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教師と子どものコミュニケーションでたいせつなこと

 学校現場でのコミュニケーションとして重要なことは、一方的なコミュニケーションにならないようにすることです。
 一方的なコミュニケーションにならないようにするカウンセリング技法をいくつか紹介します。
(1)
子どもの態度や動作にあわせる
 子どもの態度や動作にあわせることによって、気が合い、心が通じやすくなるのです。
 たとえば、表情や手の動き、身体の揺れ、呼吸などのボディランゲージ、声の大きさ、テンポ、トーンなどの話し方、その子どもの特徴ある言葉使いなどに合わせることによって、コミュニケーションをとりやすくするのです。
 例として、「授業中に問題がうまく解けずにいらいらしている子ども」がいたとき。
 その子が速い呼吸、高いトーン、大きな声を出しているとすれば、最初は教師が相手の子どものペースで関わりながら、徐々にゆったりとしたペースにもち込むのです。
 こうすれば教師自身も落ち着いて話しができ、相手も徐々にコミュニケーションのできる状態になっていくのを感じることができるでしょう。
(2)
開かれた質問をする
 子どもが問題をどう把握しているのかを知るために、子どもの見方にたって
「どのように思いますか?」
「なぜ、そのように感じるのですか?」
「何が、そのような行動を起こさせるのでしょうか?」
 
など、一言では答えられないような質問で、相手の自由な応答を促すのです。
 授業であれば「今日の授業で理解できなかったところがあれば何か言ってください」と問えば、返答するパターンはいくとおりもあります。
(3)
子どもが肯定的に反応する流れをつくる
 子どもが「はい」と答えるような質問をしたり、子どもが賛成するようなことを述べることによって、子どもが肯定的に反応する流れをつくるようにします。
 これによって、お互いの関係を安定させ、コミュニケーションの活性化が図られます。
(4)
肯定的な意味づけをする
 たとえば、子どもが不登校になったとします。親にとっては子どもの学力が低下し、今後の成長に不安が出てきます。
 しかし、この不登校という出来事を新たな、家族の変化という視点で考えて「子どもが不登校で夫婦の会話が多くなり、お互いの気持ちを話せるようになった」というような肯定的な新たな意味づけをします。
(5)
イメージを使ったコミュニケーション
 たとえば、コンピュータ機器への落書きをなくすために、子どもたちがコンピュータ機器になったイメージを使って、落書きや、手荒い扱いを受けたときの身体感覚を疑似体験させていくのです。
(
上野和久:1953年生まれ、元和歌山県公立高校副校長、和歌山心療オフィス所長。臨床心理士、日本カウンセリング学会認定カウンセラー)

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