教材研究を3段階に分けて行なう
教材研究の方法をつぎの3段階に分け考える。
1 第一段階
教養として、あるいは少し興味を持っていることを調べたりする程度の知識である。専門職として教材研究とはいえない段階である。
有田は常に、いろいろなことに好奇心と問題意識をもっている。本や新聞を読み、常にメモ用紙をもってメモする。逆思考を訓練し思考のパターン化を防ぐ。ひとつのものが多様に見える目とセンスをみがく。
2 第2段階
上記の知識をもとに、調べに出かけたりして、子どもに「追求させたいこと」を鮮明にもつ段階である。徹底的に納得のいくまで調べているうちに、しだいに「追求させたいこと」が形をととのえてくる。
出張や旅行を取材のチャンスにして、現地に行き、先入観を取り去って何でも見て、人にたずね取材で常識をこわすこともひとつの方法である。
3 第3段階
子どもの実態にマッチするように、切込み口を工夫したり、内容のかみくだきをする段階である。具体的に授業を組織することを念頭に教材研究をする。教材には精通しているのに授業はさっぱりうまくいかない、というのは、この第3段階の教材研究が不足しているからである。
子どもの動きを追い、事実をさぐり続け、子どもが熱中するネタを考える。
子どもが熱中するネタは、
(1)具体的で目に見えるもの
(2)おもしろい内容のつまった絵や図を準備する
(3)どこか欠けたところや落とし穴がある
(4)大きな物やきっちりした数字をさがしだす
(5)教師が驚きおもしろく調べてみようと思ったこと
などが考えられる。
(有田和正:1935年生まれ、筑波大学付属小学校,愛知教育大学教授を経て,東北福祉大学教授。教材・授業開発研究所代表。教材づくりを中心とした授業づくりを研究し授業の名人といわれている)
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