子どもたちの体に届き染みこませる発声の練習
教師の仕事は話をすることである。その声が子どもたちに受け入れられないものだと、子どもたちは不幸である。
私は子どもたちが気持ちよく体の中に染み込ませていけるような発声を研究した。
体育館の壁に三重の円を描いた紙をはる。そこから10m離れたところに立ち「あ」の音を円の中心にめがけてぶつけていく。
すると、的が絞られた勢いのある「あ」の音が発声できるようになる。それができるようになったら、「ありがとう」「元気ですか」などの日常会話を的にめがけて発声していく。
発声練習をしていくと、お腹の筋肉との関係がわかってくる。そのようになれば、言葉と言葉の間にメリハリが生まれて、子どもたちの心に響く声がだせるようになる。
遠くの子どもに届く発声練習は、
(1) まず外にいる子どもをイメージする
(2) 発声する場所と子どもの間にある物や条件をイメージして発声する
たとえば、「階段を降りるときの発声」「校庭を走るときの発声」などがつかめれば、子どもの心に響く発声に近づいてくる。
子どもたちは教師の声を聞くことで機嫌がいいか悪いか判断できる。子どもたちを指導するうえで「声の量と質」を使い分けられるようにしておくことが大切である。
少なくとも声の「大小・強弱・長短」「明るい・元気・やさしい・厳しい・渋い」声量や声質を表現でき、使い分けられるように技を磨いておくとよいであろう。
(志賀廣夫: 1948年東京生まれ、埼玉県公立小学校教師を35年以上務め、その後愛知教育大学准教授)
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