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学級革命    

 いじめられていた子どもが、悪いことをするボスを学級の話し合いで正面から批判し、ボスが支配する学級から民主的な学級へと変えていった。小西健二郎は五~六年生のときに担任していた学級で起こったボス退治を「学級革命」と名付けた。
 きっかけは、いじめられていた勝郎の日記である。「みんなは、直明君(ボス的存在の子ども)にむちゃをされても、先生に言わない。直明君は勉強も野球もうまい。けれども、かげで、よく悪いことをする。明日、ぼくはまた泣かされるかもしれない」この日記が出てきたのは五年生の1月だった。
 担任である小西(28歳)は、良いリーダーと思っていた直明が担任の目の届かないところで悪いことをするボスであったことを知り「ガン!と一撃くらった」。
 不正なことは言うように指導してきたつもりだったのに、クラスの子どもたちは何をされても担任に隠し通してきたのだった。
 そこで、小西は学級生活に関する問題を取り上げて作文(綴り方)を書くように指導した。そして、六年生から学級であったことを話し合う「話し合いの会」を下校前に行うようした。この会で、担任に対する批判は出ても、一学期の間、直明に関する批判は出なかった。
 ところが二学期になって、いじめられていた勝郎は友だちと相談して「話し合いの会」でボスを批判し、ボス退治をしたのである。このときの話し合いが転機となり、学級の雰囲気が一変した。
 小西の実践は、ボス退治など学級の問題を解決するときに、教師が直接乗り出すのではなく、子どもたち自身が問題を明らかにし、克服し、その結果新しい集団を形成するように、辛抱強く指導する点にある。勝郎が日記を書いて「革命」を起こすまで10ヶ月小西は待った。その間小西は勝郎に「勝て!勝て、勝郎。敵は直明君ではない。敵はお前の心の中にいるんだ」と赤ペンを入れて勝郎を励ました。
 それとふだんから、一人ひとりの問題をみんなの問題として一緒に考えるように指導していたことである。
 小西は教師になって子どもと接するうちに、子どもたちの手が一人ひとり違うことに驚いた。手が違うように、それぞれ違った生活、本当の姿がある。それをしっかり握らずに指導などできるだろうか、と気づいた。
 その後、小西は綴り方教育に出会い、子どもに生活をつづらせるなかで、子どもの生活と真実の姿をつかみ、子ども自身にも生活や自己をつかませ、そのなかで信頼関係を築き、子どもの目と心を解放した。
(小西健二郎:1924年生まれ、大阪府,兵庫県で小学校教師をつとめ、兵庫県公立小学校長。戦前の生活綴方教育に学び兵庫作文の会を結成,春日町大路第二小学校時代の実践を「学級革命―子どもに学ぶ教師の記録」にまとめた)

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