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モンスターペアレントにならないためにどうすればよいか

 子どものことで親がつまずいたとき、以前なら親は自分を責めた。しかし今はそれでは親が苦しいので教師に矛先を向ける。教師のせいにして責任から逃れたい。育児に自信がないから、ありのままの子どもを引き受ける度量が失われてきたのだろう。
 教師に抗議ではなく、相談すればよい。教師にねじ込んでも、子どもを変えることにはつながらない。
 親の器量を大きくするには、ふだんから子どもと話すことだ。勉強ばかりに目をむけるのではなく、子どもが話したいことを話させる。親が共感して聴いてくれたというその姿勢が子どもの信頼を呼ぶのだ。子どもとよく話をしていれば、親として何をすればよいか的確な判断がつけられる。
 子どもが人を傷つける言動、安全を無視する行動、犯罪行為を行ったときは、断固としてその場で、すぐに短く強く叱ろう。機嫌をそこねることを恐れてはいけない。とことん追いつめないで、叱った後には、子どもに救いを残しておくことも忘れないで。
 親は教師を否定してはいけない。子どもは教師を信頼しなくなる。これほど教師にも子どもにも不幸なことはない。子どもの前で教師を批判するのは慎もう。
 もし子どもが教師を嫌うようなことを言ったら、冷静に理由を聞いてみる。子どもの言うことがすべてだと思わないこと。子どもの友だちや親たちの話も聞いて判断する。それがはっきりしないと、親としても解決に向かって進めない。教師の言動に理解できないことが起きたとする。そのときは、手順を踏んで冷静に要望を伝えることだ。もし自分がそう言われたらどう思うだろう、親がこんなことを教師に言ったら子どもはどう思うだろうかも考えたい。
 子どもが失敗したら学校のせいにするのではなく、失敗から子どもが学べるように持っていく。試行錯誤は子どもの特権。親が先回りしてどけないこと。つまずいたり転んだりすることが、子どもを成長させる。けがをすれば、子どもはつぎには、障害物を避けて歩くようになる。
 子どもに、親から無条件で愛されていることを実感させたい。親から認められていると感じられれば、困難にぶつかってもへこたれない。
 子どもに有利にことを運ぼうとして、学校に怒鳴り込まない。それは恥ずかしいことだ。学校は教師と子どもが主役。親は控えめくらいでよいのではないか。時間が解決する、子どもにとって良い勉強になる、まずは様子を見よう、親の仕事は待つこと、といった余裕ある姿勢も必要だろう。
 学校から、親のボランティアの付き添い役を依頼してくるときは、参加することを勧める。学校の理解を進めることになる。多くの子どもを前にして、奮闘する教師の苦労を実感する。逆に教師のいい加減さを目撃することもあるだろう。教師も完ぺきではないのだ。とにかく自分の目で見て、聞くこと。多くの子どもの中で、自分の子どもを見れば、どういうタイプの子どもかより理解できる。家ではいばっているのに、おとなしい子だったりする。その逆もある。落差があまり大きいようであれば、接し方を考えた方がいいだろう。
 教師を育てるといった気持ちも必要と思う。子どもの作品に教師のコメントが添えて返されれば、個人面談の際に子どもが読んでうれしがったことを教師に伝えよう。教師が自信を持って仕事に向かえるように、努めなくてはいけない。また、教師が手数をかけてくれたら、必ず「ありがとうございました」と礼を述べたい。基本的なマナーである。
 子どもが教師のどこが好きと言っていたか、子どもの言葉を伝えると教師を元気付けるかもしれない。教師には誇りと自負が必要だ。それがないと頑張るのは難しい。社会人として働く親には理解できるはずだ。
(
多賀幹子:広告会社の編集者を経て、フリージャーナリスト。女性・教育・異文化を取り上げる)

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