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子どものしつけかたを知らない親

 今の親の世代は「知育偏重」のまっただ中で子ども時代を過ごした。西欧に追いつけ、追い越せと、しつけよりも勉強することを強いられた世代である。だから、親はしつけられてこなかったから、自分の子どもに何をどうしつけたらよいのかわからない、というのが実情であろう。
 そういう親の子どもが今、学齢期に達していることを考えれば、子どもは基本的なしつけを受けていないと考えた方が、教師として打撃が少なくてすむ。しつけをしてもらっているはずだと考えると、ガッカリし通しという状態になる。
 何をどうしつけたら良いのか、あらゆる機会を通して、保護者に話していかなければ、いい学級経営はできないのである。こういう手間を省くと、アッという間に学級崩壊する。文科省のしつけの資料を保護者会などの親が集まった時に配り、丁寧に説明することが大切である。実例を入れて分かりやすく話すことである。それに対して、保護者同士が意見交換したり、情報交換したりして、考えを深める時間も設定することが望ましい。
 親が一番心にかかるのは、あまり厳しくしつけると反感をかって、子どもが横道にそれたり、親殺しという事態にでもなったら大変だということであろう。
 また、親子で楽しくやれればいいと思っていたり、家庭ではちっとも困りはしないというふうに思っていたりすることであろう。
 また、共働きが増えて、しつける時間など無いという実情もあろう。
 こうした親達に、教師は猛烈にアタックしていかないと、子どもは健全に育たない。「しつけ」の重要さをしっかりと教師が親に話すようにしなければならない。そうして、親がなるほどとうなずいてくれた時、親が変わり、子どもが変わっていく。
 一人ひとりの子どものしつけは家庭に任せ、集団の中での行動についてのしつけを学校で行うようにする。家庭でのしつけができていれば、学校での集団としてのしつけも簡単にできる。
 教師は、子どもだけを見ていれば本当はよいのだろうに、親も視野に入れて、教育を進める必要がある。それが「家庭との連携」という言葉の内容の一つである。
(
飛田貞子:東京都の公立小学校教諭を経て小学校校長)

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