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一生懸命に働くことが万病に効く薬、人生を豊かで実りの多いものにしてくれる

 若者たちに働くことの大切さを教えなければならないと思います。
 というのは、私は若いときに多くの挫折や苦労を経験しました。しかし、前向きに必死に働いたことで、今日の自分があることに気づき、世のため人のために一生懸命に働くことの大切さを痛感しているからです。
 私は大学を卒業後、松風工業というつぶれかけた会社にようやく入社することができました。私はセラミックの研究に寝食を忘れて打ち込み、新しい材料の開発に成功することによって、挫折続きの人生に終止符を打ち、新しい人生の扉を開いてくれたのです。
 私は独立して京セラという会社をつくり、燃えるような情熱を持ち、先頭に立って身を粉にして働きました。同時に、私心を無くし自らの人格を高め、社員から信頼されるように努力しました。社員たちも、苦労を苦労とも思わず、夢中になって働き通しました。そんな仕事への打ち込みが素晴らしい人格を育んでくれました。
 一生懸命に働くことが、人生を素晴らしいものに導いてくれたのです。働くことは、まさに人生の試練や逆境さえも克服することができる「万病に効く薬」のようなものです。誰にも負けない努力を重ね、夢中になって働くことで、運命も大きく開けていくのです。
 人は得てして、与えられた仕事をつまらないと思い、不平不満を口にします。しかし、それで運命が好転するわけではありません。与えられた仕事を天職と思い、その仕事を好きになるように努力し、さらに打ち込むのです。
 そうするうちに不平不満は消え、仕事も順調に進むようになっていくはずです。さらに懸命に働き続けていくことで、素晴らしい考え方や人格を自分のものにすることができ、物心ともに豊かな人生を送ることができるのです。
 若者を見るとき、単にお金を得るためにだけ働けばいいという風潮がはびこり、耐え努力するということには意味がないと考える人々が増えているように思われます。
 どんな困難に直面しようとも、誰にも負けない努力を重ね、いつも明るく前向きな気持で懸命に働き続けることで、人生は必ずや豊かで実りの多いものになる。このことを、人生の先達であるわれわれが、若者に伝えることが責務であると思います。
(
稲盛和夫:1932年生まれ、実業家。京セラ・KDDI創業者、稲盛財団理事長として国際賞「京都賞」を創設し人類社会の進歩発展に功績のあった人を顕彰、日本航空を再建し取締役名誉会長、若い経営者が集まる経営塾「盛和塾」の塾長)

 

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