学校規模に関係なく子どもの可能性は引き出せる
島小学校から、他の小学校を経て、境小学校に赴任した。境小学校は児童が千人近くもおり、大きな学校であった。定年退職するまで五年間この学校で仕事をした。
島小学校(11年間校長として在職)で子ども可能性を大きく引き出すことができたのは、「小さい学校」(本校・分校とも各学年1学級)だからできたのだと、よく云われたことがあった。
しかし私はそうは考えなかった。大きい学校なら、いっそう大きな力が出ると考えていたのだった。五年間という短い期間であっても、子どもの可能性、教育の可能性を実現し実証したいと考えたのだった。
ここの仕事は五年間とかぎられていた。そのため私は、ここでは島小学校のとき以上に直接に児童の指導をした。とくに音楽、体育、舞踊、水泳などは、全校の各クラスに直接に手を入れることが多かった。
この境小学校の子どもたちも、島小学校の子どもたちと同じに、一年一年ぐんぐんと美しい可能性を現実の形として花咲かせていった。それは目をみはるような豊かな美しいものであり、どこまで伸びていくかわからないものであった。
子どもの可能性は無限であり、教育の可能性も無限である。学校とか教師とかが、正当な力を出し子どもの成長を助けていったとき、子ども自身も、また教師も、思いも及ばなかったような力を、子どもたちは喜び楽しんで出してくるものである。どんな努力でもして自分を美しく成長させようともするのである。そういうことを境小学校の教師や子どもたちは、いよいよ深く確かに実証したのだった。
(斎藤 喜博:1911年~1981年、1952年に島小学校校長となり11年間島小教育を実践し、全国から一万人近い人々が参観した。子どもの可能性を引き出す学校づくりを教師集団とともに実践した。昭和を代表する教育実践者)
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