辞書引き学習法の特徴とは何か
辞書引き学習法は主に「国語辞典」を活用して学ぶ学習法と「漢字辞典」を活用して学ぶ学習法をさす。
かな文字を習い始める小学校1年生から国語辞典を与えることで、日常生活における疑問や、子どもの生活上で登場するものやことを調べさせ、自ら学ぶ態度や自ら学ぶ学び方を習得させようとする学習法である。
また、漢字を習い始める小学校1年生から漢字辞典を与えることで、漢字の部首に着目して、漢字を調べたり、系統的に覚える学び方を習得させ、興味を持って自ら漢字を学ぶ態度や漢字を読み書きする力をつける学習法である。
付箋紙に、辞書で調べた言葉を書き込み、辞書にはさむというプロセスに特徴があり、小学校1年生の児童でも、数千枚の付箋を辞書にはさむようになる。
辞書引き学習法は
(1)小学校一年生から始めるのがよい
小学校一年生は、言葉に対する興味・関心が非常に高まった状態にある特別な時期なのです。
小学校入学前の子どもというのは、自分がすでに獲得して使いこなしている言葉と、自分の体験との間にギャップがある。子ども自身は、見て知っているのだけれど、なんと表現したらよいかわからないといった状態です。
ですから、小学校で自分の体験に合う言葉と出会うと、新鮮な喜びを感じるのです。まるでスポンジのように新しい言葉をどんどん吸収していきます。
このような時期に辞書を与えると、五ヶ月たてば、辞書に付箋が何百枚も貼られ、分厚く、はち切れそうな国語辞典になる。
(2)辞書を自由に使わせる
一年生に辞書を持たせると、何が書いてあるか興味しんしんで、辞書を調べるというより、いろんなことが書いてある読み物なのです。
辞書というのは、世の中のことを簡素にのべようとしています。だからこそ、子どもにも訴えるものがある。
その説明を読むこと自体を楽します。子ども向け辞書にはイラストが多く、眺めているだけでも楽しいものです。自由に使わせて多様な活用の仕方を見つけさせることが大切なのです。
(3)知っていることがどう辞書に書かれているかを知ることが学問との出会い
子どもたちに辞書を持たせると、まず知っている言葉さがしにハマる子が多いのです。
一年生の辞書の使い方の特徴として、すでに知っている言葉を探すというものがあります。ふだんの生活の中で見聞きしているものや、話している言葉、体験していることも、辞書に掲載されている。
たとえば、自分が知っている“チューリップ”が、辞書の中で、説明されているようすに子どもたちは新鮮な驚きを感じます。これは、いわば「学問との出会い」、すなわち、世界を客観的にとらえる第一歩だといえると思います。
(4) 「学びのスタイル」を身につけることができる
国語辞書は、生活の中で登場するあらゆる事柄や言葉を網羅しています。ですから、日常の中で子どもが疑問に思ったことをすぐ調べることができる、手軽なツールになります。
「疑問に思ったら辞書を使って調べる」ことが朝起きたら顔を洗うのと同じように、生活にとけこんでしまうのです。
この「学びのスタイル」を身につけた子どもは、学ぶことを苦労と思わなくなります。
生活を丸ごと網羅している国語辞典が、生活を知的にとらえ直そうとしている小学1年生の教材として最適なのを理解していただけると思います。
(深谷圭助:立命館小学校校長、教育学博士、「辞書引き学習法」の提唱者)
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