法的視点からいじめ問題を見ると
文部科学省は「いじめは、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛をかんじているもの」と定義している。
いじめにあたるかの判断は「いじめられた子どもの立場に立って行うものとする」とし、被害者の主観を重視する姿勢を示している。
学校は子ども同士の接触や衝突を通じて社会性を身につけ成長していくところである。
それゆえに学校としての裁量は「衝突等が一切起こらないように、常時監視を行って児童の行動を抑制し、管理しようとすることは適当ではなく、その衝突等が児童間に通常見られる程度を超えるような過激なものであって、集中的かつ継続的に行われるような場合でないかぎり、教育的な観点からその実状に応じて柔軟にその対応を考えていく」必要があるといえる。(東京地方裁判所 判決 平成2年4月17日)
法的視点からいじめ問題を見ると、特定の者に対するいじめ行為が認められたとしても、加害者は直ちに不法行為等の責任を負うとすることは妥当ではない。いじめが集中的、継続的に繰り返され心理的、物理的、暴力的な苦痛を与える行為が、受忍限度を逸脱した場合に法的責任の追究が可能となる。
いじめ被害については、これまで刑法(暴行、傷害、恐喝等)、民法(損害賠償)で対処してきた。しかし、これら法規の限界を認識し、いじめ撲滅に向けた総合的な対策を実施するため2013年にいじめ防止対策推進法が制定された。いじめ防止のための対応がつぎのように学校に求められることになった。
いじめ防止対策組織を設置する。心を養うため、道徳教育及び体験活動の充実を図らなければならい。早期に発見するために調査を実施すること。いじめにより心身等に重大な被害が生じた疑いがあるとき事実を明確にするための調査を行う。いじめ被害者の教育を受ける権利が擁護されるよう配慮する。いじめ相談ができる体制を整備する。いじめ加害者に出席停止を含む懲戒を加えることが求められる。いじめが犯罪行為、生命等に重大な被害が生じるおそれのあるときは警察署と連携する。
(坂田 仰:1960年和歌山市生まれ、公立学校教師を経て日本女子大学教授。専門は公法学、教育制度論)
法的視点からいじめ問題を見ると
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