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授業を記録し、分析して授業力を高める

 私は新任教師のころから自主的な社会科の研究会に参加していました。そこは、授業記録を持ち寄って、分析し協議する場でした。授業記録は、教師の発問や子どもたちの発言やつぶやき、どのタイミングでどんな資料を提示したかなど、文字に表されるすべてを可能な限り文字化してまとめたものです。
 研究会では「なぜこのタイミングで資料を提示したのか」「この子のつぶやきが聞こえたのか」といった厳しい質問が矢のように浴びせられた記憶が蘇ります。
 これらの指摘は、最初のころは私個人に対する批判や非難として受けとめていたので、快いものではありませんでした。ところが、それらは私自身に対してではなく、私の授業に対する指摘だということに気づくまでに、それほど時間はかかりませんでした。
 自分自身の姿勢が変わると、先輩の先生の指摘が少しずつ素直な気持ちで受け入れられるようになり、むしろ批判されることを楽しむ心のゆとりも生まれてきました。この次はもっとよい授業にしようと、新たな意欲と目標をもって、次の実践にチャレンジしていきました。
 授業の様子をテープで聞いていると、いろいろなことに気がつきます。同じことをくどくど何度もしゃべっていたり、子どもの思考や関心とは無関係に問いかけたり、取り上げるべき子どもの「光る発言」に気づかず通り過ぎていることなど、すべてをさらけ出してくれます。「自己反省」の連続です。
 授業の記録を分析していると、子どもの思考はどのようなときにゆさぶられ、誘発するのか。子どもの発言をどのように取り上げていくと授業の質が高まっていくのかなど、多くのことが学べます。
 私が授業記録を見て、特に目をつけるところは、教師の一つの発問に対して、子どもたちから多様な考えを引き出された部分です。それと、授業中、友だちの意見を聞き、自分の意見が変わってきたと子どもが述べているところです。
 授業力を高めるためには、授業の事実に即して検討したいものです。そのためには、授業記録を取る作業が不可欠です。わが国の優れた学校文化の一つとして授業記録を取り分析し、授業力を高めてきた方法を引き継いでいきたいと思います。
(
北 俊夫:1947 年福井県生まれ、東京都公立小学校教師、文部省教科調査官等を経て、国士舘大学教授)


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