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杉渕鉄良(すぎぶち てつよし)(小学校)  「相手のことを考える」

 信州出身の茶道の先生の本を探していた私は、信州の井ノ口先生という方に連絡しました。失礼だとは思ったのですが、葉書を出しました。そうしたら、すぐに電話が来たのです。見ず知らずの私に、です。
 しかも、70歳くらいの方で
「私は、あなたの探している本をもっていません。でも、調べたらその人のお弟子さんがわかりました。私の知っている人でした。東京にいます。電話であなたのことを話しておきましたから連絡してみなさい」という電話でした。
 なんて親切なのでしょう。さっそく電話しました。私の求めていた本を、その方はもっていました。井ノ口先生にお礼の手紙を書きました。
 1年後、本をゆずってくださった方から葉書が来ました。なんと、井ノ口先生が亡くなったというのです。
 「死ぬ1日前に電話があって、あなたのことをよろしく頼む。あの人は見所があるから茶道のことをいろいろと教えてあげてほしい」といっていたそうです。
 「あなたは、井ノ口先生に期待されているんですよ。その期待に応えてくださいね」といわれました。
 それを聴いて、ハンマーで頭を打たれたようなショックを受けました。1度も会ったことのない私のことをそこまで心配してくれたのか…、死の直前…、自分にはとてもできないと思いました。
 井ノ口先生は、見ず知らずの私に、「私はもっていない」で終わらず、調べてくれました。
 動く義務はないのに、すぐ動いてくれました。しかも、死ぬ前にも私のことを考えてくれていたとは…。
 そこまで自分のことを買ってもらえるとは…。涙が止まりませんでした。
 私とは人間の格が違うんだと思いました。相手のことを考える…、相手の立場に立つとはこういうことだ!
 私は井ノ口先生のようになりたいと思いました。これが、私の原点であり根幹であるのです。
(
杉渕鉄良:1959年東京生まれ、東京都の小学校教師。「教育の鉄人」と呼ばれる実践家、子どもを伸ばす為に命をかける熱血教師。ユニット授業研究会代表。評論家櫻井よし子氏、陰山英男氏らも絶賛、その実践スタイルは全国の教師、保護者から支持を受ける。2003年夏、日経スペシャル「ガイアの夜明け」に出演。PHP「VOICE」や、経済誌「プレジデント」での教育シリーズに取り上げられ、各方面からの注目も高い。ユニット授業、10マス計算、表現読み、指名なし発言など、子どもの可能性を引き出すため、さまざまな工夫を凝らした教育実践を行っている)

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