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一人ひとりの子どもを生かす多様性のある発問を

 一人ひとりの子どもに差があることを意識し、どの子も自分の力を出し切って答えられるような発問をしたい。一部の子どもに頼って授業を先に進めてしまう教師は、この点を無視しているのである。ではどのようにすればよいか。
(1)
体験や身近な現象の中から発問する「体験談を発表できる発問」
 教科書的な知識量だけでなく、体験の量も影響してくるので、やんちゃな子どもたちも自信をもって考えを発表できる。
 たとえば、動物の学習で「動物によって、触った感じが違うね。どんな感じのものを知っていますか」と発問すれば「あたたかい」「つめたい」「ぬるぬるする」とさまざまな体験が出てくる。このあと「この特徴を使って、知っている動物をなかまに分けると、どういうグループができるかな」と発問する。
(2)
優等生もひっかかる発問を「間違ったとき『えーっ、何で』と驚きを引き出す発問」
 優等生も間違ってしまうような発問なら、どの子も同じスタートラインから出発できる。みんなが安心して間違えられる。理科では仮説実験授業の授業書にある問題の中にすぐれたものが多い。
(3)
学習した知識の中から発問する「暗記した公式だけでは解けない、文章的な発問」
 たとえば「アルキメデスの原理」を学習したあと、「鉄の塊は水に沈んでしまうが、船の形にすると浮く。この違いは何だろう?」と発問するとなかなか答えられない。班で話し合わせたり、ヒントを出したりして時間をかけて考えさせる。
(4)
一人ひとりに合わせたヒントを
 考え方の手順などのヒントを書いたワークシートを教卓の上に置いておき、机間巡視して「どうしても分からない人は、ヒントのワークシートをもらいなさい」と指示する。個別化を進める場合、教師がいちいち声を出して発問したり、ヒントを出したりできなくなる場合、この方式を使う。
(5)
正解を問わないで「あなたはどう考えますかと発問する」
 「この問題の答えは何ですか」などと聞いたのでは、発問というより正解以外は認めない単なる答え合わせである。
 「あなたはどう考えますか」と発問すると、たとえ間違いであっても「私の考え」としては正しく答えているのである。なぜそうなったかを分析したりできる。
 なお、誤答であっても「同じように考えた人は手をあげなさい」と指示し、他にもいることを確認してあげるとよい。一人ひとりの「私の考え」を出し合うことにより「いろいろな考え方があるんだなぁ」と子どもたちは考える。
 たとえば、発問に対する自分の考えをノートに書かせ、机間巡視をしながら、誤答をふくむ多様な例をチェックして、その代表を黒板に書かせる。
 この多様な答えを全員で検討するという展開をするのである。正解以外の答えを利用して授業を展開するのがプロの教師である。
(小森栄治1956年埼玉県生まれ、埼玉県公立中学校教師を経て日本理科教育支援センター 代表。「理科は感動だ」をモットーにした子どもを理科好きに。ソニー賞最優秀賞を受賞、埼玉県優秀教員・文部科学大臣表彰を受ける)

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