ニューヨーク市が行っている問題行動解決訓練法とは
生徒の心理状態が悪化していくサイクルを理解し、教室での問題行動が起きたときこそ、指導、矯正の機会であると考える。
ニューヨーク市が行っている問題行動解決訓練は、次のようになっている。
1 生徒の心理状態が悪化していくサイクルの理解
(1)ある出来事でストレスが大きくなる。
(2)生徒の感情を刺激することが起こると、生徒が叫び、脅したりする。
(3)生徒の叫びや脅しを教師が止めようとするが、生徒が暴発する。
(4)教師が罰則を生徒に与える。しかし、ストレスが逆に大きくなる。
2 問題行動解決訓練
このサイクルを止めるために、適切な指導のトレーニング方策は6段階になっている。
(1)生徒が暴発しているとき、教師が生徒の激情をおさめるためのスキルを持っているか
(2)生徒が問題行動を起こすに至った経緯を確認するスキルを教師が持っているか
(3)生徒が問題行動の怒りの原因を確認するスキルを教師が持っているか
生徒が問題行動を起こす怒りの原因として考えられる例としては
・ひがみから自分かってなとらえ方をして問題をおこす。
・生徒の「八つ当たり」で問題を起こしてしまう。怒りの原因は別にある。
・他人のせいにして、何の罪の意識もなく、その行為を変えようとしない。
・自律性に乏しく、行ったあとで後悔する。
・友だちを作ろうとするが、からかうようなアプローチしかできない。
・仲間扱いしてもらいたいために、言いなりになり悪いことをしてしまう。
(4)生徒の問題行動のパターンを考察し、生徒の内観と責任を高める臨床的なスキル
(5)生徒が問題行動を起こさないために、ソーシャル・スキルを教える技能を習得する
(6)立ち直った生徒がクラスの中で維持していけるように、相談相手としてかかわる技能を習得する。
教師や親の観察力や対応が確かであれば、問題生徒が心理専門家や精神科医の介入を必要とするかどうかの判断も誤らずにすむ。
生徒たちの非行の裏には「家族の崩壊」や倫理を重んじなくなった大人たちの存在が大きい。
(カニングハム久子:1934年長崎県生まれ、米国留学し大学で修士号取得。NY医科大学教官、NY州医療センター教育プログラム主任を経て「SPEAC NY臨床教育父母の会」主宰。NY在住。全米精神遅滞研究協会最優秀臨床教育賞受賞。日本顕彰会より国際的貢献の分野で受賞。United to Serve America よりアメリカ社会への貢献が認められダイアモンド賞受賞。日米教育交流の促進に尽力したことにより外務大臣賞受賞)
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