、文章の読み方の学習が展開できたりすることがあるからである。
 個々の文章(作品)がもたらす言語活動の可能性を見いだすことは1時間の授業展開を構想することにつながる。
(相澤秀夫:1949年生まれ 公立中学校教師、宮城教育大学附属中学校教師,指導主事、文部省教科調査官を経て宮城教育大学教授)

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