モンスターペアレントのペースに乗らず、記録をとり、個人で対応しない
モンスターペアレントは絶対に個人で対応してはならない。相手のペースに巻き込まれ、精神的に追いつめられるからである。
学校の組織として対応しなくてはならない。だから、教師個人がクレームを言われたり、無理難題の要求を保護者から出されたら、躊躇せず、速やかに校長や教頭、学年主任に知ってもらう必要がある。楽観視して、誰にも相談しないと、後々の惨事につながる。
できれば、モンスターペアレントと話をしたのは誰で、どういう話で終わっているのかを、時系列で確認できる記録をつくっておくと良いだろう。必要なときに誰でも見られる形にしておけば、職員室で情報が共有でき、モンスターペアレントから電話がかかってきたときに、記録を確認して電話にでることができる。また「言った、言わない」の議論になったときも記録の存在は重要である。
何らかの返答を「明日までに」などと求められたときに、相手の言ってくる期日で約束してはならない。「要求は重要なことなので、そんな短期間でお返事する約束はできません」と答え、相手のペースに乗らないことが非常に重要である。
まずは、苦情の当事者になっている教師に事実を確認し、組織としてどう対応するかを検討したえうでなければモンスターペアレントと対応してはならない。
「訴えてやる」「マスコミに言う」「議員を知っている」という言葉はクレーマの常套手段である。しかし、この言葉に全くおびえる必要はない。モンスターペアレントが言っていることなど、まともに誰も取り合ってくれない内容であることを皆良く知っている。教師や学校をおびえさせて主導権を握るための脅しに過ぎないのだから、気にすることはない。
もし仮に訴えられても、負けることなどありえない。それに弁護士が間に入ってくれたら、直に話をするよりも話は早くなる。マスコミも信じるはずがない。議員もせいぜい一度電話をかけてきて、「よく話し合ってください」というレベルであろう。
(山脇 由貴子: 1969年東京生まれ、東京都児童相談センターの児童心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ。児童相談所のスタッフ養成のための講演を行うなど、国内外を問わず幅広く活躍。臨床現場の生の声を発信し続ける)
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