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いじめ経験者としていじめとは

 私の場合は、体力もなく、臆病で、勉強もできないうえに転校生ときていましたから「いじめて下さい」と言っているようなものでした。
 一度いじめが始まると、次からはどうでもいい理由を見つけていじめを繰り返して「ゲームへと発展」していくのです。このゲームはいじめられる側にとっては永遠に鬼をやらされている地獄のゲームなのです。
 いじめる側は、たいていグループを組みます。罪悪感を分散して、責任をあいまいにするためです。個人的には「悪いこと」でも集団になると「楽しいこと」に変化し、正当化された気分になるのです。
 いじめは悪いとわかっていても、かばったりしたら今度は自分がいじめられる側になってしまいますから、手がだせないのです。教師に言いつければ、密告者ということでいじめの対象になって、止める人間はいなくなるのです。しかも、いじめは敵味方関係が絶えず複雑に変化していくのです。
 では、いじめはどうやれば発見できるのでしょうか。「何かあったら、いつでも職員室に来なさい」という呼びかけは、ほとんど効果は期待できません。集団心理が働いている学校内では、いじめられている生徒はいじめのことは話しません。うかつな行動はとれないからです。
 生徒に呼びかけるなら、住所、電話番号、メールアドレスなどを生徒に公開して「何かあったら、匿名でもいいから連絡してほしい。必ず相談にのるから。一人で抱え込まないで、一緒に考えよう」と、生徒が学校外から教師に相談を持ちかけられるようにすれば実態をつかむ道が開けて行く可能性はあります。
 小学校のころいじめられていることを父に話したことがありました。しかし「やられたらやり返せ」と言われただけでした。中学二年のとき、あまりのいじめのひどさに耐えかねて親に相談し、父も学校にかけあってくれました。しかし、学校の先生は何もしてくれませんでした。それどころか、親や先生に密告したということで「お前は親にチクるんかい」と、さらにいじめがエスカレートしただけで、何の解決にもなりませんでした。臆病で常に見下されていじめを受ける自分も、他の生徒も、気づいてくれない教師もすべて嫌いでした。
 私のように、いじめられている子は教師にも親にも打ち明けたがらないものです。そういう場合でも、何かいじめの徴候を示すサインはあります。私の場合で言えば、学校のことをあまり話したがらないという態度のほかにも、教科書、ノート、文房具などの紛失、その消費速度の加速といったサインを発信しておりました。いじめの物的被害なのです。
 このようなサインをヒントにいじめを見つけるには、家庭がしっかりしていなくてはなりません。「あんた、なぜ毎週のように上履きをなくすのよ」というところから、子どもの置かれている異常な状況を察知する細心さが必要ですし、その親の疑問をしっかり受けとめる教師との連携が必要不可欠となります。
 いじめを解決するには「ここで仲直りの握手をしよう」というような通りいっぺんの指導では、いじめはその形を変えて温存されるだけです。学校の全教職員で指導に当たり、保護者と協力して取り組まなければならないほど根深い問題なのです。
(宮本延春:1969年生まれ 小学生のときいじめで学校嫌いになり、九九は2の段しか言えず、中学校1年「オール1」の成績をもらう 23歳の時 アインシュタインのビデオを見て感動し 小学校3年のドリルで勉強、24歳定時制高校入学 27歳名古屋大学合格 愛知県私学高校教師)

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