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これからの教職生活のために新任教師にやってほしいこと

 新任教師の特権を十分に行使した人は、三十歳代半ばから、ほんとうにいい仕事ができます。
 新任教師の特権は、まず、未熟さです。
 どうしてよいかわからないことを、まわりの教師にえんりょしないでたずねることができます。失敗も大目にみてもらえます。これは、長い教職生活の中で、最初の二、三年間だけしか認められていない最大の特権です。
 この特権をうんと活用し、大胆に、豊かな失敗を積み重ねていくことが、将来、一人前の教師となるためのすばらしい財産を築くことになります。いじけていては、決して伸びません。ふとりません。
 二つ目は、新鮮な感受性です。何もかも目新しいことばかりです。どんどん取り組もうという意欲もあります。何でも、見てやろう、聞いてやろう、やってやろうと、貧欲に手がけることができます。変に先見えしないので、全力投入でやれます。
 三つ目は、時間があるということです。対外的な仕事もありませんし、校内の実務責任者でも、会議のまとめ役でもありません。だから、こどもと接したり、研究に打ち込んだり、本を読んだり、サークルに出かける自由があります。
 新任教師の特権を十分に行使しなかった人は、わびしい力量しか身につけず、卑俗な教師になっていきます。だから、三つの新任教師の特権をフルに使ってほしいです。
 そのためにはまず、徹底して本を読んでほしいのです。こどもが好きというだけでは、長い教職生活はつづきません。情熱というものは、せいぜい五年ほどしかつづかないようです。
 あまり勉強しないでいると、四十歳代になったとき、若い教師にとって、全く魅力のない教師になり果ててしまいがちです。
 自らが日々学習をしない教師は、決して子どもから学ぶことができません。子どもから学べない教師は、子どもたちにとっても、学びとることのできない魅力のない教師です。
 親から、「このごろ算数ができなくなりました。どうしたらよくなりますか」「不良じみたことをし始めました。どうしたらよいでしょう」といった相談に、的確に、しかも簡素に答えられるような力は、教職の専門家として当然必要とされる力です。
 教師は、今後、広い視野と、深い見識と、高い力量を社会的に期待されるようになるでしょう。読書を当分は徹底してやっていくことを、あえて勧めます。
 また、職場での人と人とのつながりも大切にしてほしいのです。あいさつをして人と話し合えるようになること、ちょっとした手伝いは快くやってあげることなど、ちっとも損にはならないことです。人ととけ合う能力を培っていくことが、やがて職場全体の統一を築き上げていく力量の土台ともなっていきます。
 最後に言いたいこととして、ぜひ、うでをみがいてほしいということです。学校と家との往復だけでは、力はあまりつきません。板書を美しくといったうでを上げることを軽視してはなりません。
 職員室や、保護者を前にしての話し方も、授業の展開も、こどもを生き生きと掌握するのも、すべて、うでをみがくということになります。思いを実現するのは技術です。具体化するのは実践です。こういったことは、個人の努力だけではむずかしいのです。やはり、教育サークルの中で学びとるものが実にたくさんあると思います。
 平凡なことでしょうが、よく勉強し、よく人ととけ合い、しっかりうでを上げていくということが、今後三十数年間にわたる教職生活にとって、きわめて大切なことだと思います。
 失敗を恐れず、大胆に、豊に失敗の経験をたくわえていってほしいと思います。
(岸本裕史:1930年~2006年、元神戸市小学校教師、百ます計算の生みの親、「学力の基礎をきたえどの子も伸ばす研究会」を結成し代表委員に、陰山氏はこの会の会員)

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