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荒れた学校では、教師は子どもや同僚教師とどのような関係をつくればよいか

 教師として生きると言っても、どんな学校で仕事をするのか、どんな人と出合うかによって、得るもの失うものがずいぶん違ってくるのです。
 荒れた中学校では、大人に対する口の利き方とは思えない、すさまじい言葉が飛び交う中にいると、生徒と関係が拮抗しているうちはまだいいのですが、押され気味になった時、それがボディープローのように利いてくるのです。
 罵倒されたまま何も言い返せず、ただ我慢していると、自分がほんとうにつまらない人間になったような気がしてきます。教師としての権威どころか、人間としてのプライドの核までもが壊れてしまうのです。いったんそうなってしまうと関係の修復は非常に難しく、これでは生徒とのまともな関係など、つくろうにもつくれません。
 どんな仕事でも状況が変われば、それに合わせて自分もまた変わっていかなければならないのは、ある意味ごく当たり前の処世術です。教師にしてもそれは同じで、変化に応じてからだの動かし方を工夫しなければならないのですが、そこで必要なものは「インサイドワーク(スポーツなどで,過去のデータやその場の状況をよく考え,頭脳的にプレーする技能)」だと私は思っています。
 もともと「インサイドワーク」とは、頭脳的なプレーのことを指す言葉なのですが、これを私は、行為の結果を教師が堂々と引き受けられるようにするための、心の動きとからだの動かし方という意味で使っています。
 換言すれば、ある問題に関する情報を収集して状況を客観的に把握した上で、いくつかの選択肢の中から最もリスクの少ない方法を選び出すという、危機管理的な発想です。
 最もひどい状況でもできることとは何か、その方法をつくり出すこと。そして、その結果をきちんと評価できることだと私は思っています。
 生徒と教師の関係が安定している時には、教師がイメージする「あるべき生徒像」と現実の生徒の姿とはさほどズレていないのですが、その関係の枠が揺らぎ始め、生徒の逸脱現象が激しくなると、一人ひとりの教師に葛藤が生じるようになります。
 トラブルの数珠つなぎの現象の中で「あるべき生徒像」を追究することは、かえって葛藤をひどくすることになります。意識的に「あるべき生徒像」を捨て去ることから始まります。
 中学校の場合、教師が小集団で動かなければならない場面がかなりあります。そのとき、ほかの教師に対してある「期待」を抱いています。この期待の度合いが高ければ高いほど期待に応えられないことも多くなります。
 期待を持つ教師が多くなれば、その集団はいつも不満を抱かえ込むことになるのです。たとえば「生徒がたばこを吸っていても、きちんと注意しない」とかいった不満が出てきます。そうなると教師のしんどさは倍増します。
 私は、できることとできないことは、教師によって違う。できないことを考えるよりも、できると思えることをやってみることが必要だと、思っています。
 考えてみれば、ならず者が街で暴れている時に、誰もが毅然と割って入り「やめろ」と腕ずくでやめさせることなどできるわけはありません。それと同じように、すべての教師が真正面から暴れている生徒に立ち向かう必要などなくて、それぞれの教師が持っている資質や経験を生かすことが大切なのです。
 荒れている中学校にはよく、名物教師がいます。その教師がいる間は比較的学校は落ち着いていたのに、転勤していなくなったとたん再び荒れ始めた、という話をよく聞きます。これはまずいパターンだと思います。そうした特別な教師に任せきりにしてしまった教師集団の方にも問題があると言えます。
 教師集団はほうっておくと、教師相互であいまいな「期待」をし合うことによって、一定の方向性をなかなか持ちえません。難しいことかもしれませんが、人間を素のままに見るということが最も大切なことではないかと、私は思います。
 これが私の、ほかの教師との関係のつくり方の基本的なノウハウです。旧来の徒弟制度的な関係や、逆に個人主義的な関係では、この時代はやっていけないな、というのが実感なのです。
(赤田佳亮:1953年生まれ、横浜市立中学校教師 組合執行委員)

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