我慢できなくなった子どもたちに対して、指導方法を多様にして学習ばなれを防いでいる
子どもたちの学習ばなれ、学力低下はさまざまな調査で指摘されてきている。
ただ、子どもたちの変化は学力だけではない。取材に行くと、学校の教師が口をそろえて出てくる言葉がある。「子どもが我慢できなくなった」と言う。
学校現場で取っているその対策は、たとえば、
子ども一人ひとりの理解状況に応じて指導形態を変える方法です。習熟度別にいくつかクラスを設けて、子どもの能力に合わせた、ていねいな指導を行っています。
以前は反発がありましたが、今では小学校で7割、中学校では6割以上の学校で実施しています。これだけ多くの学校が実施し、増えているということは、授業が理解しやすく、保護者も納得しているからでしょう。
このほかに、グループ学習などを取り入れたり、子ども同士でペアを組んで学習に取り組むなど、小規模の学習集団をつくって授業が展開されることが増えてきた。
教師から一方的に知識を伝え、教え込ませるという授業スタイルから、少人数の中で、子ども同士が学び合い、教え合いができる仕掛けを授業の中で工夫されてきています。その結果、子どもたちの学習に対する意欲が高まっています。
また、総合的な学習の時間では、自然体験や職場体験を行い、自然や社会とのつながりのなかで、学習の意欲を高めていこうと取り組んでいる学校も増えています。
それと、習熟度別の授業で、どのクラスを選ぶのかを子どもの判断にゆだねたり、総合的な学習の時間や中学校での選択授業でも、テーマや教科を自分自身で選んでいくなど、複数の選択肢を用意して、自己決定させる機会を増やしています。これは、自ら考える力を育てるために役立つと思います。
(小泉和義:ベネッセ教育総合研究所・情報編集室長。全国の小・中・高校の現場を取材し、子どもたちの実態や学校での指導課題を踏まえ、教育に必要なことは何かを発信している)
| 固定リンク
「授業のさまざまな方法」カテゴリの記事
- 創造的な学びで、社会に求められている自立型人間を育成する 伊藤邦人(2021.07.25)
- グループ学習の代表的な手法 町田守弘(2021.03.19)
- どのような子どもでも取り組めるワーク作りとは(2021.02.17)
- かならず成功する「本の読みきかせ」の方法とは(2021.02.07)
- 子どもとともにつくる授業をするために必要なこととその例(2021.01.28)
「学習指導・学力」カテゴリの記事
- 音読で学力が上がる、おもしろいと思わせる工夫をするとよい(2016.10.17)
- 基礎学力をつけると子どもが落ち着き問題行動も減る、基礎学力づくりを実践した学校の方法とは(2016.09.06)
- 教えることは難しい、子どもに学ぶ意欲をうながすにはどうすればよいか(2016.04.13)
- 授業で教えたいことを教えないことが、子どもたちの集中力をつくる(2015.10.06)
- 授業で「話し合い」の学習指導はどのようにすればよいか(2015.06.09)
コメント