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授業の技術や方法の原則

 授業がうまい人は、授業の技術や法則を上手に使いこなしている。何気ない一つひとつの「指示」「発問」の中にも、原則に支えられた技術や法則を使いこなしている。
 逆に、授業がへたな人の「指示」「発問」はゴテゴテしていて、原則から大きく外れている。教師が言えば言うほど子どもの頭は混乱する。子どもはざわつく。それを叱って静かにさせようとする。
 授業の技量とは、技術や方法を使いこなせることなのである。絶対守らなければならない技術や方法もあるし、小さな技術や方法もある。大切な技術や方法にはそれを貫いている考え方がある。技術や方法はその考え方に支えられている。
 この考え方を私は原則とよんでいる。私なりの考えで最も重要なものを次の「授業の原則10カ条」とした。
(1)
「趣意説明」の原則:指示の意味を説明せよ
 「こういう目的でこれをやっている」と子どもが理解して行動することが大切である。
 例:「教室をきれいにします。ゴミを10個拾いなさい」と短く、スパッと言うのがいい。
(2)
「一時一事」の原則:一時に一事を指示せよ
 考え方:同じ時に、2つも3つも指示を与えてはいけない。覚えていられないからである。
(3)
「簡明」の原則:指示・発問は短く限定して延べよ
 考え方:指示がくどいと授業がゴテゴテしてしまう。
 例:「一人が3回跳んだら、先生のところに集まります」と指示は短く、具体的に。
(4)
「全員」の原則:指示は全員にせよ
 考え方:聞いていない子がいるのは教師の責任。やがてクラスが崩れていくようになる。
 例:「おへそを先生の方に向けなさい」と全員が教師に集中したのを確認してから指示をする。
(5)
「所持物」の原則:子どもを活動させるためには、場所と時間と物を与えよ
 考え方:考えさせる時間、作業できる机の配置、資料や用具の確保は教師がやるべきこと。
 例:「新聞」を作らせるときは「相談する時間」「作業する場所」「必要な用具」確保してやる。
(6)
「細分化」の原則:指導内容を細分化せよ
 考え方:素人は同じようにしか見えないことでも、プロは指導する内容を細かく分析することができる。
 例:「踏み切りは、足の裏で『ドタン』とするのではなく、はずみがつくように」と、細分化して、解釈をし、イメージ化(国語・算数では発問)せよということである。
(7)
「空白禁止」の原則:たとえ一人の子でも空白な時間を作るな
 考え方:教師の机によんで個別指導していると、課題をやり終えた子どもがいたずらし、教室は騒然となる。
 例:「まず全体に大きな課題を与えよ。その後に個別指導せよ」「個別指導は、短く何回もさせる」「終わった後の発展課題は必ず用意しておく」
(8)
「確認」の原則:指導の途中で何度か達成率を確認せよ
 考え方:教えたことが、どれくらいできるようになったかを確認しなければならない。
 例:朗読させる時には「全員起立。読み終わった者からすわりなさい」とすれば授業に集中が生まれ、状況がすぐに確認できる。
(9)
「個別評定」の原則:誰がよくて誰が悪いのかを評定せよ
 考え方:指導の際に大切なのは、一人ひとりを個別に評定してやることである。
 例:跳び箱を2台同時に使い、跳ばせ10点満点で次々と評定する。「無駄な力が入っていなかった」とか、どこがよくてどこが悪いか分析してポイントを示す。こうした力は、見る目がある人に教わりすぐれた演技をいっぱい見て養っていくほかはない。
(10)
「激励」の原則:常にはげまし続けよ
 考え方:人間が動くには「やる気にさせる」のが一番いい。その時に最も大切なことは「はげます」ことである。
 例:「大丈夫だよ、がんばってみよう」「この前よりよくなったよ」と欠点を克服するようはげましを言い続けること。
(向山洋一:1943年生まれ、元東京都公立小学校教師、教育技術法則化運動代表を務めてきた。教師を退職後、TOSSインターネットランドの運営に力を注いでいる。著作多数)

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