授業に求められる動機づけの工夫
小学校の体育の授業のとき、教師が「きょうは鉄棒です」とつげると、子どもたちが「鉄棒なんかできないもん」「やりたくないもん」と、学級の子どもが大騒ぎ。
なにかやろうとした矢先「できない」「やりたくない」と拒否されると、教師はがっくりする。このごろの子どもはこわれやすくなって、傷つきそうなことは、避けるようになった。
といって、「文句を言わずにやれ!」とむりやりにやらせることは、あまりいい方法とはいえない。鉄棒がいやで不登校になったという子どももいるからだ。
そこで、小学校では「きょうはコアラちゃんごっこをしまーす」と、子どもたちにとって親しい動物の名前をあげて、鉄棒あそびに親近感を抱かせる実践が試みられるようになった。
こうすると、子どもたちはおもしろがって「ぼくコアラになる」などと鉄棒にぶら下がったり巻きついたりするというのである。
中学校だと「きょうの授業は忍者ごっこだ!」と、鉄棒を自在にこなそうというはたらきかけである。
なんとか鉄棒の楽しいイメージをふくらませ、動悸づけようというのである。
授業は最初の五分間に子どもたちを引きつけられれば、あとは慣性の法則がはたらいてだいたいうまくいく。だから、授業の最初の動機づけが勝負なのである。
どうしたら、子どもの心を開き、やる気を引き出せるか、動悸づけの工夫が問われている。
(家本芳郎:1930~2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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