学級全体の子どもたちを指導するときは、子どもに抵抗感を与えないようにする
教師が学級全体の子どもたちを指導する場面では、カウンセリングを活用することが効果的です。
カウンセリングを生かすとは、次のように、子どもに抵抗感を与えない指導の仕方を工夫するということです。
(1)課題を示す前に、活動する面白さや意味を事前に紹介する
与えられた課題に面白さを感じないと、「やりたくない」と乗ってきません。「おっ、やってみたいな」という意欲をもたせることがとても大事なのです。
(2)子どもが好きでない学習や活動は、その意味と全体との関係を説明する
「社会に出て困らない程度に生活するためには、小中学校で二千字程度の漢字を覚えておくことが必要だよ。今から少しずつ覚えていこう」という具合に説明し、やろうという気持ちにさせてから、行動させることが大切なのです。
(3)学級集団の状態に柔軟に対処する
休み時間に子どもけんかしたあとと、クラス対抗のドッジボールの試合で勝ったあとの学級集団では、その雰囲気はかなりちがいます。その雰囲気に応じて、指導の仕方や展開を考えることがポイントです。トラブルが発生したあとの学級集団は、まず落ち着かせることが大事なのです。学習の展開は、その後からです。
(4)指示や発問は、短くわかりやすく、やってみたくなるように、やればできそうなモデルを示して行う
教師が指導するさいに行う指示は、事前に指示する内容をしっかりまとめ、具体的なセリフをいくつか用意しておくくらいの準備が必要です。子どもは短い指示を集中して聞き、その内容をイメージできれば、すぐに取り組むようになるのです。
このパターンを子どもたちに定着させることが必要なのです。子どもたちが話を聞かないと嘆く前に、自分の指示の出し方を検討してみるとよいでしょう。
(5)最初は一つの指示で一つの活動をさせ、必ずやりとげさせる
子どもたちに一つの課題を達成していく体験を積ませることで、みんなと一斉に学習する方法や態度を身につけさせていくのです。
また、指示によって与える課題も、量と難易度が除々に高まるように設定することが必要です。
(6)努力の過程を具体的にほめる
子どもたちが努力した過程をほめることによって、自分の頑張りを自分でしっかり意識することができ、子どもは自信をもつことができるようになるのです。
結果だけほめると、期待する結果がでそうにないと子どもが判断すると、取り組まなくなることがあるので、教師は注意が必要です。
(7)ほめられているところを他の子どもたちに見せる
ほめられているのを見ると、今度は自分でもああいうふうにすればよいのだなと考えます。期待される行動の仕方を学ぶことが多くなるのです。
(8)単純作業や繰り返しの練習は、短時間に区切る・複数のやり方で展開する
大事な点は、何分取り組んだかではなく、何分集中してやったかという点です。集中できる時間で、練習をしっかりする体験を身につけさせることが必要です。
集中できる時間を徐々に拡大していくことにつながっていくのです。
また、漢字の書き取りをノートに一行ずつ十分間させたら、次の十分間は、グループでお互いに問題をだしあって練習させるなど、子どもをあきさせない展開が必要です。
(9)長い時間で取り組ませる課題は、筋目ごとに評価の時間を設定します
評価するとは、頑張った点がほめられ、うまくできなかった点は、次からどうすればよいのかという対策を考えさせることです。これによって活動に取り組んでいる子どもの意欲を持続させ、中だるみに活をいれることができるのです。
(10)一人ひとりが認められる場面を設定する
授業や行事への取り組みのなかで、必ずすべての子どもたちが、子ども同士で認めあえるような場面を設定することが必要です。
これを設定しないと、学級のなかで学習や運動ができる子どもだけが目立ってしまい、序列ができてしまうのです。教師は活動中のすべての子どもに他の子どもの目が向くような言葉がけをする必要があります。
子どもは目立たなくても地道な努力をすることの大事さや、集団で一つの活動をするときには、各役割の人が自分の責任をしっかり果たすことが、全体のよい結果につながることを理解するのです。
そういう学級集団に親しみを覚えて、集団のなかで認められることによって、自分を受け入れることができ、主体的に活動できるようになってくるのです。
一人ひとりが認められる場面を設定することは、子どもの自己の確立を援助するうえで、とても大切なことなのです。
(河村茂雄:1959年生まれ、早稲田大学教育学部教授。15年間公立学校教諭を経験した。学級崩壊,学級経営など教育実践に生かせる研究成果を多数提供している)
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