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指導力不足教師のタイプ

 鈴木義昭さんは東京都教育委員会で指導力不足教員の研修を担当した。指導力不足の教師をタイプ別に分けると次のようになる。
1 子どもとのコミュニケーションがうまくとれない(このタイプが多い)
(1)
子どもとコミュニケーションをしない
 コミュニケーションを子どもたちと取ろうとしない拒否型である。
 授業が一方的な説明で始まり、子どもが理解できたかどうかは、形式的な「いいですか」の一言で終わる。子どもが居眠り、おしゃべりしていても無視する。
 問題を解かせる間、黒板の前でじっと立っている。子どもが解く途中であろうが時間になったら、解答をして授業を終わる。
(2)
教師の自己満足のみの一人相撲のコミュニケーション
 多弁で笑顔で話しかけ、身振りも大きく、ジョークも言う。子どもに○○ちゃんで呼びかける。教師のみがコミュニケーションできていると勝手に思いこんでいるタイプ。
 教師だけが自己満足しているだけで、子どもの反応は乏しい。
 教師の一方通行で授業が進んでいく。自分は熱血漢で人気があると思いこんでいる。
(3)
かたちだけの「言葉のやりとり」がコミュニケーションだと誤解しているタイプ
 コミュニケーションは、「言葉のやりとり」と、このタイプの教師はとらえがちである。
 子どもたちに対する「発問」は、子どもたち一人ひとりの感じ方や考え方の違いなどを考慮せず機械的に何人もの子どもに発問し、子どもの答えに「ありがとう」など、空疎な言葉を返していく。
 本人は「子どもたちとやりとりが多く、コミュニケーションがとれた」と思いこみ、問題点に気付かない。
2 子どもたちをうまく評価したり理解したりできない(このタイプが多い)
 近年「ほめて伸ばす教育」が主流になっているが、基準もなしに子どもたちを「何でもほめる」タイプの指導力不足教員が特に多い。
 「おべっかづかい」として子どもから軽蔑され、無視されることになる。
 子どもをほめるときは、なにが良いからほめるのか、一定の基準と方向性が必要である。
 指導力不足教員は、「なぜ、よいと思ったのか」を明確に子どもに伝えることができない。
 授業がおもしろい、学級経営が巧みな教師は、「ほめる、叱る」の基準と方向性がしっかりとしている。だから子どもたちは、ほめられれば嬉しいし、叱られても納得がいく。その繰り返しの中で子どもは自然に教師の価値観を自分のものにしていくのである。
3 教科を教えるための知的レベルが低い
 教えるべき内容について教師が十分な知識・経験をもっていなかったり、間違った理解をしていたりするタイプである。
 平成15年に大阪府教育委員会が高校の数学教師を分限免職にした。理由は高校入試問題を3割しか正解できなかったからである。
4 子どもを指導する能力が不足している
 子どもたちに指導することが、どういうことなのかが理解できていないタイプである。
 知識・経験があるが、子どもたちを指導する力がとぼしい。たとえば、何か子どもたちが「できた」とき、具体的にほめてあげるといった子どもを指導する能力が不足している。
5 社会人失格型
 普通の大人としての常識や感覚に欠ける。
(鈴木義昭:元東京都教育委員会統括指導主事。都内公立小学校教員や指導力不足教員の研修を担当した)

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