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話を聞かない1年生のクラスづくり 

 教師になって6年目に初めて1年生の担任になりました。入学式で自分のクラスの子どもたちは後ろや横を向いておしゃべりを始めました。教室に入っても、自己紹介している担任の話を聞かずおしゃべりを始めます。
 4、5月と子どもたちの困った言動に振り回されていたとき、忘れかけていた「仲間を大切にする気持ちを育てる」という学級づくりをふっと思い出したのです。
 そこで、仲間づくりのために小集団グルーブを育てるようにしました。個人をほめても、子どもたちは話を聞いていないので意味がなかったからです。
 4人グループをつくり、グループごとに「1班さん、姿勢がいいですね。話をよく聞いていますね」といいながら1班に花丸をつけると、他の班の子どもが「○○さん、いい姿勢をするんだよ」といって子ども同士で声を掛け合っていきます。
 すかさず「さすがリーダーですね。友だちのことをよく見ていますね」というと、グループのみんなは顔を見合わせながらニコニコしています。
 すると、正しい行動がグループごとに連鎖反応していき、学級全体がピンとした空気に変わりました。
 帰りの会には「今日のすてき」というコーナーをつくりました。友だちにやさしくされたこと、素敵なことをしている友だち、がんばっていたことなどを発表します。
 友だちに認められることで子どもは自己肯定感をもつことができます。そして、友だちの素敵なところをみんなで共有し合うことで、知らなかった友だちのよいところを知ることができます。
 けんかが起こったときは、五十嵐はみんなで話し合って解決するようにしました。
 けんかした子にそのときの状況を一人ずつ話してもらいます。それを五十嵐がわかりやすいように図を交えて板書します。
 そして、子どもたちに「どうしてけんかになったのでしょう。どうすればけんかにならなかったのでしょう」と五十嵐が聞きます。
 けんかを冷静に分析した子どもたちは、どんどん自分の考えを出していきます。「叩くのでなく嫌な気持ちを話せばいいと思います」それを聞いてけんかをした子もだんだん冷静になっていきます。
 「そうか。嫌だって言葉で言えばよかったんだ」と、みんなで解決できたことを喜び、言葉で気持ちを伝えることの大切さを学びます。
 休み時間には、どんなに忙しくても子どもたちと遊びます。担任が加わるとみんなが集まってきます。授業中に見せない姿も発見できます。飾らない姿でぶつかり合うことで仲間っていいなという思いが学級を一つにしていきます。
 ありのままの子どもの姿を受けとめ、仲間を大切にする気持ちを育てていけば、子どもたちは心から学校が楽しいと言うようになる。
(五十嵐百恵:1980年生まれ 神奈川県公立小学校教師)


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