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元気な教師からしか、元気な子どもは育たない

 私は、学校の先生方にいつもこう言っています。「元気な先生からしか、元気な子は育たない」と。ですから、先生には、いつも元気でイキイキとしていてもらいたいのですが、最近の先生方は62%がストレスを感じ、いろいろと疲れることが多いようです。
 私は、いまの先生方というのは、とてもクールになっていると思っています。私は、よく荒れた高校などに講演に行きますが、生徒はそれこそ、あっちを向いたりこっちを向いたりで、私の話など聞く気はないわけです。それでも、心の琴線に触れる話をすれば、ピシッとこちらを向いてくれます。
 ところが、先生方は、どのような話をしようとも一様にクールな反応で、「生徒はよく聞いていましたが、たぶん一時的なもので心にはあまり残らないでしょう」などと勝手に突き放してしまっているのです。
 荒れた学校の先生の多くは、日常に疲れ果ててしまい、毎日が惰性になっているのではないでしょうか。そのように、先生が疲れ果てていたのでは、子どもたちが元気になるはずがありません。先生自らが元気にイキイキ、ワクワクしていなければならないのです。
 そして、先生自身が感動したことをそのまま子どもに伝えれば、それがまさに生きた言葉となって、子どもたちを感動させるのです。そう考えると、感動する材料など、あちらこちらにあふれかえっています。それらを柔らかな心で素直に感じて、その感じたものをそのまま子どもにぶっつけるのが、感性を育てる一番の心の教育になるのだと、私は思っています。
 そのようなことは、ほとんどの先生がわかっているのでしょうが、先生たちは、それをするゆとりがないと言います。忙しくて心や感性を育てるヒマはないと言うのです。
 しかし、それは間違っています。心の教育には、即効性はないかも知れませんが、急がば回れなのです。心の教育をしっかりとしていくことが、現状を根治する道であり、即効性を求めると、かえって病状を悪化させることになりかねないのです。
 教師自身が美しいものを美しいと感じ、自分の心をイキイキ、ワクワクさせる。まずはそこからスタートするしかありません。自分が自分に対してどう心をリフレッシュしていくかということが、根本のテーマなのです。
 ハウツーだけで心を育てることはできません。まして、「感性・心の教育」のマニュアルなどあろうはずがありません。
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高橋史朗:1950年生まれ、臨時教育審議会専門委員、埼玉県教育委員長などを歴任し明星大学教授。親学推進協会理事長、師範塾理事長、感性教育研究会会長)

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