子どもに好かれ信頼される教師は「ありがとう」と言っている
学校のなかで、よく見ていますと、生徒に好かれ信頼される教師は、かならず「ありがとう」って言っています。
たとえば、生徒集会で話したときに、生徒が非常によく話を聞いてくれたとすると、「きょうは、先生の話をよく聞いてくれてありがとう」と言って終わる。こういう先生いますね。
授業もそうです。授業が終わったとき、「きょうは、みんな一生懸命やってくれたね。先生はとても嬉しかった。ありがとう」と言う先生。けど、そんな教師はまれでしょう。
そういうまれな先生にあやかって、たまには「ありがとう」と言ってみたらどうでしょう。「おしゃべりやめて、こっち向いてください」子どもたちは静かになった。「静かにしてくれて、ありがとう」と言ってみたらどうですか。
子どもに対して「ありがとう」と言うことは、子どもに「自分は、他人から感謝される存在なんだ」ということを教えることができます。そのことを通して、自分は社会の中で生きている一つの存在なんだということを自覚させ、自尊感情をも育てることができると思います。だから、教師が要求したことを子どもがやってくれたら「ありがとう」って言ったいいと思います。
教師の指導がじょうずに展開したのは、自分の力がすぐれているからではない。子どもたちが協力してくれたからだ、ありがたいことだ、こう思える教師になるということでもあります。
だが、「子どもは教師の言うことを聞くのが当たり前だ」と思っている教師には言えない言葉でしょう。
(家本芳郎、1930~2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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