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教師に望むこと

 教師に望むことを木下竹次はつぎのように述べている。
(1)
教師は個性的な人間であること。
 木下は、子どもに個性の発揮を望んだ。個性的な子どもは、個性的な人間教師によってこそ育てられる。
(2)
人間の成長に驚いて、教育の偉大さに感じ、教育に生きる教師になることを望む。
(3)
自律的学習と責任を重んじ、他人に迷惑をかけぬこと。協同していくこと。
(4)
言葉の使い方
・精選した言葉を使う。声の音調が高いと子どもを疲れさせるからいけない。
・言葉には力がなければならぬ。ことに、語尾のぬける言葉は徹底を欠く。
(5)
教師の人格・態度
・人を引きつける力がなければならぬ。生徒に嫌われるような教師は一生の損失である。
・教師が明晰ならば子どもに対する印象も強い。
・快活であって、しかも落ち着いて、しとやかであること。だれてはならない。
・自己の見識でもって働くこと。
(6)
子どものために、教師は自分のことを賢く考えないで、バカになって働くこと。
(7)
子どもを親切に指導すること。
(8)
教生は欠点が多いのに驚かないこと。いかにしてその欠点をなくしていくか考えること。
 欠点の繰り返しを恐れるのである。相共に伸びていくという考え方を持つこと。最初の習慣は生涯を支配する。はじめて教壇に立つとき、善良な習慣を獲得するよう、自ら求めて批評を乞うようにする。
(9)
教える方法
・教える方法については、不断に読書、修養することを必要とする。どんなに忙しいときでも読書をするという方針で行くこと。
・当校のように、子どもに独自学習させておいて、問答をすれば、よい授業ができる。しかし、なるべく、問題を引き出すことに努力してほしい。子どもの方から、次から次へと問題を出すように指導すること。
・問題を吟味して行くあいだに、何事か頭に残るものがあるようにせねばならぬ。ただし、単に記憶に残すというだけではなく、意志にまで徹底せねばならぬ。つまり、学習のあいだに実行の動機をほり起こさねばならぬ。また、同時に感情を陶冶せねばならぬ。
・教師が感情を披露するのは、相互学習の後にするがよい。実行の間に感情が陶冶されることは、最も価値多いものである。
・子どもの学習態度が出来ていないときは、進度が遅れる。その場合には、教師本位でもやむを得ないから、遅れぬようにする。
・少し学習態度が出来ると子どもは上滑りに陥る。これは注意すべきところである。
 また、子どもがよく自学するようになると、教師が自分の仕事を始める。これは最も慎むべきで、学習法指導上の危機である。
(木下竹次:18721946年、奈良女子高等師範学校附属小学校の主事として、子どもの自律的学習を基本にした「合科学習」を実践し,雑誌「学習研究」を通じて全国に普及させた)

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