教師と親が子育ての原点に戻り方向性を合わせる
小学校の高学年にもなると、口は非常に達者になる。子どもに言い返えされたとき、口ごもってしまう親も増えてくる。
「子どもがこう言ったら、こう切り返せばいい」というマニュアルなどない。その場で本気で投げ返さないと伝わらないことも多い。間髪を置かない受け答えは大切だが、とっさに言葉が出てこないという親も多いかもしれない。
だが、子育てや教育は信念だ。信念を持って子育てや教育していれば、その信念に反するものに対しては明確に反応できるはずだ。
親ほど遠慮なく子どもと向き合える存在はいない。だが、今はダメなものはダメと、はっきりと子どもに言えない親も多い。そんな野放しの状態で、やはり野放しのような学校に行けば、未熟な子どもがおかしくなるのは当たり前のことだろう。
「ここまではいい」「ここからはダメ」という線を引けない親に代わって、学校がそれをしている。そんな学校に対して苦情を言いにくる親もいる。
親「何でうちの子に、そんなことを言うんですか」
私「何でって、こういう方針でやっていますから。最初のスタートの時点を確認しましょうよ」と説明したことも何度もあった。
私は、こういう場合
「子どもが幸せになって欲しい。そのために今、私はこういう指導をしている。それは、親であるあなたも同じですよね」
と、原点を思い出すように話しかけ、教師である私と親のベクトルを合わせるようにしてきた。
(義家弘介:1971年生まれ 中学生で不良と呼ばれ高校中退し家から絶縁される。里親の元で大学を卒業し、塾講師、高校教師になり、ドラマ化され評判となる、横浜市教育委員を経て国会議員)
| 固定リンク
「教育の理念や思い」カテゴリの記事
- 子どもたちが自分を探し確かめるのが芸術表現である(2021.01.17)
- 教育は出来事を踏まえ、何度でも出直すもの(2021.01.14)
- 教育はよりよき変化を模索する中にしか存在しえない(2021.01.09)
- 教育は学力形成か人間形成か、できるだけ異質なものを取り込んで学ぶことが求められる(2020.04.25)
- 著名な実践家である東井義雄は、どのような考え方で教育をおこなっていたのか(2020.04.18)
「子どもの指導の方法」カテゴリの記事
- 子どもの「やる気を引き出す」にはどのようにすればよいか 新牧賢三郎(2021.04.18)
- 学校でソーシャルスキル教育を行い、子どもの社会性向上を 藤枝静暁(2021.04.12)
- 生徒指導のマニュアルはなく力量は教師自らの人間性をもとに培うもの 近藤昭一(2021.04.11)
- 小さな器物破損が見つかったとき、どう指導すればよいか(2020.11.16)
- 教師が「話せばわかる子ども」なら、子どもは問題を起こさない(2020.11.02)
「保護者の実態」カテゴリの記事
- 家庭も社会も学校に責任を押しつけている(2020.12.13)
- 保護者からのクレームで多いのはなにか(2020.11.26)
- 小学生の保護者が学校に期待することは何か(2020.10.26)
- 受験生の保護者がわが子に向って言っていけないタブーの言葉と、わが子が感謝する言葉とは(2020.02.13)
- 担任している子どもの腕にアザを見つけ、虐待の可能性を感じています、どうすればよいのでしょうか(2019.11.27)
「保護者との協力関係をつくる」カテゴリの記事
- 教師と親がつながり共に育つにはどうすればよいか 宮下 聡(2021.06.23)
- 保護者からの問い合わせや苦情に、どのようにすれば保護者と信頼関係がつくれるか 小山田 穣(2021.05.12)
- 保護者と教師が共に気持ちをよせて取り組むことができることは何か 佐藤友子(2021.04.22)
- 親にとってよい先生とはどのような先生か 小野田正利(2021.03.31)
- 担任と保護者が良好な関係をもつには、どのようにすればよいか(2021.02.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント