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理科:教材との対面をどのように演出するか

 指導力は、最初から教師の中に内在するものではなく、子どもとしっかり向き合う中でこそ生まれるものである。また、現実の生きた文化にふれる中で、その文化を担う人たちとの出会いを通して、生み出されるものである。
 例えば、綿を育てて綿糸にする人や、藍(あい)や紅花を育て、染色し、機(はた)を織っている人たちを訪ね、綿から糸にする技術や草花から染料を取り出す息の長い手間ひまかけた仕事に感動をもって接したとき、子どもに出合わせたいとの強い欲求が生まれ、教師の指導力が高められる。
 子どもと現実社会の両方から切り離された建物の中だけでの研修の増加は、そうした意味で、指導力を豊かに育むとは思えないのである。蝶々のことを大学で講義するのは楽である。
 小学校の授業で求められているのは、複雑なものを複雑なままに実在の文脈の中で捉えさせることである。そこから基礎基本を発見させることである。
 例えば百マス計算の競争のような基礎を取り出したものをひたすら覚えても生きて働く学力にはならない。実在の文脈を読みとってこそ、基礎が見えてくるのだ。
 科学の知識が豊富であれば自動的に授業を構成できるわけではなく、教材世界との対面をどのように演出するか、それを授業としてどう構成していくか、ということが重要になってくる。
 子どもたちが発見をし、発見したことを友だちに伝え、さらに伝えあうことで深めていくという繰り返しの中で、科学の世界と子どもの関係性は深まっていく。
(金森俊朗:1946年生れ、元小学校教諭、北陸学院大学教授。「仲間とつながりハッピーになる」教育や人と自然に直に触れ合う命の授業を行う。NHKで日本賞グランプリ受賞)


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