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よい話し方や授業は明快である

 さまざまな研修会、講演会、協議会や授業の場面を見て私が悟ったことは「明快」であることの大切さである。
 よい話、分かりやすい話、説得力のある話、人を引きつける話、それらのすべてにわたって共通しているのは「明快」ということである。
 あの人の授業はなかなかいい。あの人は話が上手だ、などという時、それらは要するに「すっきり」しているのである。
「無駄なものが取り除かれた単純さ」
「混み入った条件が整理された簡潔さ」
「難解なことが日常的な言葉で語られる平明さ」
「抽象的なことが事実や経験と結んで伝えられる具体性」
 によって話も、授業も「すっきり」してくるのである。すっきりした話にはうなずくことができ、得心がいくのである。
 このことを発見してからというもの、私の授業も、話し方にも、常に「明快」を心がけ求めて歩むようにしてきた。それは、さほどむつかしいことではない。ポイントはつぎのようなことになろうか。
「具体例を引く、事実に即する、短く話す、繰り返さない、ずばりと言ってのける」
「核心と周辺とを区別する、核心を際立たせる、無駄や遊びをとり入れる」
「主張を鮮明にする、適切なところで話を束ねてくくる」
「ことわざや格言を引いて主張点を強調する」
 理屈の上でこれらが分かったそのうえに、それらを身をもって実践、具現できるようにならなければならない。常にこれらを心がけて行動するように、私は今でも努力しているつもりである。
(野口芳宏:1936年生まれ、元小学校校長、大学名誉教授、千葉県教育委員、授業道場野口塾等主宰)

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