子どもたちが聴き合う教室のつくりかた
学び合うには、聴き合う関わりが基礎にある。
とかく教師は、子どもの発言を追究しがちだが、むしろ一人ひとりの発言に耳をすますことを中心に指導することのほうが、はるかに重要である。どの子どもも安心して発言できる教室は、異質な声に敏感に耳をすます聴き合う関わりをつくりだすことによって、実現することができる。逆ではない。
聴くということは、学びが学びとして成立するためのもっとも重要な行為である。学び上手な子どもとは聴き上手な子どもである。
ところが、ほとんどの教室では、この「聴く」関わりが、子どもたちのなかに築かれていない。他者にたいする無関心が支配しており、学び合う関わりは生まれようがない。「よく聴いて」と注意するだけでは無駄である。
聴き合う教室を築く第一歩は、まず教師自身が一人ひとりの子どもの声を注意深くていねいに聴くことを根気よく続けることである。それ以外に道はない。
他の子どもの発言に耳をすまさない教室には、かならず、一人ひとりの子どもの声をていねいに聴きとっていない教師がいる。そういう教師のほとんどは、自分自身もおしゃべりで、ぞんざいな言葉やあいまいな濁った言葉で話しかける。
言葉を一つひとつていねいに選んで発する話し方ができていないし、一つひとつの言葉が一人ひとりの子どものところに届いているかどうかを意識することなしに話している。そういう教師のいる教室では、聴き合う関わりも学び合う関わりも生まれようがない。
教師が一人ひとりの子どもの言葉に耳をすまして敏感に対応し、一人ひとりの子どもにていねいに届く言葉を発することができるようになって、はじめて、子どもたちのなかに聴き合う関わりが生まれ、しっとりと言葉を深く吟味しながら交換し合う関わりが教室に築かれることになる。
もちろん、どんなに教師の聴き方と語り方が良くなろうとも、ただちに子どもたちのなかにしっかりとした聴き合う関わりが生まれるわけではない。
子どもの変化を焦ってはいけない。子どもの変化はじっくりと時間をかければかけるだけ確かなものになる。少なくとも10か月はかかると覚悟をして、根気よく子どもたちを励ましながら築く必要がある。
(佐藤 学:1951年生まれ 東京大学教授を経て学習院大学教授 学校を訪問(国内外2800校)し、学校現場と共に学び合う学びの改革を進めている)
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