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笑顔は相手の心を豊かにしてくれます

 渡辺はシスター(キリスト教において修道女をシスターと呼ぶ)といっても、いつも心が平穏であるはずがありません。心ない人の言葉や態度に傷つきます。思うようにいかない物事に心をさわがせ、身体の不調で笑顔がむつかしいことがあります。
 渡辺は管理職という立場にいることもあって、人前では明るくふるまい、笑顔でいるように心がけています。暗い顔をして、他の人まで暗くする権利はないと自分に言いきかせています。
 渡辺にとって、笑顔で生きることに意味を与えられたのは、「ほほえみ」という詩との出会いでした。

「ほほえみ」
 もしあなたが、誰かに期待したほほえみが得られなかったなら
 不愉快になる代わりに
 あなたの方から ほほえみかけてごらんなさい
 ほほえみを忘れた人ほど
 それを必要とする人は いないのだから

 それは、ほほえむことのできない人への愛の笑顔であると同時に、相手の出方に左右されることなく、渡辺の人生を笑顔で生きるという、主体性の表れとしての笑顔へと変わってゆきました。
 この転換は、渡辺に二つの発見をもたらしてくれました。
(1)
物事がうまくいかないときに、「笑顔でいると、不思議に問題が解決することがある」ということです。
(2)
自分自身との戦いの末に身についたほほえみには、他人の心を癒す力があるということです。
 とってつけたような笑顔でなく、職業的スマイルでもなく、苦しみという土壌に咲いたほほえみは、ほほえまれた相手にとっては、心が豊かになるのです。
(
渡辺和子:1927年生まれ ノートルダム清心学園理事長)

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