子どもを指導する力を向上するにはどうすればよいか
私の学校で「私語を注意したら、その子どもに反抗された」という教師がいた。
教師「なに、しゃべっているんですか。おしゃべりやめなさい」
生徒「うっせーな」
こう言われたというので、この事例をもとに研究会を開いた。この場合、どう指導すればよかったのか。
参加者が、それぞれ自分の考えた方法を演じて、みせあった。
新卒の教師は「すみません。おしゃべり、やめてくれますか」
ベテランの家庭科の教師は「楽しそうだね、その話、あとで先生に教えてね」
社会科の教師は[仲良くていいね。さて、話の続きは休み時間にしたら]
国語の教師は「そこ」と注目させて、ニコッと笑って、くちびるに指を立て「しーっ」という静粛の合図を送った。
怖そうな体育の教師は「うるさい。おしゃべりやめろ」と、怒鳴った。
理科の教師は「なに話し合っている。大事なことらしいな。みんなにレポートしてもらおうかな」
音楽の教師は、近寄っていって「どうしたの。緊急事態発生したのかな」と聞いた。
保健の教師は「なにか、先生の授業がおもしろくないのかな。おもしろくなかったら要求してください。どうぞ。発表して。ここでいやなら、あとで教えてね。保健室で待っているからね」
いろいろな指導方法のあることがわかる。どれも正しい。
こういう研修で大切なことは、一つの方法に統一しないことだ。みんながみんな、体育の教師のようにみるからに怖そうでないからだ。指導方法は「各自の自由」である。
このように、それぞれの方法をだしあって、つぎのように研究して、自分流を編みだせばよい。
(1)いろいろな教師のいろんな方法を学ぶ。
(2)そのなかから、自分にもっともふさわしい方法をさぐり、発見する。
(3)発見した方法をそっくり真似してみる。
(4)真似した方法を自分に適するように修正してみる。
(5)さらに、発展させ、自分流を編みだす。
指導は自分流を編みだせれば、いうことはない。そこにいたるまでは、先人に学ぶことである。
(家本芳郎:1930~2006年、東京都生まれ。神奈川の小・中学校で約30年、教師生活を送る。退職後、研究、評論、著述、講演活動に入る。長年、全国生活指導研究協議会、日本生活指導研究所の活動に参加。全国教育文化研究所、日本群読教育の会を主宰した)
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