保護者からのクレームにどのように対応すればよいか
我々の教師への調査でも、保護者からの理不尽な要求は今後も増え続けると教師の9割が考えている。
保護者のクレームの対応の基本は、
(1)最初が肝心:ボタンのかけ違いからトラブルに発展することがある。
(2)保護者の話はしっかりと聴く:十分に時間を取って要求を聴き背後の真意を読む。
(3)すばやく対応:ズルズルと回答を遅らせない。
(4)正確な記録:言った、言わないの事実確認から問題がこじれる。
(5)組織で対応:担任が一人で抱え込み、悩み職場で孤立しないようにする。
対応の心構えをあげると
(1)クレームは保護者の期待の裏返しであるとともに、指導改善に生かすヒントがあると考え、前向きに対応すること。
(2)保護者の中には感情的に理不尽な要求をもってきて、わび・対策・即決を要求することがある。担任が苦し紛れに一人で安易に約束すると後で悩むことになる。回答には校長と相談し、会議に諮る必要があることなどをはっきりと言い、そのほうがよい解決方法になると説明し同意を得ること。
(3)クレーマーは要求が実現するまで約束を要求し続ける。十分傾聴したうえで話せばわかってくれると思っていてはだめ。長丁場の対応が必要である。腰をすえて譲歩できる対案も準備して対応すること。
(4)クレームには、逃げ腰で対応しない。「問題を隠そうとしているな」という印象を与えないこと。「どうしたらいいでしょう」と言うと「主体的に解決する姿勢がない」と疑われる。
(5)親が言わないと学校は対応しないと親が思うと、次に「議員・教育委員会・マスコミに言うぞ」とクレーム対応の三種の神器をもち出し、子どもの問題を大人の問題にしてくる。
あくまで、子どもの教育問題として、保護者と学校が力を合わせて問題の解決を図る姿勢で臨むことが重要である。
保護者対応のポイント
(1)面談
教師がかたい表情で「無理難題」としてかまえると、最初から対決関係になる。親身になって、何とかお役に立とうという気持ちで話を聞く。教師は改善策を考えましょうという柔軟でしなやかな姿勢で臨む。
・管理職を含む複数教師で対応し記録係を置き時間を限る。
・聞き役・調整役など分担し周到な準備をする。
・教師に非や説明不足があれば素直に謝罪する。
・保護者の話は感情を抑えて素直に聴き、真意を読み取るようにする。
・保護者の目を見て話す。言葉尻で怒りだすので、弁解がましく説明しない。
・「貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます」と感謝の言葉を伝える。
(2)初期対応・組織的対応
・学年教師、管理職へ速やかな報告と相談を。
・複数(学年・生徒指導・カウンセラー・養護・管理職等)で早期対応をする。
・関係職員によるケース会議をたちあげる。
・教育委員会に通告しそうな場合、教育委員会に事前に連絡し、助言・支援をもらう。
(古川 治:1948年生まれ、大阪府公立小学校教師・指導主事・校長、東大阪大学教授を経て、甲南大学教職教育センター教授)
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