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国語科:日常生活で教材や情報を集める方法   安居総子

 教師が日常生活で情報を集めるのに2つの型がある。
 一つは、指導の目標や内容のはっきりしている教材あるいは資料の収集である。たとえば、詩や俳句を集めるとか、同テーマの文章や新聞の切り抜きを集めるなどである。
 もう一つは、発想のヒントを得るために集めるというものである。新聞のコラムに盛られた内容を読み、そこから考えられる要素を自分の生活、体験、知識、教養と関係づけて問題を明確にし、思考の方向性を導きだそうとするものである。授業を構想し内容をきめていく元になる素材というべきものである。発想をうむための源で、そこから発想しようというのである。
 教師個々の生活のパターンによるが、一般的にはマスコミ(新聞、テレビ、ラジオ)から得るものは多いと思う。気になったら集め、切り抜き取っておく。あとでひらめいたりすることが出てくるのである。保存するとき箱に入れておいて、学期に一度取り出して分類するという方法もある。
 全国各地、いろいろな行事がある。ニュースで取りあげられることもある。参加できることもあろう。その地域でしか知らないこと、人々の思いや願いがこめられている。それを子どもたちに共有させたいということも出てくる。
 旅は新たな発見があり、出会いがありで、視野が広がり、異なる視点のあることを知り、ことばをおぼえ、文化を知る。ずれを発見することの大切さを知り、教室に生きてはたらく。
人に対して関心を持つことも大切である。人の生き方に対しての好奇心である。
 その人の生きてきた道、出合ったいろいろなこと、そこから出ることば(思想のあらわれ)に興味を持つことだ。
 日ごろから人への興味、好奇心を持っていると、授業づくりのヒントになってくる。インタビューや教室にきていただいてお話をということも。仕事の達人、外国人、身近な先輩など「人」は有力な教材である。
 集めるにしろ、心にとまったものをメモするにしろ、教師の思いや意志がなければ、外界の何かに触れたところで動き出しはしない。
 集めたメモや切り抜きは、それを広げたり、学習者である子どもたちを思いおこしたりしたときに予期せぬ動きを起こす。その動きが授業構想につながるのである。蓄積されてそれがエネルギーになるのである。
(安居総子:1933年生まれ、35年間中学校国語教師、岐阜大学教授、大正大学教授を経て、学習者側に立つ国語教室の運営を通し、国語教育実践理論の研究を進めている)

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